お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

宇宙探検隊の冒険 38 ~宇宙に吹く風~

2008年07月15日 | 宇宙探検隊の冒険(一話完結連載中)
 宇宙探検隊は宇宙の知られざる惑星や生命体や現象を調査することが目的だ。
「隊長、怪現象に遭遇しました」
「宇宙に怪現象はない。原因不明なだけだ」
「風が吹いています」
 気象分析パネルに、風向と風力を示す幾つもの矢印が一方向を向いて映っていた。
「あっ、隊長!」パネルを見ながら隊員が叫んだ。「逆方向にも吹いています!」
「だが、矢印の数が少ないな。取り合えず、矢印の多い方の風上へ向かってみよう」
 風上には宇宙船の数十倍もの大きさのトカゲのような生物が漂いながら眠っていた。
「隊長、宇宙ネムリトカゲのダダンデです。あの風はダダンデの寝息だったんですよ!」
「なんと! 起き出すと面倒だ。大急ぎで反転百八十度、全速力で逃げるのだ!」
 気配を察したダダンデは片目を開け、長い舌を伸ばして宇宙船を絡め取ってごくりと呑み込むと、また寝息を立て始めた。



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