こんにちは!公認会計士の青山です

パブリックセクターを中心に会計その他のお手伝いをしています。徒然なるままに仕事やプライベートについて紹介します。

オリンピック・レガシーと施設の有効性、効率性について

2016-10-16 | 公会計

 2020年のオリンピックに向け都が整備に着手している施設の内、3競技会場の抜本的見直しが話題になっています。3競技会場とは、ボート、カヌー・スプリント会場「海の森水上競技場」(東京湾中央防波堤)、水泳会場「オリンピックアクアティクスセンター」(江東区)、バレーボール会場の「有明アリーナ」(江東区)です。

 小池百合子東京都知事は「ランニングコストも考えた上での報告書で、重く受け止めたい。負の遺産を都民に押し付けるわけにはいかない」と述べています。この小池知事の発言のキーワードは「負の遺産」です。一方、オリンピック憲章では、この遺産という言葉に関して次のように記載されています。

14. オリンピック競技大会の有益な遺産を、 開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励する。14. to promote a positive legacy from the Olympic Games to the host cities and host countries;

(オリンピック憲章 第2章オリンピックムーブメント 2 IOCの使命と役割 14

 つまり、競技会場を整備すべきかどうかは、当該施設が「有益な遺産」(positive legacy)か「負の遺産(negative legacy)かにかかっています。この判断で重要となるのが、施設の有効性と効率性の検証です。まず、施設の有効性とは、施設建設の成果が十分に発現されているかという視点で、具体的には住民満足度や年間観客数、稼働率で測ることができます。次に、施設の効率性とは、その成果に対して最少の経費・労力で施設が維持されているかという視点で、具体的には来場者1人当たりコストなどで測ります。スポーツ施設などの大規模施設は、建設費だけではなく、毎年度莫大な維持管理コストがかかります。したがって、当該施設は毎年度十分な成果が期待できるか、またある程度の成果は期待できるがそれがコストに見合ったものであるかについて十分な検討が必要なのです。

 「有益な遺産」(positive legacy)か「負の遺産」(negative legacy)の判断は、慎重に行う必要があります。


独法、国大の財務諸表と業績

2016-09-24 | 公会計

 民間企業のように、独立行政法人や国立大学法人においても、その業務活動状況を知りたいと思うことは、内外の利害関係者にとって当然のことです。業務活動状況を示す財務諸表としては、「損益計算書」と「行政サービス実施コスト計算書」(国大の場合、「国立大学法人等業務実施コスト計算書」(以下、「コスト計算書」と言います。))の2つがあります。いずれもも、収益と費用を計算し最終的に利益(コスト)を算出する計算書です。

 では、違いは何でしょうか。ごく簡単に言うと、「損益計算書」は「費用」と「国からの運営費交付金を含む収益」の差から「利益(コスト)」を計算します。一方、「コスト計算書」は「費用」と「国からの運営費交付金を含まない収益」の差から「コスト」を計算します。

 この違いは、損益計算書の場合あくまで独法(国大)を単体で見た計算書で、一方コスト計算書は独法(国大)と国を一体と見た計算書という点にあります。単体で見る損益計算書の場合、国からの運営費交付金も外部からの資金であり収入です。一方、コスト計算書は独法(国大)と国を一体とみますので運営費交付金は独法(国大)にとっては収入でも国にとっては同額の支出となり、結果的に差し引きゼロでコスト計算書には反映されません。コスト計算書が独法(国大)と国を一体とみる意味は、国民にとって独法(国大)がどの程度の費用(つまり税金)をかけて運営しているか示すことにあり、この場合運営費交付金は全く関係ないものだからです。

 いずれにしても、損益計算書、コスト計算書の存在意義は、組織の効率性の程度を示すことにあります。しかしながら、特に独法の場合、運営費交付金の会計処理の関係で(業務達成基準となっても損益均衡の考え方は継続)、利益はあまり意味のないものとなっています。一方、コスト計算書のコストは意味を持ちます。例えば、そのコストを生徒数で割れば、生徒1人当りコスト(その大学は生徒1人にどれくらいの税金をかけているか、)がわかり、人口で割れば国民1人当りコスト(その大学は国民1人当りどれくらいの税金が投入されているか)がわかります。

