さやえんどう21

思いついたことを載せています。

芥川龍之介 「南京の基督」イラストを描いてみました。

2014年05月10日 | 本の感想


作品からイメージしてイラストを描いてみました。

芥川龍之介作品の中ではこれが一番好きです。
ラストも謎めいていて独特の余韻を残します。
「青空文庫」のサイトで読むことが出来ますので、おすすめしたい一作です。
篤く基督を信奉する南京(昔の中国の首都)の宋金花という15歳の身を売る少女の話です。梅毒を患ってしまった宋金花は、キリスト教的隣人愛からそれ以後は客を取ることをやめることにしたが、ある日イエスにうり二つの外国人が彼女の家に訪れ、彼女を求めてくるが・・・。

宋金花の身を売るか否かの葛藤や逡巡が書かれています。芥川龍之介の別作品「杜子春」でも、仙人になるか、それとも畜生道で馬の姿になった父母が痛めつけられるのに堪らず声を掛けるか(杜子春には声を掛けたら仙人にはなれないという試練が与えられている)逡巡しますが、結局杜子春は「お母さん」と声を掛けてしまいます。

南京の基督、杜子春とも決意を貫き通すことは叶いませんでしたが、結果としてはそれで良かったことになります。しかし宋金花は梅毒が治ったと思い込んでいますが、治っていないというのが概ねの見方です。身を売る仕事を休養している期間があったため、病気の進行が少し遅れているだけとの見方もあるようです。(NHK大人ラジオより)