みつはのろのろと顔を上げた。その顔を見て、さとみは息を呑む。いつもは溌溂とした眼差しのみつが、今はとろんとした生気の無い眼差しをしている。さとみが見えているはずだが、表情を変えない。何時も腰帯に手挟んでいる大小の刀は、床に置かれている。壁に背凭れて、だるそうな感じで両脚を前に伸ばしている。両の手を床に付いている。
「みつさん! しっかりして! どうしたのよう!」
さとみは言いながら、みつに駈け寄ろうとする。しかし、ミツルに腕をつかまれた。それほど強い力では無かったが、足が前へ動かない。
「ちょっと! 何をしたのよう!」さとみは振り返りミツルを睨む。「あなた、みつさんに何をしたのよう!」
「そう大きな声を出さなくても聞こえるよ、さとみちゃん……」ミツルは笑む。「みつはね、わたしのコレクションとなったのさ。身も心もね」
ミツルは言うと、さとみの腕を放す。さとみはむっとした顔のままみつに向かって進もうとする。が、足が動かない。床に貼り付いてしまったかのようで、足が持ち上がらない。
「え? どうして動かないの……」さとみは必死になって足を動かそうとするが、全く動かない。「何をしたのよう!」
「ふふふ……」ミツルは笑みを浮かべながら、さとみの前に立つ。「ちょっとしたショウを見てもらおうかと思ってね、さとみちゃんはティーンエイジャーだから、もう充分大人だろう?」
「それがどうだって言うの!」
「そう怒らない、怒らない……」ミツルは顔の前に右人差し指を立て、左右に振って見せる。「これからコレクションとなるさとみちゃんには、参考になると思うよ」
「わたしはコレクションなんかになるつもりは無いわ!」
「さとみちゃんにそんなつもり無くてもね、ここからは出られないのさ。見て分かるだろう? ここにはドアも窓もない。つまり、わたしだけが出入りさせることが出来ると言うわけさ」
「そんなの狡いじゃない! 人をだまして、ここへ連れて来たのに!」
「何とでも言うが良い。わたしは平気だよ。それに、侮蔑の言葉はわたしを悦ばせもするんでね」ミツルは楽しそうだ。「さあて……」
ミツルはゆっくりとみつの方へと歩いて行く。ミツルが近付くにつれ、みつの顔に笑みが浮かび始める。それは恥かしそうな、嬉しそうな、そんな感じだった。
ミツルはそんなみつを見つめながら寄って行く。ミツルは壁に寄り掛かっているみつの右脇に立った。みつは座ったままでミツルを見上げる。見つめ合う二人は笑みを浮かべる。
「みつさん!」さとみはみつに向かって叫ぶ。何か良からぬ雰囲気を感じたからだ。「しっかりして! みつさん!」
「……さとみちゃん」ミツルがさとみに振り向く。笑みを見せてはいるが、意地悪そうな表情だ。「うるさい娘だね。お仕置きが必要かな?」
ミツルは言うと、指をぱちんと鳴らした。途端にさとみは声が出せなくなった。声を出そうともがくが、ひゅうひゅうと言う息漏れの音しか出せない。ミツルが何か呪の様なものをかけたのだろう。
「さあ、さとみちゃんはそこで見ていたまえ。わたしとみつの親密な関係を見ていてもらおうか……」
ミツルは言うと左手を壁に着けたまま上半身を折り曲げながら、みつに顔を近付ける。みつは微笑みながら顔をミツルに向けて目を閉じる。二人の顔が重なった。
……え? 何? どうなっているの? ミツルの左右にゆっくりと揺れる後ろ頭を見ながらさとみは混乱する。しばらくしてミツルが顔を上げる。みつは頬をうっすらと赤く染めながら離れて行くミツルの顔を愛おしげに見ている。
「ふふふ……」ミツルはさとみに顔を向ける。妖しい笑みを浮かべている。右の人差し指で自分の唇をゆっくりとなぞった。「みつの唇って、柔らかくって極上のスイーツのようだ」
さとみは両腕を振り回し、口を何度も開け閉めする。声が出ないさとみの必死の抗議だった。
「え? 何だね?」ミツルは右耳に右手を当てて良く聞こうとする。「聞こえないな。あ、声が出せないんだったね」
ミツルは楽しそうに笑う。さとみはぷっと頬を膨らませる。
「おや、その顔、可愛いね。もっと近くで見ようかな?」ミツルの言葉にさとみは真顔に戻る。「ふふふ…… さとみちゃん、ショウはまだ続くんだよ」
ミツルはみつの横にしゃがみ込んだ。みつは嬉しそうな顔をミツルに向ける。ミツルは笑みを浮かべながら、みつの着物の襟元から右手を差し入れた。みつは緩く目を閉じる。みつの口が軽く開き、ほうっと吐息をが漏れる。
「硬く巻き付けている晒の上からでも、みつの豊満な乳房は分かるのだよ」ミツルはそのままの姿勢で顔をさとみに向ける。「どうだい? 確認してみたいかい?」
さとみは耳を手で塞ぎ、目をきつく閉じて、頭を左右に振り、拒絶を示す。
「そう、それは残念だね」ミツルは言うと立ち上がる。みつは抜き取られて行くミツルの右手を、逃さぬつもりなのか押さ込もうとする。「ふふふ…… みつ、後でたっぷりとな」
みつは嬉しそうな、恥ずかしそうな笑みを浮かべ、ミツルの手を離す。
「次はさとみちゃんの番だ……」
ミツルはつぶやく。と、耳を塞いでいた両手が、さとみの意志と関係なく離され、だらりと下がった。驚くさとみはミツルを見つめる。
「ここに居る限り、わたしに従順でいる事が必要だよ」ミツルは笑みながら言い、さとみに寄って行く。「あまり世話を焼かせると、もう生身のからだに戻れなくなるんだよ。もうかなり苦しいだろう?」