 損益計算書を今以上に役立つものとするために、今後も工夫が必要です。

 


青森にて

2016-09-23 | 公会計

 最近疲れ気味だったので、身体にご褒美をあげました。青森はもう肌寒いですよ。

 大間のまぐろ、大畑海峡サーモン、マツカワガレイ、八戸前沖さば、八戸イカ、十三湖しじみ汁・・・


独立行政法人における業務の履行とは

2016-05-31 | 公会計

 前回、「運営費交付金」が「負債」から「収益」に化けるには「業務の履行」が必要と言いました。では、「業務の履行」とは何でしょうか?独立行政法人会計では、「業務の履行」を測る指標として「業務達成基準」、「期間進行基準」、「費用進行基準」の3つの考え方を提示しています。

 

(1) 業務達成基準

一定の業務等と運営費交付金との対応関係が明らかにされている場合には、当該業務等の達成度に応じて、財源として予定されていた運営費交付金債務の収益化を進行させる。

(2) 期間進行基準

業務の実施と運営費交付金財源とが期間的に対応している場合には、一定の期間の経過を業務の進行とみなし、運営費交付金債務を収益化することができる。たとえば、独立行政法人ではありませんが、大学では一学期が終われば一学期分の授業(教育機関としての大学の業務)は履行していると考えられますね。

(3) 費用進行基準

業務のための支出額を限度として収益化するものとする。

 従来、多くの独立行政法人では、一番会計処理が楽な「費用進行基準」を採用していました。この「費用進行基準」を採った場合、費用認識の額と同額が収益化されることになり、差益が発生する余地はありません。しかし、平成27年に会計基準が改正され、「業務達成基準」が原則とされ「費用進行基準」は採用できなくなりました。これには、多くの独立行政法人が慌てました。業務の進行度合いをどのように測るか検討もつかなかったからです。

 ただし、その後会計基準のQ&Aも見直され、投入資源(例えば作業時間、投入費用)などのインプット情報で進行状況を測定できる場合、業務の進行状況と密接に関連するなどの理由から、投入資源に着目した指標を設定することも考えられるとの見解を公表しました。あれ?もしかして、これ「費用進行基準」ではない?従来との違いは、今までは法人全体で「費用進行基準」を行っていたところが、新たな処理は業務区分ごとに処理を行う違いはありますが、費用進行の考え方は同じです。業務達成基準(投入費用方式)とも言うらしいのですが、、、

 この結果は、実務サイドと基準設定サイドの妥協の結果とも言えますが、いずれにしても、多くの独立行政法人はほっとしたでしょうね。


日本一わかりやすい国立大学法人・独立行政法人の会計の話

2016-05-31 | 公会計

 公会計の仕事をしていると、よく公的機関の会計がわからないと言われます。特に、国立大学法人・独立行政法人の会計では、「運営費交付金」の会計がわからないようです。

 「運営費交付金」は、国が各国立大学法人・独立行政法人交付している一種の補助金です。各組織は、主にこの「運営費交付金」をもとに業務を運営しています。では、早速「運営費交付金」の会計処理について説明しましょう。

 一般的に、民間企業でも公的機関でも、その組織の現金預金(キャッシュ)が増える理由は、おおざっぱに言って2つ考えられます。金融機関等からの借入れによって現金預金(キャッシュ)が増える場合、売上によって現金預金(キャッシュ)が増える場合です。複式簿記の場合、常に取引を二面性で捉える必要がありますが、前者の場合は借入という「負債」の増加と現金預金という「資産」の増加が生じ、後者の場合は売上という「収益」の増加と現金預金という「資産」の増加が生じることになります。両者では、将来の返済義務があるかないかの違いが生じます。

