喪失

夜中に起きて
未解決事件の検証ばかりしている。
これも現実逃避だろうか。


部屋が寒くなってくると
無性に寝袋で寝たくなる。

それは子供の頃に
鯉のぼりの中で寝た心地よさへの憧れもある。

鯉の口の輪に入れなくなったとき
妙な寂しさがあった。
それ以来、袋で寝ることに執着しているのかもしれない。

寝袋は封筒タイプの物を持っている。
でも私が欲しいのは冬山でも使える本格的な物だ。

といってもそれは何百万もする物では無く
いつも買っている工具と同等の値段だ。

それでも買わないのは
憧れの喪失への危惧なんだと思う。
憧れを手に入れてしまったら、憧れが一つ無くなってしまう。

そんな心配をしていられる事自体が
幸せなのかもしれないけど。