先行的腎移植をしたみっこ師匠のブログ

ドナーとして息子に腎臓を提供し2017年に生体腎移植をしたみっこ師匠の体験記と息子達との生活を綴っています。

愛しき猫たちへ捧ぐ (5)

2021年02月18日 | 日記
クロを抱いて
ひとしきり泣いた私は、
看護師クンとクロのベットを作り
屋根裏部屋にクロを安置しました。

一日経ったクロの
冷たくなった姿を見る事が
はじめは怖かったけれど、
クロはとても穏やかな
優しい顔で眠っていました。

その顔を見ていると
クロを失ってから
ずっと自分を責めていた私の心も
少し軽くなるのでした。

お湯で湿らせたガーゼで
クロの顔を拭きました。

「クロちゃん、がんばったね」

クロの目を拭きながら
帰ってきてクロを抱き上げた時
クロの目から涙が流れた様に
見えたのを思い出しました。

それが何だったのか
今でも解らないけれど、
クロと心は通じていたように
思えてくるのでした。



友達から
市のクリーンセンターで
ペット火葬をしてくれる事を聞き
電話で問い合わせをすると、
「箱に入れて
毛布などでくるんで来て下さい。
お骨は返せません。
料金は無料です」
との事でした。

違和感を感じたのは
職員の方が「処分」という
言葉を使っていた事でした。

ゴミ扱いされている様で
たまりませんでした。

その夜看護師クンが
ユウキの先輩ひーちゃんの話を
思い出して電話で聞いてくれました。

ひーちゃんは
直ぐ動いてくれて
ペット霊園で働いている
後輩くんに話をしてくれました。

何度も何度も
間に入って電話をしてくれて
その後輩くんの所で
お世話になる事にしました。

2月4日
夜勤明けから帰って来たユウキが
「今日俺も一緒にいくから」と
言いました。



菜の花を胸に抱え
眠るクロを抱いて
私達は家を出たのです。

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愛しき猫たちへ捧ぐ (4)

2021年02月15日 | 日記
1月末頃に
クロのお皿に入れたカリカリが
そのまま残っている日が何日も続き、
しばらく姿を見せなかった
クロが帰って来た時は
目ヤニで両目が開けられない状態でした。

赤茶色の目ヤニを拭き取り
「ママが治してあげるね」と言って
クロの両目に目薬をさしました。

ハウスに入ったきりの
クロの口元に
抗生剤を混ぜたちゅーるのお皿を
差し出すと
なんとかクロは食べてくれました。



1月最後の日曜日は
ほとんどハウスの中で過ごし
時折出てくるクロの足取りは
フラついていました。

2月1日
いつものように朝ごはんを入れに行くと
クロは起きてきて甘えたように
鳴きました。

そして私の目の前で
お水をたくさん飲みました。

それを見て私は
『大丈夫かもしれない』と
思ってしまった。

でも、やっぱりクロは
ごはんを食べず、
ちゅーるも口にしませんでした。

2月2日
朝から冷たい雨が降っていました。

ハウスで寝ているクロに
「クロちゃん、今日は寒いから
お家にいてね」と言って
私は仕事に出かけました。

お昼休みに看護師クンから
庭の玉砂利の上で横たわる
クロの写真と
「呼吸あり」の報告が来ました。

「湯たんぽを入れようか」
と言う看護師クンに
「もしかしたら体が熱くて
冷たい所にいるのかもしれないから
湯たんぽは夜でいいかも」と
言いました。

その午後は
早く家に帰りたくて
帰りたくて仕方がなかった。

それなのに私は
直ぐに帰らず遅くなってしまった。

家に着いて車を降りると
お昼にいた所と同じ場所に
影が見えて。

走って横たわるクロを
抱き上げて泣きました。

クロの体はまだ、
あたたかくてやわらかかった。

『ずっと待っていてくれたのに
遅くなってごめんね。』

リビングで
動かなくなったクロを抱いて
泣き続ける私に
「これを買ってたんだね」と



看護師クンが
商品を袋から出しました。

もう必要が無くなった
それを見ながら
買い物などせずに帰って来たならと、
後悔の涙が止まらない私でした。

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愛しき猫たちへ捧ぐ (3)

2021年02月13日 | 日記
去年のクリスマスに
ドーム型のハウスを
クロにプレゼントしました。

「クロちゃん、これどうだろう。
使ってね。」と言って
外猫ハウスに入れると、
ごはんを食べ終えたクロは
少し匂いを嗅いてから
ゆっくりと中に入って行きました。

ジローの時は
湯たんぽを入れていたのですが、
冬を何度か乗り越えて来たクロは
生命力が強いと
私は勝手に思っていて
湯たんぽを入れる事をしなかったのです。

『寒かったよね。ごめん。』

それから新しい年になり
朝を迎える度に
(今朝も大丈夫だったかな)と
クロの顔を見に行って
クロが居てくれると
安心するのでした。

クロのお皿の水は
凍ってしまっていて
お湯をかけて溶かしてから
新しいお水を入れました。

そんな氷点下の朝も
クロはがんばって生きました。

クロは
口内炎ができているようで、
カリカリを食べるのが
とてもゆっくりでした。

それでも
たくさんごはんを食べました。

そして、
ちゅーるが大好きでした。

クロが来てから
買い物に行くと、
ちゅーるを買うのが
私の日課になっていました。

そして家に帰ってくると
車の中から、
(クロいるかな?)と確認するのも
いつの間にか習慣になっていました。

そして
車をガレージに入れて
歩いて来る私を
クロはこうして迎えてくれました。



そして私は
「クロちゃん、ただいま。」
と言ってポケットに入れておいた
ちゅーるをお皿に入れました。

そんな日々が
ずっと続くと
続いてほしいと
私は思っていたのです。

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愛しき猫たちへ捧ぐ (2)