さとみは悔しそうに唇を噛む。
つづく
「みつさん! しっかりして! どうしたのよう!」
さとみは言いながら、みつに駈け寄ろうとする。しかし、ミツルに腕をつかまれた。それほど強い力では無かったが、足が前へ動かない。
「ちょっと! 何をしたのよう!」さとみは振り返りミツルを睨む。「あなた、みつさんに何をしたのよう!」
「そう大きな声を出さなくても聞こえるよ、さとみちゃん……」ミツルは笑む。「みつはね、わたしのコレクションとなったのさ。身も心もね」
ミツルは言うと、さとみの腕を放す。さとみはむっとした顔のままみつに向かって進もうとする。が、足が動かない。床に貼り付いてしまったかのようで、足が持ち上がらない。
「え? どうして動かないの……」さとみは必死になって足を動かそうとするが、全く動かない。「何をしたのよう!」
「ふふふ……」ミツルは笑みを浮かべながら、さとみの前に立つ。「ちょっとしたショウを見てもらおうかと思ってね、さとみちゃんはティーンエイジャーだから、もう充分大人だろう?」
「それがどうだって言うの!」
「そう怒らない、怒らない……」ミツルは顔の前に右人差し指を立て、左右に振って見せる。「これからコレクションとなるさとみちゃんには、参考になると思うよ」
「わたしはコレクションなんかになるつもりは無いわ!」
「さとみちゃんにそんなつもり無くてもね、ここからは出られないのさ。見て分かるだろう? ここにはドアも窓もない。つまり、わたしだけが出入りさせることが出来ると言うわけさ」
「そんなの狡いじゃない! 人をだまして、ここへ連れて来たのに!」
「何とでも言うが良い。わたしは平気だよ。それに、侮蔑の言葉はわたしを悦ばせもするんでね」ミツルは楽しそうだ。「さあて……」
ミツルはゆっくりとみつの方へと歩いて行く。ミツルが近付くにつれ、みつの顔に笑みが浮かび始める。それは恥かしそうな、嬉しそうな、そんな感じだった。
ミツルはそんなみつを見つめながら寄って行く。ミツルは壁に寄り掛かっているみつの右脇に立った。みつは座ったままでミツルを見上げる。見つめ合う二人は笑みを浮かべる。
「みつさん!」さとみはみつに向かって叫ぶ。何か良からぬ雰囲気を感じたからだ。「しっかりして! みつさん!」
「……さとみちゃん」ミツルがさとみに振り向く。笑みを見せてはいるが、意地悪そうな表情だ。「うるさい娘だね。お仕置きが必要かな?」
ミツルは言うと、指をぱちんと鳴らした。途端にさとみは声が出せなくなった。声を出そうともがくが、ひゅうひゅうと言う息漏れの音しか出せない。ミツルが何か呪の様なものをかけたのだろう。
「さあ、さとみちゃんはそこで見ていたまえ。わたしとみつの親密な関係を見ていてもらおうか……」
ミツルは言うと左手を壁に着けたまま上半身を折り曲げながら、みつに顔を近付ける。みつは微笑みながら顔をミツルに向けて目を閉じる。二人の顔が重なった。
……え? 何? どうなっているの? ミツルの左右にゆっくりと揺れる後ろ頭を見ながらさとみは混乱する。しばらくしてミツルが顔を上げる。みつは頬をうっすらと赤く染めながら離れて行くミツルの顔を愛おしげに見ている。
「ふふふ……」ミツルはさとみに顔を向ける。妖しい笑みを浮かべている。右の人差し指で自分の唇をゆっくりとなぞった。「みつの唇って、柔らかくって極上のスイーツのようだ」
さとみは両腕を振り回し、口を何度も開け閉めする。声が出ないさとみの必死の抗議だった。
「え? 何だね?」ミツルは右耳に右手を当てて良く聞こうとする。「聞こえないな。あ、声が出せないんだったね」
ミツルは楽しそうに笑う。さとみはぷっと頬を膨らませる。
「おや、その顔、可愛いね。もっと近くで見ようかな?」ミツルの言葉にさとみは真顔に戻る。「ふふふ…… さとみちゃん、ショウはまだ続くんだよ」
ミツルはみつの横にしゃがみ込んだ。みつは嬉しそうな顔をミツルに向ける。ミツルは笑みを浮かべながら、みつの着物の襟元から右手を差し入れた。みつは緩く目を閉じる。みつの口が軽く開き、ほうっと吐息をが漏れる。
「硬く巻き付けている晒の上からでも、みつの豊満な乳房は分かるのだよ」ミツルはそのままの姿勢で顔をさとみに向ける。「どうだい? 確認してみたいかい?」
さとみは耳を手で塞ぎ、目をきつく閉じて、頭を左右に振り、拒絶を示す。
「そう、それは残念だね」ミツルは言うと立ち上がる。みつは抜き取られて行くミツルの右手を、逃さぬつもりなのか押さ込もうとする。「ふふふ…… みつ、後でたっぷりとな」
みつは嬉しそうな、恥ずかしそうな笑みを浮かべ、ミツルの手を離す。
「次はさとみちゃんの番だ……」
ミツルはつぶやく。と、耳を塞いでいた両手が、さとみの意志と関係なく離され、だらりと下がった。驚くさとみはミツルを見つめる。
「ここに居る限り、わたしに従順でいる事が必要だよ」ミツルは笑みながら言い、さとみに寄って行く。「あまり世話を焼かせると、もう生身のからだに戻れなくなるんだよ。もうかなり苦しいだろう?」
さとみは悔しそうに唇を噛む。
つづく
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