2024/12/28 sta
前回の章
影原美優との別れ。
いや、言い方が違うか。
彼女にフラれ、俺から関係を切った。
これ以上俺は、彼女の相談に乗る事もない。
自分で選んだのだから、これからは彼女自身で好きにしていけばいい。
複雑な心境のまま、川上キカイへ出勤した。
九時に恒例の朝礼があり、それから業務開始となる。
まとめて送られてくる三十二台のノートパソコン。
「先生はそちらのパソコンから、電源入るかチェックしてもらっていいですか」
「了解です」
上司の小田柳の指示に従いながら、作業をしていく。
向こう側の荷物の中には、リース契約の終わったプロジェクターやレーザープリンターまである。
本当にここは宝の山だ。
俺が各品の名称とチェックを行い、小田柳がそれを書類に書き込む。
「先生、一服しましょうか」
喫煙ブースへ向かう。
「はい、先生。コーヒー」
いくら言っても小田柳は俺を先生と呼ぶのをやめてくれない。
嫌味な言い方でなく、作家としての俺を認めての先生という言い方なので仕方なくその好意を受けた。
「いつもすみません、小田柳さん」
「先生! 読ませて頂きましたよ」
「何をです?」
「『忌み嫌われし子』と『ブランコで首を吊った男』をですよ。失礼ですけど、最初ぶっちゃけどうなのかなって思っていたんですよ。かなり面白かったし、怖かったですよ」
興奮して俺の小説の感想を言う小田柳。
しほさんにはかなり指摘された作品ではあるが、普通の読者から見れば面白い作品なのだろう。
「先生、もっと他の作品もないんですか?」
生の声はとても嬉しい。フラれた形になるのだろうか?
あれはちょっと違うか。
ここにいると、先日影原美優にフラれたばかりの傷が癒えてくる。
そういえばフラれるなんて、品川春美以来だな……。
ぎーたかにも俺は、フラれた形になるのか?
いや、あれは少し違うな。
まあ粘着系にストーカーチックな真似をされるよりはいい。
もう深く考えるなよ。
俺は気付けば影原美優の事を好きになっていて、気持ちを伝えたらフラれた。
それだけの話だ。
今は仕事をして、帰ったら小説を書いて…、その繰り返しだけで充分だ。
川上キカイの俺たちの部署へ、新人が入ってきた。
八歳年下の本間。
彼も派遣会社から入ってきたが、俺の派遣とは別会社から来たようだ。
少しオドオドした感じの大人しい真面目な子という印象。
俺と小田柳は業務内容を手取り足取り教え、三人で日々の業務をこなす。
少しだけ不満だったのが、違う派遣会社からの出向なので本間のほうが給料が高い部分だった。
しかしこれは彼に責任は無い話なので、あえて口に不満を出すような野暮な真似は避ける。
必然的に帰り道は同じなので、仕事が終わると一緒に帰った。
働き出して少し余裕の出た俺は、いつも休憩の度に缶コーヒーをご馳走してくれる小田柳の分もまとめて弁当を作り、職場へ持って行くようにした。
俺が料理までできると思わなかった小田柳は驚き、弁当を絶賛してくれる。
今まで友達くらいしか俺の作る料理を食べてくれなかったので、褒められるのはとても嬉しく思う。
共に働く本間の分まで作るようにした。
仕事を終えてからすぐ料理に入ると、伯母さんのピーちゃんと鉢合わせ、またグダグダと嫌味や文句を言われるので、深夜寝静まってから作るよう心掛ける。
ついでに作っただけなのだが、本間はその行動に感謝を覚えていたようで、たまに帰り道食事に誘われ、そこの会計は「いつも岩上さんにはお世話になっているので、ここくらい出させて下さい」と全部ご馳走してくれた。
これまでにないいい人間関係を築けた職場。
俺にとってとても居心地の良いものだった。
土日祝日は川上キカイが休みなので、必然的に小説の執筆漬けの時間を過ごす。
未だ思い出すあの感触。
影原美優の一連の流れ。
関係を切ってしまったが、一度くらい強引に抱いておけば良かったという後悔があった。
いや、無理やり抱かなかったからこそ、彼女は俺に甘えたいと複雑な関係ながら寄ってきていたのだ。
俺が焦り過ぎた為、あのような結果になってしまった。
その思いは強い。
無性に淋しさだけが残った。
