内分泌代謝内科 備忘録

腸球菌菌血症

腸球菌菌血症についての総説
Clin Microbiol Infect 2021; 27: 364-371
 
·腸球菌菌血症の 1-2割で感染性心内膜炎を合併する。起炎菌の 9割以上は Enterococcus faecalis である。
 
·E. faecalis による菌血症は尿路感染症と関連するのに対し、E. faecium による菌血症は腹腔内感染、カテーテル関連感染、複数の細菌による菌血症、過去の広域抗菌薬の使用、臓器移植、肝硬変と関連する。
 
·抗菌薬で重要なのはアンピシリンだが、E. faecium はペニシリンに対して親和性が低い PBP 5 を発現しているために高度なペニシリン抵抗性を示す。E. faecalis の PBP もペニシリンへの親和性が低く、菌量が多い心内膜炎では治療に失敗することがある。
 
·推奨されている抗菌薬投与量 (腎機能で調整の必要あり)
 
·Ampicillin 1-2 g IV every 4-6 hours
·Vancomycin 25-30 mg/kg loading dose followed by 15 mg/kg every 8 hours
·Ceftriaxone 2 g every 12 hours
 
·E faecalis による感染性心内膜炎ではアンピシリンとゲンタマイシンの併用療法が標準的な治療だったが、double β-lactam antibiotic combination (アンピシリン+セフトリアキソン) は治療効果が従来の治療と遜色ないことが示されている。ただし、この場合のアンピシリンの最適量はまだ分かっていない。
 
·腸球菌菌血症に対する抗菌薬治療期間は合併症がなければ 7-14日間が多い。
 
https://www.clinicalmicrobiologyandinfection.com/article/S1198-743X(20)30660-1/fulltext
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