『源氏物語』22帖 玉鬘(たまかずら)
玉鬘、九州を離れ六条院へ
光源氏35歳 太政大臣時代
玉鬘21歳/紫の上27歳
[玉鬘、筑紫へ下った]
夕顔の遺児玉鬘は、3歳の時、乳母(太宰少弐の妻)たちとともに筑紫(九州)へ下ります。
それから17年経ち、玉鬘は美しく成長しました。
肥後国に勢力を誇った大夫監から無理に求婚されたので、乳母は長男と相談し、玉鬘を連れて急ぎ上京します。
[玉鬘、源氏に引き取られる]
京についたものの頼るあてもないまま玉鬘たちは長谷の観音に参籠した。
そこで偶然に、かつて夕顔の侍女であった右近(今は紫の上に仕えている)と会います。その縁から玉鬘は光源氏に引き取られ、六条院の夏の御殿の西の対に住むことになります。
巻名は光源氏が詠んだ和歌にちなむ。
「恋ひわたる身はそれなれど玉かづら
いかなる筋を尋ね来つらむ」
※写真は、「八重山吹(やえやまぶき)」/無料(フリー)写真素材を使用
花の持つ特徴から、玉鬘(たまかずら)は、八重山吹に霞がかかっり夕焼けの残照に映えるようだと表現されています。
右近から「光源氏の大臣が自分の事のように、心配して探している」と知らされ、夕顔が亡くなった時のいきさつを聞いた乳母一家は驚く。
【源氏物語22帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
第一部、第二部の物語の主人公。亡き母にそっくりと言われている藤壺の中宮に恋をしてしまう。
その後も亡き母・桐壺更衣の面影を求め、様々な恋愛遍歴をたどる。
紫の上も、女三の宮も藤壺の姪である。光源氏は藤壺中宮の血縁者に強く心を惹かれる人生だった。
玉鬘(たまかずら)
頭中将と夕霧の娘。光源氏の養女となる。
源氏が放った蛍の光により、蛍兵部卿宮が玉鬘の姿を見るシーンがある。
光源氏も玉鬘を恋慕するが、最終的には強引な形で髭黒大将の妻となる。
夕顔(ゆうがお)
頭中将の元恋人であり、玉鬘の母親。
なよなよと儚く可愛らしい印象の女性。頭中将の正妻からの嫉妬を恐れ、隠れて住んでいたところ、興味を持って近づいてきた光源氏と恋に落ちる。六条御息所の生霊にとりつかれ、命を落とす。
頭中将(とうのちゅうじょう)
左大臣家の息子であり、光源氏のいとこ。葵の上の兄である。光源氏にとっては親友であり、恋のライバルでもある。
夕顔との間に娘(玉鬘)をもうける。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。