お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

天罰

2009年03月17日 | Weblog
 神様は人間の愚行をお嘆きになり、ついに、地上から人間を一掃する事をお決めになった。
 天使の一人が神様に言った。
「ですが、ヤツらは地中に穴を開けて石油を汲み出したり、危険な物質を埋めたりしています。海水も大気も全て人間が汚しています」
 別の天使も言った。
「そうです、人間を一掃しても、お創りになった地球は汚れたままです」
 神様はにやりとお笑いになるとおっしゃった。
「心配はいらん。見ていなさい」
 神様の見えざる手が地球を持ち上げ、額にこんこんと軽くぶつけてひびを入れると二つに割って中身を出した。
 中からつるりと出てきた真新しい地球を見て、神様は満足そうにうなずかれた。
「これで良い」
 

 神様は人間の愚行をお嘆きになり、ついに、地上から人間を一掃する事をお決めになった。
 天使の一人が神様に言った。
「ですが、元はと言えば戦争がいけません。好戦的な者たちだけを一掃なさったほうがよろしいかと思います」
 別の天使も言った。
「そうです、まだ見所のある者たちも少ないながらもおります」 
 神様はにやりとお笑いになるとおっしゃった。
「分かった、ではその様にしよう」
 神様の見えざる手が地球を持ち上げ、好戦的な者たちの住む国をむしゃりむしゃりとかじりとって食べてしまった。
 食べかけのリンゴのようになったが平和を取り戻した地球を見て、神様は満足そうにうなずかれた。
「これで良い」


 神様は人間の愚行をお嘆きになり、ついに、地上から人間を一掃する事をお決めになった。
 天使の一人が神様に言った。
「ですが、まだまだ有効な資源が残っております。お創りになった地球の素晴らしさを、人間はまだまだ知り尽くしておりません」
 別の天使も言った。
「そうです、それごと失うのは勿体無いと思います」
 神様はにやりとお笑いになるとおっしゃった。
「それもそうだ。たしかに勿体無い」
 神様の見えざる手が地球を持ち上げ、ぷすりと注射針を刺し資源を吸い出すと用意していた星に注入した。
 吸い取られしわしわになった前の地球と活力の満ちあふれた新たな地球とを見比べて、神様は満足そうにうなずかれた。
「これで良い」





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