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ヨルムンガンド2期の感想2。ココと私兵は何故仲が良いのか?

 2012年秋アニメの感想の続きで、「ヨルムンガンド PERFECT ORDER」の感想2です。
 いいアニメでした。
 今回は、ココ達が仲が良いことの不思議さについてです。

● 「絆」?

○ 美しき武器商人のココ(cv伊藤静)には9人の精鋭の私兵(つまり傭兵)がいて、エコー(cv浜田賢二)が死に、ヨナ(cv田村睦心)が加わり9人。で、アール(cv小西克幸)が死に8人に。

 ココは仲間を凄く大切にし、ココ達は「強い絆で結ばれていて、鉄の結束を誇るココ部隊のメンバー。」(1期総集編でのショコラーデ(cv小清水亜美)による解説。)だそうです。


 1期もそうでしたが、ココとココの傭兵達の仲が良く、傭兵同士も仲が良く、また、ココの兄のキャスパー(cv松風雅也)と彼の傭兵達も仲が良く、傭兵同士も仲が良く、ちょっと違和感。
 私兵とはお金で雇われる傭兵のはず。しかし、最初は傭兵だったのかも知れませんが、直ぐにだか、しばらくしてだか、友達だか何だか、「絆」を感じる仲になったということなのでしょう。


○ 一般論として、友達ではなくても、同じ雇い主の傭兵になったら仲間同士ではあります。仲間と力を合わせれば、1人や少数では倒せない敵を倒せます。爆弾、長距離狙撃、砲術、市街戦、ヘリや飛行機の操縦、体術など、各人に得意分野があるでしょうから、各人が背中を任せ合い、各人が補い合って戦えばより強くなり、自分の命を守るためにも有効かつ必要です。

 だから、傭兵達は、雇い主の命令を果たすために、そして何よりも自分自身の命を守るために協力して戦うはずであり、それは仲間と呼ばれるものです。

 しかし、お金で雇われただけの傭兵が、自分の命を捨ててまで仲間や雇い主を守るとも思えません。自分の命が危ない場合は、命をかけて戦うふりをしつつ、自分が死なないように上手く戦うのではないでしょうか。


● 傭兵は何故に傭兵をしているのか?

 ココと傭兵達の間には、お金以上の何かがあるということになります。
 で、まず、傭兵が傭兵である理由について。

(1) 軍隊経験者であるなど、生活費を稼ぐすべを他に知らない。

(2) 軍隊経験者であるなど、平和な日常では落ち着かないとか、精神的におかしくなっていて平和な日常には適応できないため、戦場の緊張感の中でしか生きられない。

(3) 軍隊経験者であるなど、過酷な戦場を経験するうちに、単に命がけの中でしか生きている実感がわかない。

(4) 自殺願望。死に場所を探している、ってやつ。

(5) 大金が必要で、手っ取り早く高額を稼ぐことができる。

(6) 単に人殺しが好き。

(7) 雇い主に人間的にホレた、雇い主のやろうとしていることにホレた。


 因みに、「エリア88」の傭兵達は、(1)から(4)が主たる理由で傭兵になり、長い付き合いの末に、最後は(4)もありつつの(7)でした。


 で、このアニメに戻って。
 これらは傭兵になるキッカケにはなりますが、(7)を除けば、これだけでは命がけでココを「守り続ける」理由にはなりません。

 特に、15話のアール(ココの傭兵だがCIAのスパイ。)のように、CIAのヘックス(cv久川綾)との戦いで自分が死ぬ覚悟でヨナとココを守ろうとするとも思えません。
 アールの場合は、ヨナという「枷(かせ)」「リミッター」が外れるとココと世界が大変なことになると判断したこと、「あなたは素敵です、ココ。大きな夢を実現しくれる。そう感じさせる。だから、だからアールは命をかけてあなたを守ったのです。そう思いませんか。」とバルメが言うようなことからヨナとココを命がけで守ったわけですが、それは(7)でありアールなりの正義感でもあり、(9)でもあり。

