こんにちは!公認会計士の青山です

パブリックセクターを中心に会計その他のお手伝いをしています。徒然なるままに仕事やプライベートについて紹介します。

人生初

2016-05-31 | 日記

 先週末から人生初の経験をしています。初入院に初点滴。今週末には退院できそうですが、皆さま心配をおかけしてすいません。


独立行政法人における業務の履行とは

2016-05-31 | 公会計

 前回、「運営費交付金」が「負債」から「収益」に化けるには「業務の履行」が必要と言いました。では、「業務の履行」とは何でしょうか?独立行政法人会計では、「業務の履行」を測る指標として「業務達成基準」、「期間進行基準」、「費用進行基準」の3つの考え方を提示しています。

 

(1) 業務達成基準

一定の業務等と運営費交付金との対応関係が明らかにされている場合には、当該業務等の達成度に応じて、財源として予定されていた運営費交付金債務の収益化を進行させる。

(2) 期間進行基準

業務の実施と運営費交付金財源とが期間的に対応している場合には、一定の期間の経過を業務の進行とみなし、運営費交付金債務を収益化することができる。たとえば、独立行政法人ではありませんが、大学では一学期が終われば一学期分の授業(教育機関としての大学の業務)は履行していると考えられますね。

(3) 費用進行基準

業務のための支出額を限度として収益化するものとする。

 従来、多くの独立行政法人では、一番会計処理が楽な「費用進行基準」を採用していました。この「費用進行基準」を採った場合、費用認識の額と同額が収益化されることになり、差益が発生する余地はありません。しかし、平成27年に会計基準が改正され、「業務達成基準」が原則とされ「費用進行基準」は採用できなくなりました。これには、多くの独立行政法人が慌てました。業務の進行度合いをどのように測るか検討もつかなかったからです。

 ただし、その後会計基準のQ&Aも見直され、投入資源(例えば作業時間、投入費用)などのインプット情報で進行状況を測定できる場合、業務の進行状況と密接に関連するなどの理由から、投入資源に着目した指標を設定することも考えられるとの見解を公表しました。あれ?もしかして、これ「費用進行基準」ではない?従来との違いは、今までは法人全体で「費用進行基準」を行っていたところが、新たな処理は業務区分ごとに処理を行う違いはありますが、費用進行の考え方は同じです。業務達成基準(投入費用方式)とも言うらしいのですが、、、

 この結果は、実務サイドと基準設定サイドの妥協の結果とも言えますが、いずれにしても、多くの独立行政法人はほっとしたでしょうね。


日本一わかりやすい国立大学法人・独立行政法人の会計の話

2016-05-31 | 公会計

 公会計の仕事をしていると、よく公的機関の会計がわからないと言われます。特に、国立大学法人・独立行政法人の会計では、「運営費交付金」の会計がわからないようです。

 「運営費交付金」は、国が各国立大学法人・独立行政法人交付している一種の補助金です。各組織は、主にこの「運営費交付金」をもとに業務を運営しています。では、早速「運営費交付金」の会計処理について説明しましょう。

 一般的に、民間企業でも公的機関でも、その組織の現金預金(キャッシュ)が増える理由は、おおざっぱに言って2つ考えられます。金融機関等からの借入れによって現金預金(キャッシュ)が増える場合、売上によって現金預金(キャッシュ)が増える場合です。複式簿記の場合、常に取引を二面性で捉える必要がありますが、前者の場合は借入という「負債」の増加と現金預金という「資産」の増加が生じ、後者の場合は売上という「収益」の増加と現金預金という「資産」の増加が生じることになります。両者では、将来の返済義務があるかないかの違いが生じます。

 では、運営費交付金を国から受入れた場合はどうでしょうか。実は借入金の会計処理と同じなのです。「運営費交付金」を受け入れた際に、「運営費交付金債務」という科目を「負債」に計上し、一方、同額の現金預金が「資産」に計上されることになります。

