『源氏物語』38帖 鈴虫(すずむし)
愁(うれ)いの秋
光源氏50歳夏-秋 准太上天皇時代
女三の宮23歳
※源氏物語での「准太上天皇」(じゅんだいじょうてんのう)は、天皇に準ずる位。
[女三の宮の持仏供養]
夏、蓮の花の咲くころ、女三の宮の持仏供養が行われた。光源氏は尼姿の女三宮に後に残された悲しみを訴えるが、宮はつれなく言葉を返すだけだった。
[鈴虫の音を聞く]
8月の十五夜、光源氏は女三の宮を訪ね、共に小声で経を読み、鈴虫の音を聞いた。光源氏がいまだに女三の宮を思いきれないようなことをいうので、女三の宮は迷惑に思うも言い出せない。
巻名は女三宮と光源氏の歌による。
「おほかたの秋をばうしと知りにしをふり棄てがたきすず虫のこえ」
「こころもて草のやどりをいとへどもなほすず虫の声ぞふりせぬ」
※写真は、「鈴虫のイラスト」/無料(フリー)イラスト素材を使用
光源氏をとりまく人達が人生の華やいだ季節の終わりを感じています。50歳になった光源氏もまた老いを自覚し、出家を考えていました。
【源氏物語38帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
准太上天皇となった光源氏は栄華を極める。
朱雀院の娘、女三の宮を正妻とするが、女三の宮は柏木と通じてしまう。
最愛の妻・紫の上の没後、亡くなったことが示唆される。
女三の宮(おんなさんのみや)
第二部の重要人物。朱雀院の内親王。藤壺の中宮の姪であり、紫の上のいとこ。
光源氏の正妻として降嫁するが、子どもっぽく頼りない性格で源氏をガッカリさせる。
柏木と不倫関係になり、息子・薫を出産。源氏の冷たい態度と罪の意識に耐えられず出家する。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。