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人気作家キムホンシンと「大渤海」―続き

2008年09月20日 | 東北アジアの平和
韓国の人気作家キムホンシンは背丈160cm、しかし内には巨人が住む。

長編小説「大渤海」執筆の動機はとの問いに
ー1986年中国訪問時に朝鮮族郷土史家から周辺国家の民族史を中国の辺境史に組み込む「東北工程」を企んでいることを聞かされた。2002年から2006年の5年間、中国政府は24億元の予算を組み歴史研究の美名のもと「東北工程」を推進した。すでに公然と、高句麗と渤海は中国少数民族の歴史と捏造し、その遺跡を中国の遺跡としてユネスコに登録した。わが民族の歴史が強奪されているのに国会議員(8年間)としてのうのうとしていられない、その時に尊敬するある僧侶から「国会議員10期やるより失われた民族史を蘇生させることのほうが大切」との忠告を聞き、発奮した。

取材で困ったことは?
ー渤海に関する痕跡がごくわずかであること。一部の学者は白頭山の大爆発で埋まったとの仮説もあるが、本当のところは滅亡時に男は全て殺され、遺跡は破壊、史書は焼却されたからだ。それに密かに発掘した遺跡を公開せず、封鎖しているから。大祥栄が渤海を建国した東牟山は韓国人出入り禁止、発覚すれば拘束される厳しさ。私は変装して何とか入ったが…

なぜ中国は渤海史を歪曲するのか
ー渤海は698年から926年まで続いた。当時最強国であった唐と肩を並べる巨大国家。北は黒龍江、南はピョンヤン、東はロシア沿海州、西は遼河にまたがる大帝国であった。732年には万里長城付近まで攻め入り、一時山東半島一帯を平定したこともある。
世界の中心は中国との中華思想、中国は偉大、他は蛮族との華夷史観からすると受け入れがたい事実なのだ。だから、観光地図もできるだけ小さく、どんどん小さく印刷し、中国史の恥辱の痕跡を抹殺し、中国の少数民族史に組み込もうとしているのだ。
今一つは、現在55の少数民族のなかでチベット、ウイグル自治区、そして朝鮮族自治区が火種になると中央政府はみている。もし朝鮮半島が統一されれば東北三省に住む200万の朝鮮族にどれほどの影響を及ぼすのか、そのための戦略的な措置なのだ。巷では、北京オリンピック後に朝鮮族自治区を解体するとの噂もある。
 *高句麗・渤海の遺跡を破壊してきた中国当局は19800年代、遼河一帯の発掘調査を行った。そこで発見されたものは世界4大文明発祥の地・黄河文明より2000年も前の優れた新石器文化遺跡を派遣し愕然とする。なぜなら彼らが蔑んできた東夷族(わが先祖)根拠地であり、その遺物の多くが朝鮮半島から出土しているものと一致しているからだ。今中国政府はひそかに黄河から遼河に再編する歴史のねつ造を始めようとしている。

では、我々はどうすべきか?
ー2008年度中国は白頭山を一大観光地にしユネスコ登録に取り組んでいる。中国10大名山に指定、空港を建設し、人参と名水を世界的なブランドにしよとしている(現在名水を毎年23万9000t取水、出荷)。観光客もすでにコリアンを抜いて中国人が多い)
白頭山はわれわれにとって、民族魂の宿る祖宗の霊山と言われてきた。白頭山が危ない、なのに我々は分断され未だ言い争っている。隣の大国が、(緊急事態発生時)わが領土までも取り込みかねない状況なのに、遅遅として進まない。
まずは「渤海経済ブロック」の形成を提案した。釜山を出発し開城、ピョンヤンを経て中国、ロシアへ、その先のヨーロッパ、アフリカへ…。このような巨視的な視点から世界の中で我々が生きる道を模索すべきだ。それも急いで…。
…南北が統一されれば8000万人口だ。そうなれば、シベリアの凍土、灼熱のサハラ、極限の南極までも進出できる。
南北問題は過去の感情論ではなく、未来型の包容政策で対応するしかない。

なぜ小説なのか?
ー歴史認識を是正する方法は、歴史教科書などを正しくつくること、だが私は小説家だ。小説の形で渤海の歴史を表現することで、皆さんが我々の歴史を正しく認識し取り戻してほしい。中国の三国志も歴史書ではない。…そのような効果を望んだ。
 

投稿者ー南相三

束草市での学術大会での本人の講義と、韓国インターネット関連サイトから資料収集し、構成した。

自分は早速韓国から小説「大渤海」を取り寄せるつもり。来週末には手にはいります。感想は読んだあと載せます。

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