『源氏物語』46帖 椎本(しいがもと)
八の宮の遺言
薫23歳春-24歳夏 薫君の宰相中将時代
[匂宮、宇治を訪れる]
2月末、薫から宇治八の宮の姫君の話を聞き、匂宮は心を動かした。
逢う機会を作るために宇治の夕霧の山荘に一泊し、薫とともに管弦の遊びを催した。
宇治八の宮の山荘はその川向かいにあるので、琴の音がよく聞こえた。
宇治八の宮は薫に便りする。
その返事を匂宮が代筆したのをきっかけに、匂宮と中君の文通が始まるようになった。
[宇治八の宮の死]
宇治八の宮が厄払いのために山寺に入ることになった。
入山前に、姫君たちには「皇族としての誇りをけがすような愚かな結婚はしないように」と教訓を残した。
宇治八の宮は寺で発病し、8月下旬に亡くなった。
巻名は、薫が故八の宮を偲んで詠んだ和歌にちなむ。
「立ち寄らむ陰とたのみし椎が本
むなしき床になりにけるかな」
※写真は、「彼方神社椎本の古跡」/無料(フリー)写真素材を使用
※彼方神社(おちかたじんじゃ)椎本(しいがもと)の古跡
〒611-0021 京都府宇治市宇治東内31
旧国郡:城国宇治郡宇治郷
[薫、宇治の大君に心中をあかす]
ある雪の降る日、薫は宇治を訪れ、宇治の大君に好意をほのめかしたが宇治の大君は応じなかった。
[匂宮、六君との縁談をこばむ]
翌春、匂宮は宇治への手引きを薫に頼んだ。
夕霧は娘(六君)を匂宮の妻へと願ったが、宇治の中君に夢中の匂宮はこれを聞き入れなかった。
やがて三条宮が焼け、女三宮は六条院に移った。
【源氏物語46帖に出てくる主な登場人物】
薫(かおる)
源氏物語第三部の主人公。
表向きは光源氏と女三の宮の子どもであるが、本当は柏木と女三の宮の子どもである。
生まれつき体から良い香りを放っており、「薫の君」と呼ばれている。
自身の出生の秘密に悩み、宇治八の宮を訪れ、娘の大君に恋をする。
後に大君によく似た浮舟にも惹かれるが、恋は成就しない。
匂宮(におうのみや)
今上帝と秋好中宮の御子。
六条院で一緒に育った薫にライバル心を抱いている。
容貌は美しいが軽薄。薫の戦略で中の君と結婚するが、浮舟にも心を惹かれる。
宇治の大君(うじのおおいきみ)
宇治八の宮の長女。
思慮深くプライドの高い女性であり、薫からの求愛を拒み続ける。
妹・中の君と匂宮が結婚した後、匂宮があまり通わないことに悩んだ末、病気で亡くなってしまう。
宇治の中の君(うじのなかのきみ)
宇治八の宮の次女。
可愛らしいイメージの女性である。匂宮と結婚して、後に男子を出産する。
宇治八の宮(うじはちのみや)
桐壺帝の第八皇子であり、光源氏の異母弟である。
高貴な身分であるが、頼れる後見人がおらず、
宇治の山荘でひっそりと生活していた。
仏道に通じており、出生に悩む薫と交流を持つ。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。
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