以前ならもっと女性関係って良かったはずなのになあ。
ミクシィで過去の記事を見る。
俺から去って行ったみゆき。
がさつに見えたが、内面ではとてもデリケートな部分もあったのだろう。
何故彼女が結婚したあとも、俺にあのように関わってきたのかまでは分からない。
しかし俺ががっかりさせるようなメールを打つまで、みゆきはずっと俺の味方を…、一生懸命応援をしてくれていたのだ。
本当に俺は馬鹿だなあ……。
数か月前、みゆきしか閲覧できない設定の記事を書いた。
「智が、私と出会う前にどれだけ女関係あったのか、本当に知りたいわ」
当時あいつは俺に何度もそう言ってきて、一度写真付きでそれをミクシィに書けとねだられる。
自分が俺の作品にいつ登場するのか、とても心待ちにしているようだ。
そう、みゆきはそんな変わった女だった。
俺は当時書いたみきゆだけが見られる記事を眺める。
【みゆき専用日記 過去の女関係】
※但し、プリクラを撮った写真のみなのですべてではない。
千九百九十九年十二月九日
小川誉志子
知り合ったのは浅草ビューホテルでバーテンダーをしていた頃の同僚。
彼女は現在スチュワーデスになる。
当時俺の競馬狂いに怒り、イギリスへ行ってしまう。
これは俺が毎回デートの約束をしていたのに週末になると競馬をやってしまい、勝てば問題ないが、負けた時はオケラでデート代すらなかったので当日になってよくドタキャンをした。
それに呆れ「あんたなんか馬と結婚すればいいんだ、馬鹿」と去られる。
これが彼女に言われた最後の台詞であった。
イギリスへ行って新しい何かを掴みたいと言っていた誉志子は、俺によく相談をしていた。
それを俺の競馬でぶち壊しにしてしまった訳だ。
『新宿プレリュード』に出てくる浅野美嘉とは同時期に働いていた。
彼女と新宿でよく会うようになったのは、小川誉志子と終わったあとになる。
その浅野美嘉とも、俺が総合格闘技に出る手前に終わってしまう。
二千年三月三日
春花
歌舞伎町の西武新宿駅前通りの真面目なマッサージで働いていた中国人の彼女。
美人だったのでデートに誘い、愛を重ねるも、スナックで知り合った容子に心を奪われ別れを告げる。
その後今や声優となった乾政子といい関係になったが、調子に乗っていた俺は政子以外にも女へ手を出しまくり、彼女が声優のテストに合格した瞬間捨てられる。
また乾政子は小川誉志子に似た面影があり、当時お触りパブ『エンジェルキッス』で働いているところを口説いた。
政子に裏切られた事を知った俺は、浴びるように酒を飲んだあと、春花のマンションへ夜中突然向かう。
心の痛手を癒してもらおうとするも、入口で出迎えてくれた春花にいきなりゲロをぶっ掛け、これで完全に関係は終わる。
ちなみに乾政子は有名な声優にはなれなかったが、映画『ハウルの動く城』などに声で出演している。
二千年三月十四日
山谷千草
地元スナック『五次元』で働いていた人妻。
「岩上さんって本当に好みなの」とストレートでウイスキーを飲む俺に対し、ストレートグラスを自腹で買ってくるぐらい気に入られ「一度でいいからデートしてほしい」と言うので仕方なく時間を空ける。
ただセックスは中々相性が良く、何度か密会を続ける。
しかし本庄まなみ似の容子と出会い、関係を一気に切る。
未だ覚えているのが、別れたのはホワイトデーの日。
知り合って間もなかった容子と会いたかった俺は、せっかく千草が会いに来たのに「惚れた女ができたから、おまえとはもう会えない」と冷たく言い放ち、その場で強烈なビンタを食らう。
二千年八月十八日
ルーシーマザーエリカ
俺が世界の岩上となった頃。
ルーマニアのダンサーで、ショーを見た後声を掛けたのがきっかけで付き合う。
セックスで行く時白目を向くのがちょっと怖かった
しかし、日本語のできない彼女。
英語での会話の壁は非常に厚く、表現方法をどう伝えていいか困った俺は、面倒だったので他の女を口説くようになる。
彼女が帰国間際、英語で留守電を入れていたが、意味の分からない俺は返事を返さなかった。
あとで英語のできる部下に留守電を聞かせると「智一郎、あなたをとても愛してる。私は明日帰国してしまう。寂しい」と言った内容のものだったらしい。
