ヨーグルトに含まれている菌が免疫力アップや腸内環境に良い影響を与えることは良く知られています。ひとくちに「菌」といっても、その働きや効果は同じではありません。基本的な乳酸菌の働きである腸内環境を調え、免疫細胞を活性化させるほかに、それぞれの乳酸菌によって特徴や効果の強さが違います。その種類は多数ですが、市販のヨーグルトによく使われる菌とその特徴をご紹介します。ヨーグルトを選ぶときの参考にしてください。
ビフィズス菌
聞き馴染みのある菌でしょう。乳酸菌の一種と思われがちですが、どちらも善玉菌の一種ではあっても別物です。
ビフィズス菌は乳酸だけではなく酢酸も作り出します。これが腸内を刺激してぜん動運動を促して腸内環境を調えることに働きます。
BB536菌
ビフィズス菌のなかまです。胃酸で溶けにくく腸まで届き、悪玉菌を追い出します。人による臨床実験で、感染症、アレルギー、花粉症を緩和する効果が実証されています。
1073R-1乳酸菌
1073R-1乳酸菌というより「R-1」と呼ぶほうが聞き覚えはあるかもしれません。この乳酸菌は、特に免疫力を高める効果が強いのが特徴です。ウイルスを攻撃するのに働くナチュラルキラー細胞を活性化します。この乳酸菌によって、インフルエンザの感染力低減効果が実証されています。
LG21乳酸菌
ほかの乳酸菌と比べ、効果的にピロリ菌を減らすことが期待されています。ピロリ菌は胃酸に強く、胃の中でも生きていられるのですが、LG21乳酸菌が作り出す乳酸には弱いのです。
KW乳酸菌
アレルギー症状は、Th1細胞、Th2細胞という2種類の免疫細胞のバランスが乱れることで起こります。花粉症は、Th2細胞の方が多くなっています。この乳酸菌はTh1細胞とTh2細胞バランスを調えるのに働きます。
L-55乳酸菌
生きて腸まで届く乳酸菌といわれているのがこちらです。花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の原因である「IgE抗体」が、L-55乳酸菌を摂取することで少なくなることが実証され、注目を集めています。
ラブレ菌
乳酸菌は動物性乳酸菌と発酵した米や麦などに生育する植物性乳酸菌に分けられ、ラブレ菌は植物性乳酸菌にあたります。酸味が非常に強い「すぐき漬け」という漬物から発見されたラブレ菌。酸に強く、胃酸に対する耐性も強いため、生きて腸まで届きます。腸まで到達したラブレ菌は、乳酸を大量に分泌し悪玉菌の増殖を抑えます。また、ウイルスを攻撃するのに働くナチュラルキラー細胞を活性化する作用もあります。
これだけでも、菌の名前や効果を覚えるのは難しいでしょう。製品に、使用している乳酸菌の種類や効果を謳っているものも多くあります。「生きて届く」「生きたまま腸まで届く」などは消化液に強く腸内環境を調える効果が高いもの。「リスクと戦う」はピロリ菌など病気の原因になる物質に働きかけ、病気の発症を予防するもの。「強さひきだす」「まもるチカラ」「からだの中からまもる」などは免疫力を高める効果が高く、インフルエンザなどの感染症や花粉症などのアレルギー症状の軽減効果が期待されているものです。
腸内環境を調えるにも花粉症やインフルエンザ対策に免疫力を高めるにも、ある程度の期間が必要です。目的の効果が期待できるヨーグルトを選んだら、1ヶ月程続けて身体への効果を確かめてみてください。