さるみみ屋

夫サボさん、私さるみみと2000年生まれ長男コナンくん
2004年産次男エナリくんとの「人生楽ありゃ苦もあるさ」日記。

「岬」 読了。

2017-09-27 22:25:16 | さるみみ文庫2017
今更だけど中上健次。

古典に触れるのもいいのかと思って、読んだんだけどさ。

まあ、純文学だよな、と思う。

主人公の秋幸をとりまく老若男女、様々な登場人物が出てくるんだけど、
小説の中に登場する主要な人物と秋幸の関係は
父親が違うけど母親が同じ兄弟同士、というもので、

秋幸の二人の姉と自殺した兄は、母の最初の夫との間の子で、
母の最初の夫は既に他界。
秋幸の父は母の二番目の夫で、すこぶる悪評が高く、よその女との間にも子どもがいる。

で、今秋幸の母は三度目の結婚をしていて、その夫には連れ子があり、
秋幸は、その三番目の夫(彼にとって義理の父)とその息子(彼にとっての義理の兄)、母と
4人で暮らしているという超複雑な構成。

その複雑な家族とも言えるのかわからないような家族の中で
自分の父親、悪評の高い男の血が流れているということに対する苛立ち、
それぞれ父親の違う兄弟や自分の母親に対する複雑な思い、
そうした中で自分とは何なのか、そういうことに苦悩する様子が描かれていて、とても重い。

暗くて重い。

ああ、純文学だな。
中村文則以来の重さと、「ああ、これ無理」と思う自分。

たぶんサボさんは中上健次好きになると思うな。
もう亡くなっているけど、今を生きていたら、この時代の閉塞感をどう描いたのかと思う。
血や土地、人々のつながりが希薄になり、個人主義がまるでこれまで何百年も根付いてきました的な
社会を見て、どう思って、何を書いたのかな、と思う。

好きな作家ではないな、と思ったけど(そもそもまあ、私自身純文学苦手だしね)
中上健次を知れたのはよかったかもね。

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