この後、俺は総合格闘技の試合で現役復帰を果たす。
写真は無いが、火の国九州からストーカー女たち。
詳細は俺の作品である『鬼畜道 〜天使の羽を持つ子〜』の『進化するストーカー女編』を読んでもらえれば、色々どう怖かったのか知る事ができると思う。
竹内朋世
中学時代の同級生、中三で同じクラス。
久しぶりに地元の道端で偶然再会、可愛くなっていたので食事へ誘い「実は中学校の時、おまえの事好きだったんだ」と嘘をつくと、彼女はそれを真剣に受け取り、涙ぐんでしまう。
「何でもっと早く言ってくれなかったの?」
そう言った彼女ではあるが、おっぱいがちっちゃいのがちょいと難点だった。
二千一年八月三日
真理
歌舞伎町のおさわりパブ『エンジェルキッス』で働いていた女。
仕事中暇だったので店を部下に任せ抜け出し、フリーでおさわりへ行く。
ワンタイムで四人の女が順番につき、俺は一人もおっぱいを触らずに我慢する。
すると「何でお客さん触らないの?」と言うので、「何故君のような綺麗な子がここでいるんだろうって思ってさ。こんな場所でなく、ゆっくりお洒落なレストランで食事をして時間を共有したい」と言うと、四人中二人がデートに応じてくれた。
真理はその内の一人である。
もう一人の名は葉月。
写真は無いが、新宿プリンスホテルで一時の逢瀬を楽しむ。
二千一年十月四日
河野めぐみ
地元川越のスナック『花』で知り合った女。
そもそも顔だけは良く、家の隣の『トンカツひろむ』へママのみなみと来ていたので知っていた。
ある日『花』へ行くと、カウンター席には俺とめぐみだけ、あとの従業員や客はすべてボックス席にいたので「ねえねえ……」と耳元で囁くように言うと「ん?」と顔を寄せてきたので、その場でキスをした。
彼女はその行為一発で簡単に落ちた。
しかし旦那がいて、五歳の娘がいる事を後日知る。
何度か密会を重ねるも、めぐみが本気になりそうだったので別れを告げた。
二千一年十一月二日
川窪愛(ミサキ)
唯一俺が手を出さず、妹として可愛がった女、愛。
現在出版中の『新宿クレッシェンド』でも主人公赤崎隼人の妹の名前に『愛』を使ったほどである。
【『鬼畜道~天使の羽を持つ子~』ミサト編』】より一部抜粋
ある日、近所の人と仕事の帰り道、立ち話をしていると出て行ったお袋と新しい男性の間に実は子供がいるらしいという噂を聞いた。
何でもその子はもう二十歳だとか……。
あの鬼畜のようなお袋に、娘がいる?
二十歳だとすれば、ちょうど俺と十歳も違う。
お袋が家を出て行った時、俺は小学校二年生だったから七、八歳。
それから男で出会い、妊娠するとしたら計算上は合う。
もし本当に娘がいるのなら、俺や龍也、龍彦の存在をその子は知っているのだろうか……。
親父と三村に続き、また何かしらの因果を感じる自分がいた。
家に帰ると居間におばさんのユーちゃんがいたので話し掛けてみる。
「ねえねえ、俺のお袋に子供がいるって話聞いた事ある?」
「ああ、私も聞いた事あるね。女の子って聞いたけど」
「……」
「もしそうだとしても、もうおまえたちには関係のない話だろ?」
「あ、ああ…。そうだね」
何故か釈然としない。
本心を言えば、その噂を耳にした時、一度その子に会ってみたいと思った。
同じ血が流れる十歳年下の妹がいたという事実……。
そう思うと非常に気になって仕方がなかった。
だけどお袋の顔など見たくもないし、一切関わりを持ちたくない。
そんな複雑な気分のまま時間だけが過ぎていった。
日頃の鬱憤を晴らしにキャバクラへ一人で行く。
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中 略
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ちょうど妙な噂を聞いたのも手伝ってか、何でもない会話が何故かとても楽しく感じる。
俺の隣にいるミサトの横顔を眺めながら、不思議と名も顔も知らない妹の存在を思い出していた。
向こうは俺という存在を知っているのだろうか?