 では、運営費交付金を国から受入れた場合はどうでしょうか。実は借入金の会計処理と同じなのです。「運営費交付金」を受け入れた際に、「運営費交付金債務」という科目を「負債」に計上し、一方、同額の現金預金が「資産」に計上されることになります。

 このように、借入金と「運営費交付金」の会計処理は同じなのですが、ここで、運営費交付金は借入金と違い返済義務がないのに、なぜ借入金と同様に負債に計上するのかという疑問が生じるかもしれません。しかしながら、「運営費交付金」も次期の中期目標期間に繰り越すことはできず中期目標終了後に原則として国庫に納付しなければならないという点において、借入金と同様に返済義務があるのです。但し、国への返済義務は、「業務の履行」により解除されます。これが、借入金と「運営費交付金」の違いです。

 「運営費交付金」における返済義務の解除は、会計上は「運営費交付金債務の収益化」という独立行政法人特有の会計処理を行うことで対応しています。独立行政法人会計では、業務の履行により返済義務が解除され、その時点で会計上は「負債」である「運営費交付金債務」から「運営費交付金収益」つまり「収益」に化けるのです。民間企業では「負債」から「収益」に化けることは考えられませんね。

 この結果、業務未履行分に相当する「運営費交付金債務」だけが負債として残り、中期目標期間終了後に原則国庫に納付されることになります。


大学再編と会計

2016-05-07 | 公会計

 私は、縁あって国立大学、公立大学、私立大学のすべての種類の大学に仕事で関係しています(たぶん、このような方はあまりいないのではないでしょうか)。このように大学と関わらせていただいている中で最近感じることとして、同じ教育機関でありながら、種類の違う大学を比較することはほぼ不可能ということです。たとえば、会計の分野においては、国立大学法人会計と公立大学法人会計は類似していますが、国立大学法人会計と私立大学が適用している学校法人会計は全く別物です。

 今まではこれで良かったかもしれません。しかし、前にも述べたとおり、現在国公立私立大学の枠組みを超えた統合を視野に入れた再編が検討されています。このような中においては、国立大学と私立大学等とを比較する会計ツールも必要になるのではないでしょうか。

 いずれそれぞれの種類の大学の会計基準の見直しの議論が生じるかもしれませんね。

 


国公私立大学の再編

2016-05-07 | 公会計

 以前、国立大学を対象に「三つの枠組み」を設け、各大学が選んだ枠組みに沿って活動を評価する仕組みを設けたと話しました。その後平成28年3月に、早速、「三つの枠組み」、つまり「世界最高水準の教育研究」、「特定の分野で世界的な教育研究」、「地域活性化の中核」の3分類ごとに特色を競わせた上での配分が決定しました。

 具体的な、「世界最高水準の教育研究」に分類された大学では、京都大学等の110.3%から金沢大学の80.2%まで、「特定の分野で世界的な教育研究」では、東京芸術大学の113.2%から筑波技術大学の82.3%まで、「地域活性化の中核」では、小樽商科大学等の118.6%から京都教育大学の75.5%までとなっています。ただし、これは、運営費交付金の1%(100億円程度)を減額し再配分するものなので、運営費交付金全体としては影響額は小さいものとなっています。しかし、これは大学を競争させ、差別化を図る試みのスタートに過ぎないと思われます。

 その後文部科学省から、国公私立大学の枠を超えた総合も含めた再編を検討しているとの報道がなされています。つまり、文部科学省としては再編の前提として、今以上に大学ごとに差別化を図ることが想定されるのです。いわゆる「国立文系」廃止議論については、文部科学省は文系軽視は誤解であるとして火消しに躍起になっています。しかしながら、今後18歳人口が急速に減少していく中においては、廃止するしないは別として、少なくとも今後地方大学の教育力や財務基盤を強化しなければならないのは事実であると思われます。

 今後、特に教員養成系の地方国立大学と私立大学の動向に注視が必要です。

 