2021年02月11日 | 日記
クロちゃんは
ジローが来る以前から
私の住む分譲地に住んでいました。

はじめは、
猫好きのご近所さんちの猫ちゃんかと
思っていたのですが、
「この子、野良ちゃんなの」と。

それからクロちゃんを
分譲地内の砂場で
よく見掛ける様になりました。

その時クロちゃんは
真っ黒な黒猫でしたが、
2年余りの月日が流れて
クロちゃんの
お腹から下の毛の色は
色が薄れて赤い毛の色に変わっていました。

ジローのハウスを覗いて
入ろうとしたクロちゃんに
「ダメ!そこはジローのお家なの!」
と思わず言ってしまった私を見て
クロちゃんはハウスに入る事なく
何処かに言ってしまった。

その後も度々姿を見せる様になり
少し遠慮がちに
「ボクもごはんもらっていいですか」
と言っているようなクロの姿を見て
なぜだか
私のできる事ならしてあげたい
と、思ってしまったのです。



クロは穏やかな
とても優しい猫でした。

鳴くこともなく
声を出すことなく、
もちろん嚙んだり引っかいたり
する事もありませんでした。

誰かが近づくと
スーッといなくなってしまう
そんな子でした。

そんなクロに
「入ってもいいよ」と言うと
私の言葉が解ったかのように
外猫ハウスで眠る様になりました。

女の子の様な
優しい小さい声で甘える
クロの赤かった毛は
段々と艶のある真っ黒な色に
戻ったのです。

クロが慣れて来た頃
外壁塗装工事が始まり
外猫ハウスも移動しました。

クロに
「クロちゃん、
しばらくこっちでがまんしてね」
と声をかけると、
ちゃんとクロは移動したハウスに
向かうのでした。

クロは私の言葉を
理解しているのではないかと
思ってしまうくらいに
不思議な猫でした。

続きます







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愛しき猫たちへ捧ぐ (1)

2021年02月09日 | 日記
クロちゃんが
旅立って一週間が過ぎました。

今日は、
ずっと話す事ができなかった
外猫ジローの事を書こうと思います。

以前ブログに書いてから
ジローは寒い冬を
朝、晩の湯たんぽと
外猫ハウスで乗り越えました。

厳しい冬が終わり
ホッとした4月、
ジローはひどい猫風邪をひきました。

両目は目ヤニで目が開かず、
鼻水はハウスの中の毛布の
あちこちに飛び散っていました。

カリカリも食べず
あんなに好きだったちゅーるも
食べなくなりました。

私は
動物と暮らす事が
とらが初めてでしたし、
とらは風邪をひいたことがなかったので
どうしていいのか解らず
『猫風邪』でネット検索すると
鼻水がひどくて
匂いが分からなくなると
猫はごはんを食べなくなると
書いてありました。

具合の悪いジローを
今すぐ抱えて病院に駆け込みたい
という気持ちを抑えながら
私に出来る事を考えました。

外で自由に生きてきた
ジローにとって
病院に行って治療を受けることが
ストレスにならないだろうか。

そしてその後も
家の中に入れてあげることが
できない現実を思った時、
かかりつけの動物病院に
事情を話して点眼薬と抗生物質を
処方してもらうことにしました。

目薬はその日から出来ましたが、
抗生物質は錠剤だったので
おやつに混ぜたり
潰してちゅーるに混ぜたりしましたが、
ジローは何も口にしませんでした。

しばらくハウスの中で
過ごすことが多くなり
食べなくなって3日目
ジローは芝生の上で
うずくまりました。

翌日の日記には
「ジローは夜帰って来る。
相変わらず食べない。
ちゅーるも食べない。
目薬をさして
抗生剤をちゅーるに入れるけど
どうだろう。
シロップ剤がよかった。」
と書いてありました。

その次の日は月曜日で
雨風強い荒れた天気でした。

ジローが心配だった私は
お昼休みに帰宅すると
ジローはハウスに入っていました。

雨除けに青いビニールシートで
ハウスを覆って家の中から
様子を見ていると
ジローが出てきて振り返り
私を見ました。

そして
強い風が吹く中
ジローは出ていったきり
帰って来ませんでした。




心の中では
(もしかしたらジローはもう)
と思いましたが
認めたくないのと
諦めたくない気持ちから
ジローの帰って来る日を待って
外猫ハウスはそのままにしてありました。


5月の連休に
ハウスを片付けようと
思っていた時に
やってきたのがクロちゃんでした。


続きます


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