そんな事を考えても答えなど出ないのは分かっている。
それでも俺は考えてしまう。
「あれ、どうしたの? 難しい顔して黙っちゃって」
「ん、いや、そんな事ないよ。俺、男兄弟だし、妹がいたらこんな感じなのかなって思ってただけ」
「妹か~。じゃあ龍ちゃんは私にとってお兄ちゃんだね」
兄という響きが不思議と心地良かった。正直言ってミサトはかなり俺のタイプである。しかしそう言った感情を抑え、良き兄としてこの子に接するのも悪くない。
「兄貴か……」
「ねえねえ、良かったら携帯番号教えてよ。今度一緒にご飯食べに行こうよ」
この子の笑顔は荒んだ俺の心を癒してくれる。
「ああ、いいよ。俺もミサトとはゆっくりプライベートで話をしてみたい」
ミサトと初対面はこんな感じだった。
二千一年十月二十九日
武田由香里
愛(ミサキ)を妹のように可愛がりつつ、当時は適当に色々な女と遊ぶ。
由香里もその内の一人。
愛と同じキャバクラで働く彼女だが、性格があまり良くない為一回抱いてから捨てる。
二千一年十二月十二日
菅谷篤子
おそらくこれまでの女関係の中で一番高学歴。
彼女は学習院大生、夜は愛(ミサキ)と同じキャバクラで働く。
誕生日にビトンのバックを買ってやり、新宿プリンスホテルで祝う。
しかしクリスマスの日に俺に対し「店に来てほしい」と言う台詞に俺がキレて、相手にしなくなる。
第一勧業銀行へ就職が当時決まっていたらしいが、今頃どうしているのだろうか。
守銭奴で胸は小さいくせに、プライドだけは高い女だった。
二千二年四月八日
品川春美
過去最大の求愛をした女性、春美。
俺は彼女の為にピアノを弾き始め、小説も書き始めた。
知り合ったのはキャバクラ、しかし今まで見てきた飲み屋の女とはまるで違う雰囲気を纏った彼女。
デートに誘うと、彼女は自分の誕生日を指定してきたので、俺は古巣である浅草ビューホテルへ連れて行く。
酒に酔わない俺が、唯一酔ってしまい愚行を犯す。
自分でも覚えていない失態。
それで彼女は幻滅したのか、会ってくれなくなる
※『鬼畜道 ~天使の羽を持つ子~』秋奈編は執筆完了。
二千二年五月四日
佐々木真理子
スナック『オレンジ』のママ。
俺より十歳年上。
春美に相手にされなくなった俺、いきつけのバーで真理子と知り合い、そこのマスターが「あのママは誰が口説いても落ちない」と言うので、寂しさを紛らわす為に口説く。
途中で本気になり掛けた彼女であるが、俺より十歳年上、そして三人の子供がいる事で悩み、つかず離れずの関係が続く。
やきもきした俺は、彼女がジャズバーで待っているという連絡を無視し、すっぽかす事にした。
それ以来彼女との関係は終わる。
二千二年九月二十七日
美鈴
スナック『アップル』で働く女。
春美への想いは募り、色々な店を日々飲み歩く俺。
キーボードを持ったまま店へ行き、ついた女の前で演奏を聴かせた。
それで一発で落ちてついてきた女の一人。
家の隣にあった『トンカツひろむ』で食事をし、ホテルへ行ったあと「太麺焼きそば食いてえ」と呟いた俺に対し、彼女は「何で? 焼きそばなんでしょ?」と不思議がる。
そこで川越工業裏にある『山利軒』へ連れていき、やきそばを食わせると、あまりの美味さに感動していた。
翌日彼女は店で俺に抱かれた事を他の女に言ってしまい、俺はその店でいくら誘っても別の女がついてくる事はなくなる。
頭に来た俺は「このお喋りめ!」と怒り、会わなくなった。
二千二年十月九日
雪喜(さおり)
妹代わりに可愛がった愛(ミサキ)の友達であり同じ店で働く同僚。
彼女は韓国と日本人のハーフ。
「一度も口説いてくれないね」そう言った愛。