指定国立大学

2016-02-20 | 公会計

 このたび、文科省が国立大学を対象に「三つの枠組み」を設け、各大学が選んだ枠組みに沿って活動を評価する仕組みを設けたことをご存知でしょうか。

 「三つの枠組み」に関する各大学の選択結果は、「世界最高水準の教育研究」が東京大学など16大学、「特定の分野で世界的な教育研究」が東京藝術大学など15大学、「地域活性化の中核」が55大学となっています。今後、タイプの似た大学を集めて成果を競わせる仕組みにより、今以上の大学の生き残りをかけた競争が行われます。

 さらに、昨年文部科学省に設置された有識者会議が平成28年1月の審議結果を取りまとめましたが、その中では新たに「指定国立大学」構想を打ち出しています。これは、世界の有力大学と伍して国際競争力をもち、我が国の高等教育をリードする国立大学を文部科学大臣が指定するというもので、おそらく、「指定国立大学」は、「三つの枠組み」の内、「世界最高水準の教育研究」の15大学の中から選ばれるのではないでしょうか。

 取りまとめでは、「指定国立大学」に備えるべき要素として、1)人材育成・獲得、2)研究力強化、3)国際協働、4)社会との連携、5)ガバナンスの強化、6)財務基盤の強化をあげています。

 他の大学との差別化の考え方は、以前ブログで記載した独立行政法人の「特定研究開発法人」にも通じるものがありますが、私は職業柄、上記要素に加え「指定国立大学」にふさわしいコンプライアンスの構築が求められるのではないかと考えています。


特定国立研究開発法人

2016-02-20 | 公会計

 政府は、平成27年12月21日までに「特定国立研究開発法人(仮称)」を新たに設置し、理化学研究所(理研)、産業技術総合研究所(産総研)と物質・材料研究機構(物材研)の3研究機関を指定する法案を、来年1月からの通常国会に提出する方針を決めました。

 以前、このプログで、安陪政権が独立行政法人の内、世界トップレベルになり得る法人を選び出し「特定国立研究開発法人」なるものを設立しようとしていると言いましたが、紆余曲折の末、ようやく実現が見えてきたということです。今後、3研究機関は、優秀な研究者を集めるために高額給与を支払うことなど他の独立行政法人との差別化が計られる見込みです。

 また、契約事務においても他法人と区別される見込みです。独立行政法人では、契約に係る予定価格が少額の場合、入札ではなく随意契約によることができます。これを少額随意契約と言いますが、現在、少額随意契約にできる金額は、全ての独立行政法人で国と同額か又はこれを下回る金額基準となっています。たとえば、工事又は製造をさせるときは予定価格が250万円を超えない場合随意契約を締結することができるといった具合です。特定国立研究開発法人に指定されることによって金額基準を引き上げ、その結果契約事務の迅速さを増すことが期待できるのです。但し、法人の裁量が増やことは、一方で不正等のリスクが増すことも意味しています。これらの法人は、今一層のガバナンス体制の強化が求められることになります。


独立行政法人会計基準の改訂

2015-02-07 | 公会計

 平成27年1月27日に独立行政法人の会計基準(※1)が改定されました。主な改定内容は、1)セグメント情報の充実と2)運営費交付金の会計処理です。特に、運営費交付金の会計処理は独立行政法人会計の根幹部分ですので、今回の改定は各独立行政法人に大きな影響を与えることが予想されます。

 運営費交付金の会計処理の内容については改めて記載し、今回は改定の意味について説明します。独立行政法人の財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、利益処分(損失処理)に関する書類、行政サービス実施コスト計算書及びこれらの附属明細書から構成されています。その内、損益計算書と行政サービス実施コスト計算書は、ともにコストを扱う財務諸表として類似していますが、最も大きな違いは運営費交付金の扱いにあります。損益計算書では運営費交付金を収益として扱い、一方、行政サービス実施コスト計算書は運営費交付金を考慮しません。運営費交付金は独立行政法人にとっては収入でも国にとっては同額の支出なので、法人の業務運営に関して国民が負担するコストを示す行政サービス実施コスト計算書では、差引ゼロの運営費交付金を考慮しないのは当然です。

