これに「特技は昼寝ばかり」と来ては鬼に鉄棒、いやいや、何とも情けない話である。親が生きていれば嘆くまいことか! 自分でも誠に恥じ入るばかりの人生だ。ただ、大した病気をするわけでなし、金も家もなくともそれなりに生きているから、生き物としては立派なものとも思う。それでも「情けない、ふがいない」と感じるからには、単に生き物ではない部分に欠陥があるに違いない。
今から1900年ほど前、西暦150年頃に活躍したプトレマイオスという学者が「テトラビブロス」という占星術書を書いていて、それによれば、人間が生きる上で大切なものは物質運と品格運だと言う。物質運は生きる上での富のことで、品格運は幸福に直結するものらしい。これは社会的地位や周囲から尊敬を受けることなどの他、仕事や社会的活動、結婚、子ども、友人と敵、そしてなぜか外国への旅行などである。「単に生き物ではない部分」とは、物質運を除いたこの部分で、それが幸福に直結すると言うから、プトレマイオスによれば、私が情けないと感じたのは仕事ではもとより、家人からでさえ尊敬どころか、気に留めてもらったためしもないからのようである。自分としては「そんなはずはない、家族のためには多少は」と抵抗したいが、「あんた、何か尊敬されるようなことをやってきたの?」と正面切って問われると、悲しいかな、ぐーの音も出ない。
1900年前の占いである。実は少し馬鹿にしていた。が、妙に当たっている。当たっても、ちっとも嬉しくはなかったが。
(2021.12.15.、2022.2.16.、シニアシティーカレッジ)
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