内分泌代謝内科 備忘録

減塩教育と塩分計量でどの程度塩分摂取量が減るか?

中国における減塩のための家庭料理介入の効果:クラスター無作為化比較試験
BMJ 2023; 382 doi: https://doi.org/10.1136/bmj-2022-074258

目的:
家庭で調理をする人や家族向けに考案された減塩介入の効果を明らかにすること。

デザイン: クラスター無作為化比較試験

セッティング:
2018年10月15日から2019年12月30日まで、中国北部、中部、南部の6つの省

対象:
6省 60コミュニティ(各省 10コミュニティ)が無作為化され、各コミュニティは 26人( 13家族から各 2人)で構成

介入:
介入群の参加者は、減塩のための支援環境構築、減塩に関する 6回の教育セッション、塩分と塩分の多い調味料の 7日間の計量記録による塩分摂取量モニタリングなどの 12ヶ月間の介入を受けた。対照群は介入を受けなかった。

主要評価項目:
12ヵ月の追跡期間中の24時間尿中ナトリウム測定による食塩摂取量の変化における両群間の差

結果:
788家族の 1576人(男性 775人(49.2%)、平均年齢 55.8歳(標準偏差10.8))がベースライン評価に参加した。ベースライン評価後、786人が参加した 30地域が介入群に、790人が参加した 30地域が対照群に割り付けられた。試験期間中、157人(10%)の参加者が追跡調査不能となり、残りの介入群706人、対照群713人が追跡調査を完了した。

12ヵ月の追跡期間中、尿中ナトリウム排泄量は介入群で24時間あたり 4368.7 ± 1880.3 (標準偏差) mg から 3977.0± 1688.8 mgに、対照群で24時間あたり4418.7 ± 1973.7 mg から4330.9 ± 1859.8 mg に減少した。調整線形混合モデル解析によると、対照群と比較して、介入群では24時間尿中ナトリウム排泄量が 336.8(95%信頼区間: 127.9-545.7) mg/24時間減少した(P=0.002)。

収縮期および拡張期血圧はそれぞれ2.0(0.4-3.5)mmHg(P=0.01)および1.1(0.1-2.0)mmHg(P=0.03)低下し、介入群の知識、態度、行動は有意に改善した。

結論:
家庭の料理人や家族を対象とした地域ベースの減塩パッケージは、食塩摂取量と血圧の低下に有効であった。この介入は、家庭料理が食塩摂取の主要な原因である中国やその他の国々で広く適用される可能性がある。

所感:
24時間尿ナトリウム排泄量が 1000 mg 増加すると、心血管イベントのハザード比が 1.18 に増加し (NEJM 2022; 20: 386) 、脳卒中や心不全のリスクも心筋梗塞のリスク上昇と同程度上昇する (JAMA 2011; 306: 2229) ことから、24時間ナトリウム排泄量が 336.8 mg 減った場合はそれぞれのリスクを数%程度下げられるかどうかというくらいか。

減塩の重要性は疑いないが、いくつかの介入を組み合わせなければ臨床的に有意な効果は得られないのではないか。

https://www.bmj.com/content/382/bmj-2022-074258
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