 つまり、今回の改定で運営費交付金の会計処理を見直したことは、損益計算書の内容を見直したことに他なりません。今まで、独立行政法人における損益計算書はあまり役に立たないと言われてきたことも事実です。特に、当期総利益の意味については議論の余地がありました。今回の改定は、このような損益計算書について法人を評価する上で役に立つものにしていこうとする強い意図があるものと思われます。  

 また、管理会計的にも意味を持ちます。今後、改定後の損益計算書を活用し、各独立行政法人は自立的マネジメントの実現を図ることが求められるでしょう。

 (※1)「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」


独立行政法人改革、理研、特定国立研究開発法人 について思うこと

2014-04-22 | 公会計

先ごろ、論文の引用回数をもとにした日本国内の研究機関ランキングが発表されました。このランキングは、研究機関の世界の位置を示唆するひとつの有力な指標となるのですが、その結果は、1位東京大学、2位科学技術振興機構、3位京都大学、4位大阪大学、5位理化学研究所、6位東北大学、7位産業技術総合研究所、8位名古屋大学、9位東京工業大学・・・と続きます。有名国立大学が並んでいますが、その中に、科学技術振興機構、理化学研究所、産業技術総合研究所といった機関が含まれています。そう、この中には、あの理研も。。。理研も含め、今まであまり聞きなれない人もいると思いますが、実はこれらはいずれも独立行政法人という組織なのです。

独立行政法人は、中央省庁改革の一環として平成13年4月以降に設立された法人です。その後、特殊法人改革の受け皿になるなどによって、平成26年4月現在98法人もの法人があります。これら法人が行っている業務やその規模は様々です。独立行政法人は1つの制度のもとで管理されているのですが、業務の内容や規模が全く違う独立行政法人を、1つの制度で管理することは、当然に困難が生じます。民主党政権の時代から、このことは認識されており独立行政法人改革を模索してきました。民主党政権時代には改革は実現しませんでしたが、自民党政権に移行された平成25年末に改革に関する方針(「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月、閣議決定))が打ち出されました。この方針では、性質の違いによって、法人を3つに分類して管理するとしています。理研など上記の法人は、いずれも3つの内「研究開発型の法人」に分類されていますが、この中には他にも宇宙航空研究開発機構(いわゆるJAXA)や「しんかい6500」を所有している海洋研究開発機構なども含まれています。

さらに、安倍政権はこの「研究開発型の法人」の中から、世界トップレベルになり得る法人を選び出し「特定国立研究開発法人(仮称)」なるものを設立しようとしています。つまり、独立行政法人を性質の違いによって3つに分類し、さらに「研究開発型の法人」の中から世界への影響力の大きさの程度を勘案し「特定国立研究開発法人(仮称)」を選ぼうとしているのですね。「特定国立研究開発法人(仮称)」の候補としては、理研と産業技術総合研究所が挙がっていたのですが、STAP細胞問題の収束までは閣議決定しない方針だそうです。

さて、この動きをどう評価すべきでしょうか。結論としては正しいでしょう。そもそも、独立行政法人制度は、業務の性質や規模に合わせて法人の長に大きな裁量を与えることによって、弾力的な業務遂行を可能ならしめる制度だったはずです。つまり、性質と規模による差別化は当然必要なのです。しかしながら、実際は、いわゆる横並び体質のもと給与体系や管理の在り方(ガバナンス)はどれも似たような状況になっていました。「特定国立研究開発法人(仮称)」では、国家公務員を上回る給与が支給されるようです。もちろん、「特定国立研究開発法人(仮称)」に大きな裁量が与えられるということは、その反面、厳しい管理の在り方(ガバナンス)が要求されます。税金が投入されているのですから。ただ、独法を差別化することと効率的に運営することは両立できるはずです。いずれにしても、今後、性質と規模による差別化を図り、法人間の競争原理を高めることは必要なことです。

今後の行方を見守りましょう!