東京都の小池知事は、人気が高い秋田の国際教養大学の例をあげ、大学が抱えている問題と一極集中の問題は次元が異なると述べています。確かに地方大学の苦悩を一極集中だけの問題にすることはできないでしょう。しかしながら、普通の努力でも学生が集まる都市部の大学がある一方、努力をしても学生が集まらない地方大学も多いのです。高等学校を卒業してさらに大学で4年間一般教養を学ぶことに価値を見出していない家庭は、都市部より地方の方が多いと想定すると、地方大学の問題は一極集中の問題以上に深刻かもしれません。
言えるのは、地方大学は都市部の大学とは違う工夫が必要ということです。たとえば、一般教養以外の知識、技能を身に着けることができるとか、資格を獲得できるなどです。また、都市部の大学と比べて就職活動に不利にならないような工夫も必要でしょう。国立、私立を問わず、地方の大学は、広い土地など都会にはない魅力も多いのです。工夫の仕方によっては、都市の若者にとっても4年間過ごしたいと思うことでしょう。
現在、地方の国立大学の文系を再編する動きがありますが、地方創成には大学の存在は欠かせません。私が関わっていた山梨県の公立大学は、町に学生がいるだけで活気が生まれていました。地方創成を進めていくためにも、地方の大学が生き残る工夫を真剣に検討することが必要です。