たまには、土木ネタということで。
土木学会誌が届いたので、内容を見ると9月に行われた土木学会全国大会での優秀講演者が発表されていた。
http://committees.jsce.or.jp/zenkoku/node/116
優秀講演者の一覧表を見ると、「Ⅵ-451(T建設) 福岡市営地下鉄七隈線延伸事業における都市NATMの情報化施工(予測解析と管理基準値の設定)」が受賞していた。そう、まさに博多駅前で大陥没を起こした事故の原因となる工事の施工事例報告だ。事故が起きたのが11月8日。発表したときは、こんな事故が起きるとは思っていなかったろうに。
講演内容は、トンネル掘削に伴って近接構造物への影響評価と管理基準値の設定方法の考え方と、実際に施工した区間の計測結果を報告するもので、おそらく事故箇所も同じように影響評価をしていたのでしょう。
都市部だと、NATMではなく、シールド工法を採用するのが一般的だと思っていたので、事故のニュースを聞いて驚いた。NATMは、強固な地盤を掘削するのに採用するもので、博多駅前のように、水分を通しやすい砂れきや砂質土層をトンネル上部に抱えるような場所では不適と思っていたのだが。
そんなこともあって、土木学会全国大会に参加していたけれど、NATMとは関係ないやと思って、この講演は聞いていなかった。
設計思想は、トンネル上部の薄い粘性土層で遮水を期待していたようだが、それでも粘性土層が薄そうだと判断していて、崩壊防止のために、掘削径を小さくしたり、ロックボルトを注入長を設計変更していたようだが、事故が起きてしまった。
どんなに土質調査を施工前にやっても、ピンポイントでやらないと、土質の状況はわからないね。