 このように、借入金と「運営費交付金」の会計処理は同じなのですが、ここで、運営費交付金は借入金と違い返済義務がないのに、なぜ借入金と同様に負債に計上するのかという疑問が生じるかもしれません。しかしながら、「運営費交付金」も次期の中期目標期間に繰り越すことはできず中期目標終了後に原則として国庫に納付しなければならないという点において、借入金と同様に返済義務があるのです。但し、国への返済義務は、「業務の履行」により解除されます。これが、借入金と「運営費交付金」の違いです。

 「運営費交付金」における返済義務の解除は、会計上は「運営費交付金債務の収益化」という独立行政法人特有の会計処理を行うことで対応しています。独立行政法人会計では、業務の履行により返済義務が解除され、その時点で会計上は「負債」である「運営費交付金債務」から「運営費交付金収益」つまり「収益」に化けるのです。民間企業では「負債」から「収益」に化けることは考えられませんね。

 この結果、業務未履行分に相当する「運営費交付金債務」だけが負債として残り、中期目標期間終了後に原則国庫に納付されることになります。


国立天文台

2016-05-08 | 日記

 東八道路のオートバックスに車を預け、その回収まで3時間程度あったので、国立天文台を訪れた。三鷹に住んで15年、初めての訪問です。思っていたより深い森です。スズメバチや毒蛇のヤマカガシも出るそうです。

 それにしても、天文台は大正時代に麻布飯倉から三鷹に移転したそうです。私と同じなのかと思うと、より感慨深いものがあります。

 

  


大学再編と会計

2016-05-07 | 公会計

 私は、縁あって国立大学、公立大学、私立大学のすべての種類の大学に仕事で関係しています(たぶん、このような方はあまりいないのではないでしょうか)。このように大学と関わらせていただいている中で最近感じることとして、同じ教育機関でありながら、種類の違う大学を比較することはほぼ不可能ということです。たとえば、会計の分野においては、国立大学法人会計と公立大学法人会計は類似していますが、国立大学法人会計と私立大学が適用している学校法人会計は全く別物です。

 今まではこれで良かったかもしれません。しかし、前にも述べたとおり、現在国公立私立大学の枠組みを超えた統合を視野に入れた再編が検討されています。このような中においては、国立大学と私立大学等とを比較する会計ツールも必要になるのではないでしょうか。

 いずれそれぞれの種類の大学の会計基準の見直しの議論が生じるかもしれませんね。

 


国公私立大学の再編

2016-05-07 | 公会計

 以前、国立大学を対象に「三つの枠組み」を設け、各大学が選んだ枠組みに沿って活動を評価する仕組みを設けたと話しました。その後平成28年3月に、早速、「三つの枠組み」、つまり「世界最高水準の教育研究」、「特定の分野で世界的な教育研究」、「地域活性化の中核」の3分類ごとに特色を競わせた上での配分が決定しました。

 具体的な、「世界最高水準の教育研究」に分類された大学では、京都大学等の110.3%から金沢大学の80.2%まで、「特定の分野で世界的な教育研究」では、東京芸術大学の113.2%から筑波技術大学の82.3%まで、「地域活性化の中核」では、小樽商科大学等の118.6%から京都教育大学の75.5%までとなっています。ただし、これは、運営費交付金の1%(100億円程度)を減額し再配分するものなので、運営費交付金全体としては影響額は小さいものとなっています。しかし、これは大学を競争させ、差別化を図る試みのスタートに過ぎないと思われます。

 その後文部科学省から、国公私立大学の枠を超えた総合も含めた再編を検討しているとの報道がなされています。つまり、文部科学省としては再編の前提として、今以上に大学ごとに差別化を図ることが想定されるのです。いわゆる「国立文系」廃止議論については、文部科学省は文系軽視は誤解であるとして火消しに躍起になっています。しかしながら、今後18歳人口が急速に減少していく中においては、廃止するしないは別として、少なくとも今後地方大学の教育力や財務基盤を強化しなければならないのは事実であると思われます。

 今後、特に教員養成系の地方国立大学と私立大学の動向に注視が必要です。