(8) ココが好きだから。

 バルメ(cv大原さやか)は女性ですが、これが一番と言うか、理由のほとんどです。これは分かりやすい。

(9) ココといると楽しいことが起きているし、今後も起きそう。

 ココの傭兵のボスに当たるレーム(cv石塚運昇)もこのようなことを言っていますが、これは(1)から(3)、(5)(6)のどれかがあった上でのものです。

(10) 一緒に戦っているうちに、ココや傭兵達に友達かそれ以上の近しい感情、戦友意識(?)が生まれた。

 あり得ますが、、、ココとキャスパーの両方の傭兵に生じたというのは偶然過ぎますが、ありえない偶然ではありません。
 同じ国の国民同士が一緒になって自らの国を守るために敵と戦う普通の戦争と違って、傭兵は縁もゆかりもない国や人を守るためにお金で雇われているのですから、戦友意識の類は生まれにくいはずですが、あり得ないわけではありません。

 とは言え、次のココの情けなさを見ると、そういう理解も無理に思えてなりません。



 つまり、14話前半最後の、武器商人を始めたばかりと思われる数年前のものらしきシーンでは(ココは10代後半に見えますが、年齢は不明。)、ヘックス(cv久川綾)に追われて殺されそうになったときに、ココは、怖い、死にたくないと泣き叫んだり、傭兵に対し、お金を払っているのだから助けろとバルメ(cv大原さやか)に怒鳴ったり、バルメがココをビンタして落ち着かせたり、ココは情けないです。

 でも、その時点でも、撃たれていて、もう直ぐ死ぬエコーが、「いいぜぇ、お嬢。守ってやるよ。でも、カネとかじゃねぇんだよ、ばか。但し、条件が一つ。いつも言ってるだろ。威圧的にわめいてないで、常に笑っているべきだ。ボスってのは、そういうもんだ。」と言っています。


 この情けなさで傭兵がココに魅力を感じるのも不思議ですが、そういうものだと思うしかないのでしょう。

 ココは傭兵達が死ぬことはもとより、去ることすらもひどく嫌がり、ひどく恐れ、また、傭兵達をとても大事にしていますから、その内面の弱さと、表の顔の強さ・強がりに惹かれるという説明は、一応は成り立たないわけではありませんが、弱いです。
 つまり、それは、傭兵達がココを守ってあげたい、庇護したいと思っているということになりますが、恋愛感情を持っているのなら問題ありませんが、そうでなければ、傭兵達がそんなことのために命をかけたり捨てたりするとも思えません。


 傭兵達がココを「守り続ける」理由は、結局、(7)(9)(10)と言ったところと考えるしかなさそうで、平たく言えば、フィクションにありがちな、カリスマ的魅力ってヤツと考えるしかなさそうです。
 但し、その魅力の根拠はあまり描かれていません。

 それは、傭兵としてお金で雇われているからというのは最初に雇われるキッカケでしかなく、雇われている内に個人的にココに仕えたくなったから、ココに魅力があったから、ココのすることが面白そうだからというカリスマ的魅力というのは、フィクションではよく使われる、たいした根拠のない理由ということになります。

 それだけで「強い絆」が生まれ、命をかける・捨てるには、根拠が弱いですが、このアニメにおいてはそういうものだと思うしかないのでしょう。
 (ココが男性の傭兵と肉体関係や恋愛関係にありそうな雰囲気は全くないので。)

 シリアスな話で、こういう根拠がない理由で話が進むというのも、少し引っかかりますが、取り敢えず、仕方ない、と言うことにしておきますか。。。




 ただ、「エリア88」も結局は雇い主のカリスマ的魅力だと言っても良いでしょうけれど、漫画で23巻かけてじっくり描いたので違和感を感じなかっただけで、「ヨルムンガンド」は、読んではいませんが漫画で11巻、アニメで24話なので、描写がはしょられているだけだと考えれば良いのでしょう。


 また、(4)の自殺願望か、希死念慮(きしねんりょ。死にたい理由がある程度はっきりしている自殺願望とは少し違って、理由は良く分からないけれど死にたいと願うこと。精神障害の症状として出る場合も結構ある。精神医学の用語。)が傭兵達のベースにあると考えると、危険の中に身を置く理由が、より理解しやすくなります。


 なお、ヤクザやマフィアの世界ではボスの命令で命を捨てることはありますが、傭兵のような契約の世界(契約期間が終われば自由に別世界に行ける。)とは別の論理でそうなっているので、参考にはなりません。


【shin】
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