こんにちは!公認会計士の青山です

パブリックセクターを中心に会計その他のお手伝いをしています。徒然なるままに仕事やプライベートについて紹介します。

地方の大学が生き残るには

2017-09-26 | 公会計

 東京都の小池知事は、人気が高い秋田の国際教養大学の例をあげ、大学が抱えている問題と一極集中の問題は次元が異なると述べています。確かに地方大学の苦悩を一極集中だけの問題にすることはできないでしょう。しかしながら、普通の努力でも学生が集まる都市部の大学がある一方、努力をしても学生が集まらない地方大学も多いのです。高等学校を卒業してさらに大学で4年間一般教養を学ぶことに価値を見出していない家庭は、都市部より地方の方が多いと想定すると、地方大学の問題は一極集中の問題以上に深刻かもしれません。

 言えるのは、地方大学は都市部の大学とは違う工夫が必要ということです。たとえば、一般教養以外の知識、技能を身に着けることができるとか、資格を獲得できるなどです。また、都市部の大学と比べて就職活動に不利にならないような工夫も必要でしょう。国立、私立を問わず、地方の大学は、広い土地など都会にはない魅力も多いのです。工夫の仕方によっては、都市の若者にとっても4年間過ごしたいと思うことでしょう。

 現在、地方の国立大学の文系を再編する動きがありますが、地方創成には大学の存在は欠かせません。私が関わっていた山梨県の公立大学は、町に学生がいるだけで活気が生まれていました。地方創成を進めていくためにも、地方の大学が生き残る工夫を真剣に検討することが必要です。

 


都市部の大学は何を行えばよいのか?

2017-09-06 | 公会計

 先日、文部科学省による東京23区の定員抑制の問題に触れました。また、東京一極集中の問題と大学の問題は関係していることも触れました。現状においては、一極集中が学生の都市部の大学への集中を生み、それがまた次世代の一極集中を増長しています。都市部の大学はそのスパイラルを切る必要があります。

 ただし、東京23区の定員抑制策は、都市部と地方の大学格差及び東京一極集中の問題を解決するための根本的な解決策にはなっていません。では、一極集中のスパイラルを切るために、大学、特に都市部の大学は何をすれば良いのでしょう。

  まず地方自治体と組み、地方創成の一翼を担うことも必要でしょう。たとえば、都市部の大学が地方の自治体と協定等で手を組み、大学は地場産業の活性化や産業創出に貢献するとともに、地方の自治体は都市部の大学の学生の就職支援に協力するのです。地方を離れる学生の多くは地元に戻りたいけれども戻れないのが実情です。学生にとっても進学した大学が、自分の地元と密接な関係があればうれしいでしょう。また、地元の地方創成に参加する機会があるかもしれません。さらに、それが縁で地元に就職できるかもしれません。すでに、自治体と積極的に協定を締結している大学もあります。また、私立大学連盟の調査(「私立大学の地方創生の取組」)では、加盟大学の約7割がすでに地方創生に向けた取組を行っているというデータもあります。ただ、インパクトのある取組という点では、まだまだこれからでしょうか。今後も継続することが重要です。

 なお、都市部の有力大学の合格者の割合のうち都市部の学生割合が増えている現象(東京ローカル化)が生じており、これをもって一極集中に歯止めがかかっていると考える人もいます。しかし、実際にはこの現象は一極集中の進んでいる結果であり、ただ単に地域の学生が経済的な面等で都市部に来るハードルが高くなっているためと思われます。

 いずれにしても、一極集中の恩恵を受けている都市部の大学が、一極集中のスパイラルを断ち切るべく地域貢献に積極的に乗り出すことは意義があることだと思います。


23区内大学定員増抑制について

2017-09-05 | 公会計

 現在、国は東京23区の定員抑制策を推進しています。

 但し、東京23区内の収容定員増抑制の問題については、一般財団法人日本私立大学連盟が、「私立大学の定員や学部・学科の新設等を規制する立法等による措置を講ずることは、学問の自由や教育を受ける権利に対する重大な制約となり得る」との声明を5月に公表しています。

 また、東京都の小池知事も、7月の全国知事会議などで、大学が抱えている問題と一極集中の問題は次元が異なり、混同して東京23区内の収容定員増抑制を行っても大学問題、特に地方の大学が抱える問題の解決にはならない旨の発言としています。

 いずれの意見もそのとおりです。ただ、日本が抱える一極集中の問題と大学の問題は密接に関係していることも事実です。多くの企業が首都圏に集中していれば就職活動に有利な首都圏の大学に学生が集まることも道理にかなっています。

 東京23区内の収容定員増抑制は暫定的な措置としては有効ですが、根本的な解決のためには、地方の大学、首都圏の大学、そして国が、それぞれしっかりと問題解決のための検討を行うことが必要です。