最初に妹としてと決めてしまった俺は「当たり前だろうが。勝手に俺が妹代わりに可愛がっているだけだ」と返す。
しかし徐々に愛を一人の女として意識している自分がいた。
それに未だ春美を忘れられない俺。
愛に「女を紹介しろよ」と言うと、さおりを紹介してくれた。
彼女は俺の事が前からタイプだったらしく、すぐ意気投合する。
川越祭りへ初めて女を連れていったのは、この子が初めてだろう。
しかしあまりにも多くの知り合いばかりに囲まれた彼女は「知り合いばかりで嫌。二人でいたい」とわがままと言い、俺は即切り捨てた。
川越祭りは毎年俺にとって特別な日であり、それを理解できない女は無理だとの判断。
また雪喜から仲直りしようも連絡あるも、店に行かない俺に対し「岩上さんは釣った魚に餌をあげないタイプ」と言われ、面倒なので再度関係を切った。
二千二年十一月六日
メラニー
アメリカ人のメラニーとは川越祭りで知り合う。
これでアメリカ人は過去にマリーをやっつけたので、二人目となる。
ちなみにマリーとは、現在川越市長船橋功一の息子であり現県会議員及び俺の小学時代の同級生の船橋一浩が、川越祭りの時、我が町内連雀町へ特別参加して共に祭りを回っている時、逆ナンパしてきたアメリカ人。
祭り時にする俺のペイントに興味を惹かれたようだ。
過去に海外生活をした船橋は英語堪能。
日本語を話せないくせに英会話教室NOVAをして日本へ滞在していたマリーやスーザンとの通訳をしてくれる。
マリーは『森』という漢字を紙に書き、自分を指差しながら「モリー、モリー」と笑う。
どうやらギャグのつもりらしいくまったく笑えなかったが、やりたかった俺は演技で愛想笑いをする。
本題のメアリーに戻るが、彼女はルーマニアのエリカと違い、日本語は堪能だった。
でもいまいちタイプじゃなかったので、一度デートしてから会わないようにした。
多分現在はアメリカにいるんじゃないだろうか。
二千二年十一月十三日
かおる
スナック『アップル』で働く女。
以前紹介した美鈴とは働く時期が少しズレる。
以前抱いた美鈴が留学し、店を辞めたので再び行くようになった俺。
結構タイプだったので口説く。
最初のセックスは家の隣の『トンカツひろむ』へ誘い、家の駐車場に停めてある軽バンの中でやった女。
当時ずっと働いていたゲーム屋『ワールドワン』がオーナーの借金により無くなると共に自然消滅。
二千四年一月十九日
星めぐみ
長年新宿歌舞伎町で働いていた『ワールドワン』が一番街の四十四人の死傷者を出し、経営が傾くと共にオーナーも借金も加わり消滅。
その後戦場を新たにした俺は『裏ビデオ屋』の世界へ。
そこのオーナー北中は、人間を飼うといった表現がピッタリのクソ野郎だった
俺が組織に入った事でパソコンを導入し、すべての店の管理をする。
すると一ヶ月でかなりの売上となった。
北中は俺にすべての管理を任せ、自分は一ヶ月の三分の二はフィリピンや中国へ行って女を買い漁る暮らしをしていた。
イライラしながらの日々を送る。
ある日北中の悪行を文章にしたら、すごい小説になるんじゃないかと従業員に言うと「岩上さんならできますよ」と言われ、初めて小説を書き出す。
処女作『新宿クレッシェンド』を書いた翌日、飲みに行き知り合っためぐみ。
全然タイプではなかったが、おっぱいもそこそこあったので適当に口説く。
小説を書いている事を話すと、めぐみからは「私の苗字を使ってほしい」と言われ『新宿クレッシェンド』のヒロインの名前を星いずみとした。
ちなみにいずみは高校時代初めてデートした永井泉の名前を使った。
クレッシェンドを完成し、めぐみにプリントして作った本を届けようと連絡すると「風邪引いて今日は無理」と断られる。
