展望台に続く斜面を登っていくケーブルカーに乗り、夕暮れの町並みを見ていた。
スコールのあとの遠くひろがる様々な営みの上に、大きな虹がかかっていた。
スコールのあとの遠くひろがる様々な営みの上に、大きな虹がかかっていた。
その虹は僕が住む町と、彼女がこれから住む町とを悪気なく繋ぐ。
腕にはめたアナログの針時計を見る。ちょうど彼女があの部屋を出て行く頃だ。
僕は昨日からこの時が過ぎるのを、なるべく遠く離れた場所で待っていた。
僕は昨日からこの時が過ぎるのを、なるべく遠く離れた場所で待っていた。
かっこよく「壁際に寝返り打って」彼女が出て行く気配を感じているだなんて、僕にはできない。
空の慈悲って大したもんだな、と眼下の景色を見渡す。激しいスコールのあと、こんなに美しい虹を見せてくれるなんて。
空の慈悲って大したもんだな、と眼下の景色を見渡す。激しいスコールのあと、こんなに美しい虹を見せてくれるなんて。
きっと僕もこんな風にできればよかったんだろうな。
虹はそのうち跡形もなく夕闇に消えた。
彼女は部屋を出て、僕たちの町を結ぶあの虹に気づいただろうか。
虹はそのうち跡形もなく夕闇に消えた。
彼女は部屋を出て、僕たちの町を結ぶあの虹に気づいただろうか。
あの部屋を、見上げただろうか。
ケーブルカーは僕の思いに構いもせず、暮れた山へと登って行く。
ガタギシガタギシ、僕の心を置き去りに。