5話からなる短編集 各話とも話の導入は引きつけるものがありましたが、本のタイトルも奇譚(ありそうにない話)ということもあり、リアリティーからかけ離れてしまい面白くありませんでした。
(村上春樹の作品の多くは、奇譚で結ぶことが多いですが)
ただ、「偶然の旅人」の話の中で、心に残った台詞がありました。
「偶然の一致というのは、ひょっとして実はありふれた現象なんじゃないだろうかって。つまりそういう類のものごとは僕らのまわりでしょっちゅう起こっているんです。でもその大半は僕らの目にとまることなく、そのまま見過ごされてしまします。まるで真昼間に打ち上げられた花火のように、かすかに音はするんだけど、空を見上げても何もみえません。しかしもし僕らの方に強く求める気持ちがあれば、それはたぶん僕らの視界の中に、ひとつのメッセージとして浮かび上がってくるのです。」
ひとつの考え方ですが、共感できる言葉でした。
自分はあまり周りに関心がなく、身の回りの出来事をただ眺めているだけの人なので「偶然の一致」を見過ごしている気がします。
逆に細かく周りに関心を持っていたり感受性が強かったりしている人は、偶然の一致に遭遇する機会が多いのではと思います。
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