渡すだけだと言うのも無理というめぐみにキレた俺は、関係を終わらせる。
元からどうでもいい女だったのでショックも何もなかった。
この後、新宿歌舞伎町浄化作戦の真っ最中に知り合い、二年半ほど付き合った百合子の写真だけは載せなかった。
何故かは自分でもよく覚えていない。
但し正確な女性歴を書いたので、名前とそれに伴うエピソードだけは載せた。
当時この記事をみゆきに向け、かなり詳しく書いたつもりでも、ところどころ抜けている女がいるな。
ジャンボ鶴田師匠が亡くなる前に付き合っていたスナック『ムーンストーン』の女、容子。
浅草ビューホテルのトップラウンジ『ベルヴェデール』にも連れて行ったスナック『アップル』のオーナーの娘、長沢久美子。
あとまだ色々いたが、さすがに昔の事なので思い出せない。
まあ今となっては、唯一この記事を閲覧できるみゆきは去ってしまったのだ。
もう、どうでもいい事か……。
二千四年七月十一日
百合子
歌舞伎町時代~整体開業時まで約二年半付き合った彼女。
きっかけはたまたま立ち寄ったスナック。
帰る際見送りに来たところを「あれ? 目のところ何かついてるよ? ちょっとつぶって」と言い、相手が目を閉じたのでキスをしたのが付き合うきっかけになる。
『新宿クレッシェンド』を始め、俺の小説をよく読み、好んでくれたのが嬉しかった。
様々な思い出を作るも、非常にやきもち焼きの彼女に対しうんざりした俺は、整体開業して一ヶ月も経たない内に別れを決めた。
『忌み嫌われし子』のあとがきにもあるように、普段は大人しいが一回火が付くと止まらない性格の為、俺自身への卑下や作品の罵倒、そして岩上整体まで乗り込んで来て患者の目の前での罵りに我慢できなかったのが、別れの原因。
二千六年十二月一日
幸子
広子と付き合っている時、初めてのブログ『新宿の部屋』で知り合った歯科助手。
後に「『世界で一番泣きたい小説グランプリ』へ出してみたら?」と言われ、この時出したのが賞を獲るきっかけになった子でもある。
また整体開業時にはいの一番花を持って駆けつけてくれた。
彼女と川越でデートを数回重ねるも、彼氏と同棲中というのもあり自然消滅。
二千七年一月七日
みゆき
川越のクラブ『姫』で知り合う。
元々岩上整体の営業のつもりで入ったのだが、非常にタイプだったのでその場で口説き、仲良くなる。
知り合った翌日、武藤敬司率いる全日本プロレスの興行へ招待されていた俺は、みゆきに興奮しながら話し、整体へ夜中呼ぶ。
施術するふりをしながらどうしても抱きたかったのである。
家が近所だったのもあり、よくみゆきのマンションや町中華の呑龍や家庭用フレンチビストロ岡田へ連れて行く。
その後ちゃらんぽらんな立ち位置をする俺に呆れたのか、彼女は店で知り合った男との不倫記事をミクシィにて書く。
それを見た俺は激高し、「もう関わるな」と感情的になった。
今にして思えばやきもちを焼いたのだろう。
その後みゆきと電話で話した際、一ヶ月三人から五人ペースで患者を口説き抱いた事をあえて意地悪く伝える。
翌日みゆきはメールで正直な気持ちを伝えてきた。
正直何度もそのメールを読み返し、何でもっと早く言ってくれなかったんだと頭を抱える。
自分で勝手に張った意地が邪魔してしまい、みゆきには結局自分の本音を言う事はできなかった。
数年して彼女は結婚したらしく子供を生む。
幸せそうな日々を送っているので、これはこれで良かったのかなと思いつつも、あの時ちゃんと俺の気持ちを言っていたら、どうなっていたのだろうと思った。
みゆき
携帯からだと読むの大変……。
三十分ぐらい掛かった。
感想は、パソコンから近々書くわ。
岩上智一郎
携帯だと大変でしょ?
