吸音材は必要悪か?

2022年04月24日 | オーディオ談義

 

 本日は、オーディオマニアの間でしばしば話題になる「吸音材の功罪」を話題にしたいと思います。

 吸音材とは簡単に申せば、スピーカーシステムのキャビネット内部で音がワンワン響くので、この「余計な響き」が外に出てこない様に吸音するためのものです。そしてもう一つ、低音の量を調整する目的でも使用されます。昔はグラスウールが主流でしたが、最近は様々な能書きのついた特殊素材の物や、反射拡散に主眼を置いた構造物(※)が主流です。

※ 拡散板だけでは響き(残響音)を吸収する事は出来ませんのでご留意ください。

 さて、吸音材は「音が死ぬ」と言われる事が多く、どちらかと言えば嫌われ者かもしれません。では、吸音材を無しにするとどの様な問題があるのでしょうか。キャビネット内部のワンワン音は、スピーカーユニットの振動板を透過して外に出てきます。またバスレフポートからも漏れ出てきます。これらは間違いなく音を濁らせる原因となりますが、「音が死ぬ」のとどちらがましなのか、という天秤にかけられて、最終的にはシステム製作者のセンスで采配を振るという事になります。

 さて、ここで発想の転換をしましょう。音の死なない吸音材があれば良いのです。私の知見では、スピーカーユニットの振動板の近傍に設置される吸音材の質量や機械的性質が、空気を介して振動板の負荷になる事で、その吸音材の素材特有の悪さをします。なので、極めて軽く且つ緻密でしなやかな素材が適しているという答えに帰結します。

 そこで見出されたのが写真(↑)で、当社特許の「超軽量吸音材」です。素材は「水鳥のダウン」(※2)です。羽毛が飛び散らない様に不織布の袋に詰めて使用しています。音がボソボソしませんので、高SNで澄んだ音、且つ厚みのある芳醇な音質が得られます。振動板への質量負担も少ない為、応答感も阻害されません。

※2 フェザーではNGです!

 

 株式会社 薩摩島津 ホームページ・リンク



最新の画像もっと見る