「国立大学法人等は、(中略)文部科学大臣の認可を受けて、当該国立大学法人等の所有に属する土地等であって、当該業務のために現に使用されておらず、かつ、当面これらのために使用されることが予定されていないものを貸しつけることができる。」
これは、平成29年4月の改正法で、国立大学法人法に新たに加わった条文です(国立大学法人法第34条の2)。
簡単に言うと、国立大学で今まで認められていなかった大学の土地等の第3者への貸し付けを認めるというものです。
国立大学は、今までも改革が行われてきました。国立大学法人化、3分類で評価した上での運営費交付金の配分、指定国立大学法人の指定(これも今回の改正法。)など。ただし、なかなか成果が発現しません。運営費交付金が削減される中、世界ランキングでも苦戦が続いています。
そのような中、土地等の貸し付けが認められることの可能性は大きいと感じています。国立大学の多くは、土地は広くてもその一部が遊休土地となっていたりします。特に、都市部にある国立大学は、そのような土地が活用されないことの機会費用は大きいのです。今後、そのような土地の有効活用、たとえば民間企業との共同利用施設の構築、民間ディベロッパーと共同での宿舎や寮の建築など、可能性は広がります。もちろん、大学の収益源としても期待できます。各大学の土地等の有効活用に向けた取り組みに期待します。
なお、今回の改正は国立大学の会計にも影響するでしょう。現状の会計基準では、固定資産について当初予定していた使用目的で使用しない決定、つまり用途変更の決定をした場合にも減損処理すなわち資産の価値をさげなければなりません。しかしながら、実際には用途変更を行っても資産の有効活用を行っている場合もあります。今後会計基準の見直しが必要かもしれませんね。