施設火災の遺体、都内の福祉会へ…年1000人の無縁仏
4月3日14時49分配信 読売新聞
先月19日に火災が起きた群馬県の高齢者施設「静養ホームたまゆら」に、東京都墨田区の紹介で入居していた6人の遺体は、先月末から今月2日にかけ、社会福祉法人「東京福祉会」(文京区)に引き取られた。
今後、親族などの引き取り手が現れなければ同会で火葬し、練馬区内の納骨堂で5年間遺骨が保管される。
同会が自治体の依頼で行った生活保護受給者らの葬儀はこの20年ほどで倍増。納骨堂には毎年、1000柱近くの「無縁仏」が加わる。陶製の骨つぼが、都会の孤独を物語る。
身寄りのない生活保護受給者や身元不明者のための葬儀は、「助葬」と呼ばれる。東京福祉会は、1919年(大正8年)に助葬を行う財団法人として発足した。現在、都内で行われる助葬の約6割が同会に依頼されているという。
同会に遺体が引き取られた6人のうち、3人は親族らの引き取り手がなく、近く火葬することが決まっている。残る3人の遺体は、墨田区が親族らに引き取りの意向を確認中だ。
市区町村のケースワーカーは、身寄りのない高齢の生活保護受給者をみとる立場になる。墨田区の40歳代の男性職員は、今回の火災で亡くなった女性の一人を担当していた。若くして結核を患っていた彼女は、「夫は見捨てずに看病してくれた」と、いつも亡き夫への感謝を口にし、遺影を大切にしていたという。
「たまゆら」での彼女の死に、男性職員は強いショックを受けた。受給者の「死」と度々向き合うケースワーカーは強いストレスに悩む。男性職員は「仕事だからと割り切ることはできない。まして、今回のようなケースはどう受け止めればいいのか」とうつむいた。
同会による1990年度の助葬件数は1357件だったが、高齢者を中心に生活保護受給者が増加したためか、2004年度には2944件まで増えた。07年度は2700件に減ったが、同会では「助葬への参入業者が増えたためで、全体の助葬件数は増えているのでは」と推測する。
無縁仏となる経緯は様々だ。受給者が生前、親族などの連絡先を自治体の福祉事務所に明かさなかったケースもある。死後、福祉事務所が親族らに連絡をとっても、「引き取りを拒まれることも多い」と墨田区の担当者は明かす。
同会が1月末時点で保管している遺骨は計5264柱。5年間の保管期間が終わると、同会が管理する埼玉県毛呂山町の合葬墓に埋葬される。
07年度中に、納骨堂に入った遺骨は993柱。一方で、174柱が親族らの元に帰った。「生き別れになり、(納骨堂で)数十年ぶりに『再会』を果たすご家族もいる」と、同会福祉部次長の明智賢一郎さん(45)。毎日約10件の助葬を執り行うが、「寂しく一人で亡くなった方の人生に思いをはせれば、『流れ作業』のように扱ってはならないと、自らを強く戒めている」と話している。
4月3日14時49分配信 読売新聞
先月19日に火災が起きた群馬県の高齢者施設「静養ホームたまゆら」に、東京都墨田区の紹介で入居していた6人の遺体は、先月末から今月2日にかけ、社会福祉法人「東京福祉会」(文京区)に引き取られた。
今後、親族などの引き取り手が現れなければ同会で火葬し、練馬区内の納骨堂で5年間遺骨が保管される。
同会が自治体の依頼で行った生活保護受給者らの葬儀はこの20年ほどで倍増。納骨堂には毎年、1000柱近くの「無縁仏」が加わる。陶製の骨つぼが、都会の孤独を物語る。
身寄りのない生活保護受給者や身元不明者のための葬儀は、「助葬」と呼ばれる。東京福祉会は、1919年(大正8年)に助葬を行う財団法人として発足した。現在、都内で行われる助葬の約6割が同会に依頼されているという。
同会に遺体が引き取られた6人のうち、3人は親族らの引き取り手がなく、近く火葬することが決まっている。残る3人の遺体は、墨田区が親族らに引き取りの意向を確認中だ。
市区町村のケースワーカーは、身寄りのない高齢の生活保護受給者をみとる立場になる。墨田区の40歳代の男性職員は、今回の火災で亡くなった女性の一人を担当していた。若くして結核を患っていた彼女は、「夫は見捨てずに看病してくれた」と、いつも亡き夫への感謝を口にし、遺影を大切にしていたという。
「たまゆら」での彼女の死に、男性職員は強いショックを受けた。受給者の「死」と度々向き合うケースワーカーは強いストレスに悩む。男性職員は「仕事だからと割り切ることはできない。まして、今回のようなケースはどう受け止めればいいのか」とうつむいた。
同会による1990年度の助葬件数は1357件だったが、高齢者を中心に生活保護受給者が増加したためか、2004年度には2944件まで増えた。07年度は2700件に減ったが、同会では「助葬への参入業者が増えたためで、全体の助葬件数は増えているのでは」と推測する。
無縁仏となる経緯は様々だ。受給者が生前、親族などの連絡先を自治体の福祉事務所に明かさなかったケースもある。死後、福祉事務所が親族らに連絡をとっても、「引き取りを拒まれることも多い」と墨田区の担当者は明かす。
同会が1月末時点で保管している遺骨は計5264柱。5年間の保管期間が終わると、同会が管理する埼玉県毛呂山町の合葬墓に埋葬される。
07年度中に、納骨堂に入った遺骨は993柱。一方で、174柱が親族らの元に帰った。「生き別れになり、(納骨堂で)数十年ぶりに『再会』を果たすご家族もいる」と、同会福祉部次長の明智賢一郎さん(45)。毎日約10件の助葬を執り行うが、「寂しく一人で亡くなった方の人生に思いをはせれば、『流れ作業』のように扱ってはならないと、自らを強く戒めている」と話している。
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