皆さんと一緒に考えましょう

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

都内のコロナ陽性率20%超えは「はっきり言って異常」 ウイルス研究者が警告

2021-09-01 10:00:00 | 日記

下記の記事はAERAdotからの借用(コピー)です。


 新型コロナのデルタ株が猛威を振るうなか、同等の感染力を持つとされるラムダ株が空港検疫で検出され、新たな変異株襲来の可能性に警戒感が高まっている。次々に出現する変異株の特徴や、感染の今後の見通しについて、ウイルス研究の専門家で、新型コロナ研究コンソーシアム「G2P-Japan」を主宰する、東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授に聞いた。


――佐藤氏が主催する研究で、日本人の6割がデルタ株に対する免疫反応を十分に起こすことができない可能性があるという結果が出ました。つまり、日本人はデルタ株にかかりやすいということでしょうか。

 日本人の6割は、HLA−A24という細胞性免疫を保有しています。HLA−A24は、免疫反応をつかさどるHLA(ヒト白血球抗原)の一種。このHLA−A24という免疫から、デルタ株は逃れることが研究でわかりました。

 だからと言って、日本人だけが、デルタ株に対する免疫が弱いというわけではありません。たくさんある免疫のうちの1つをすり抜けていくというだけです。1つの免疫を逃れることにより、どれほどインパクトがあるのかは、まだわかっていません。デルタ株は、世界中で流行しているので、日本人だけがかかりやすいとは言えません。

――第5波はピークアウトの兆しが見えません。どのような状況になったら減少傾向になると推測できますか。

 人の行動が減らない現状からすると、難しいと思います。これまでの波は、緊急事態宣言が発出されたからピークアウトしたのではありません。緊急事態宣言が発出され、実際に人の行動が変化したから減っていました。第5波では、行動が変化しているのか疑問です。

 ピークアウトどころか、現状のまま人々の行動が変わらなければ、感染者数は増え続けると思います。毎日、夕方に感染者数が発表されますが、おそらく東京都の場合は、現在の検査体制のままだと5000人台で頭打ちでしょう。見た目上はこの数字が続くでしょうが、実際の感染者はもっと多いはずです。8月以降、都内の陽性率はずっと20%を超えています。この数値は、はっきり言って異常です。

――感染者が増加の一途をたどるなか、ワクチン接種は特効薬となるのでしょうか。

 国民の7割がワクチンを接種しないと増加を抑えられないと言われています。日本はまだ4割。いま接種を急いだとしても、7割達成までにあと何カ月かかるのか。第5波のピークに歯止めをかける特効薬にはならないと思います。

 また、デルタ株は、ワクチンを接種しても感染する「ブレイクスルー感染」が世界中で報告されています。現状、ワクチン接種が進んだ後に流行しているのは主にデルタ株ですが、デルタ株だからブレイクスルー感染するのか、たまたまその地域で流行しているのがデルタ株なのか、まだわかっていません。

――南米由来の変異種ラムダ株が日本でも空港検疫で検出されました。もし市中に広がった場合、他の変異株と比べてどういった点を注視したほうがよいでしょうか。

 当研究チームで行ったラムダ株の実験では、ラムダ株もデルタ株と同じようにウイルスの感染力を増強させ、ワクチンで誘導された中和抗体に抵抗性があるという結果が出ました。

 ただ、デルタ株とラムダ株では、どちらのほうが危険かは不明です。ラムダ株は、主に南米で流行し、致死率が高いという情報もありますが、まだ研究が進んでいません。

――ワクチンを接種した人と未接種の人が混在しているなかで、ウイルスはどうのように生き残っていくのでしょうか。変異を繰り返し、ワクチンが効かない変異株も将来的に現れるのでしょうか。

 一般的に、細胞実験において、よく効く薬を適量入れると、ウイルスの増殖は止まります。しかし、中途半端な薬の量で増殖を半分くらい抑えると、ウイルスの増殖を一時的に抑えられたとしても、薬が効かなくなる変異を獲得して増殖していきます。これは、新型コロナだけでなく、どんなウイルスでも同じです。

 今のようにワクチンを接種した人と未接種の人がいるなかで、感染拡大している状況は、まさに、細胞実験と同じ状況が人の集団で起きているとも考えられます。免疫を持っている人と、持っていない人が混在してウイルスが広がっているということは、ワクチンで免疫を獲得した人の中ではあまり増えないけれど、そうではない人の中では増殖していきます。

ワクチン接種によって免疫を獲得しても、ウイルスはその免疫を逃れるような変異を獲得してしまう可能性があります。イギリスの緊急時科学助言グループ(SAGE)は、ワクチンが効かない新型コロナ変異株が出現する可能性を、高い確信をもって推測していました。これは十分に想定されることだと思います。

――新型コロナが、季節性インフルエンザの水準になるなど、収束する日は来るのでしょうか。

 ウイルスが勝手に弱毒化していく可能性は低いでしょう。そのため、少なくとも数年単位で弱毒化し、自然に収束していく可能性はきわめて低いでしょう。ワクチンから逃れる変異が出てこなくなり、世界中の7~8割の人にワクチンが行き届いたら、ウイルスは増殖する方法がなくなり、また重症化するリスクも減っていきます。そうなると、季節性の風邪と同じ扱いになると思います。ウイルスは残っていても、みんなが免疫を持っている状況になれば、収束となるでしょう。

 ただ、新型コロナは、ワクチンによって重症化が抑えられたとしても、インフルエンザに比べ、味覚障害や嗅覚障害、記憶障害など様々な後遺症が残る可能性が高いとされます。ワクチンを接種して重症化は抑えられたとしても、後遺症に対してはまだ把握されていません。

――日本でも3回目のワクチン接種が検討されていますが、有効性を教えてください。

 ワクチンのブースター接種は有効です。むしろ、高い効果を求めるよりは、持続性だと思います。イスラエルでは、今年の頭くらいにワクチンを打った人たちが、再び感染しだしました。ワクチンの効果が長持ちしない可能性があるため、もう3回目の接種に進んでいます。ただし、3回目を打ったところで、半年しかもたなかったら、また4回目を打たないといけないわけです。先進国だけ3、4回を打つよりも、途上国で1回、2回を打ったほうがいいのではないかという議論もあります。

(聞き手=AERA dot.編集部・岩下明日香)



コメントを投稿