でも写真見ないと意味ないだろうしね。
写真編とか、実際に遭ったストーカー女編とかまで入れると、かなりの量になってしまう。
みゆき
だろうね。
携帯からだと大変ってもんじゃねぇ~。
智の女遊び全部書き終わるには、かるく一ヶ月とかかかる長編になりそうだわ。
あーヤダヤダ。
これだから、遊び人の男ってば。
岩上智一郎
俺は別に遊び人ではないよ。
自分の欲望に正直なだけだ。
まあそんな時期もあったけどね。
多分生涯結婚はしないんじゃないかな。
整体やる時付き合っていた女との一件で、あれ以来付き合う事はすべて避けてきたしね。
肝心なところではフラれるし。
そういえば歴代の女の評価、ケチョンケチョンにけなすんじゃなかったのか?
みゆき
結婚ってさぁ~、結構すんなり行っちゃう時ってあるんだよね。
恋愛と、結婚は、全く別物だしね。
いやいやいやいや……。
智は完全なる遊び人でしょ。
智は女には不自由しなさそうだけど。
岩上智一郎
俺は少なくても今年になってから、そうだね~…、セックスしたのまだ二人だけだし、全然遊んでいないよ。
前みたいにモテなくなったしね、引き篭もるようになってから。
久しぶりにみゆきの記事見たらさ、娘いて「え、あのみゆきが普通に課母親になってるぞ?」って驚いたもんな。
幸せそうで何よりだけどね。
俺は遊び人じゃなくて、いい女を見ると口説かなきゃ失礼だと思うイタリア人気質なんだと思うよ。
本当は太陽がカンカンに照るような陽気な国に生まれていたら良かったんだ。
みゆき
ギャハハ……。
…てか、最強に愛してた子が一番可愛い。
あとのは…、ん……。
あまり印象に残らない。
外人は特に。
…ってか、言葉が通じなかったとか。
マジ、受けるわぁ。
岩上智一郎
春美可愛いでしょ。
妹代わりに可愛がった愛も可愛いぞ!
質問です……。
みゆき自身は、この中でどのぐらいの評価?
みゆき
私?
下の下でしょ。
岩上智一郎
何故そんな自虐的なんだ。
かなり上のほうに決まってんだろ。
この中で下の下と言ったら……
誰がどう見ても『新宿クレッシェンド』を書き始めた頃のめぐみでしょ。
みゆき
いや…、マジで。
外人は別として、みんな可愛いし 冗談は言わないょ 。
本当。
数人は不細工がいるかと思ったけど、残念。
岩上智一郎
みゆきだってかなり美人だぞ?
だからあの時必死に口説いたつもりだしね。
でもさ、おまえ…、あの頃って俺がゆっくり会いたいなあって思ってたのにさ、いつも時間をちゃんと作ってくれないんだもん。
何でみゆきはそう自分を卑下するかなあ~。
まあ、いいや……。
とりあえずあの時の心境は正直に言っておくよ。
確かに色々な女をあの頃抱いたけど、ずっとおまえの事が一番気になっていたし、心配していた。
…で、何となくたまに臭わせた自身の陰りの部分…、色々嫌な目に遭ってきたんだろうなって思ったけど、逆に酷い事言っちゃった事もあるのを反省している。
まあ、今はみゆきが幸せにしているのをずっと続くよう素直に願っているけどね。
みゆきとのコメントのやり取り。
俺は本当にいい女を自分から手放してしまったのだ。
抱かせろなんて、ワザと品の無い言葉を使い、みゆきを遠ざけた。
ミクシィのマイミクを外れ、以来一切の連絡を絶った彼女をどれだけ傷つけたのか。
でも、それでいい。
それで良かったのだ。
何故ならみゆきは旦那もいて子供もいる。
俺などに関わってはいけないと思った。
俺はずっとみゆきの幸せを祈ろう。
望にしてもそうだが、俺が関わると家庭の幸せを壊す。
群馬の先生が言うように俺は、今後愛に苦しんで生きていくのだろう。
誰からも愛されず、そして俺は誰も愛さない。
ひたすら孤高に、ただ文字を書き綴ろうじゃないか。
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