日時 :2014年6月1日
エリア :妙義スカイパーク、榛名パラグライダーパーク
使用機体:OZONE MANTRA6
昨日の5月31日、パラ仲間のT氏より、+1700ゲインのスーパーコンディションだったとの連絡が入った。しかも、榛名から2機飛来し、その内一機は埼玉県の堂平まで距離を伸ばしたという。昨日の気象予報では、上空は強めの北西風の予報が出ており、妙義はいまいちなコンディションだろうなと予想していた。
Hogmapで榛名から堂平まで飛んだ方のフライトログを拝見すると、妙義の白雲山上で標高2600m超え、下仁田以南の山岳地帯では標高3000mを超え、常に2000m以上を維持し、強めの北西風に乗って距離を伸ばしていた。まさに理想ともいうべき最高のコンディションであった。私は予想を完全に外し、先週のリベンジする機会をミスミス見逃してしまった。
どうやら、上空に-15℃の強い寒気が残っており、強い高気圧が海上からの湿った空気の流入を防ぐことによって、積乱雲までには発達しないバカ上がりのコンディションになったようだ。
6月1日の予想天気図を見ると、上空の寒気は抜けてしまい昨日程のコンディションは期待できない。しかし、この時期ならではの良いフライト条件が期待できた。上空は強い北風の予報が出ており、距離を伸ばすのであれば、妙義から榛名へ北上するのではなく、昨日と同様に榛名から妙義、下仁田方面へ南下するのがセオリーだ。しかしながら、白雲山上空で標高2600mとはいかないまでも、1800mまで上がれば、榛名まで飛んで行ける可能性は十分ある。先週のリベンジマッチのため妙義へ向かう。
9時過ぎ、妙義のテイクオフへ着。妙義のテイクオフでは南東~南西の風が吹いており、みんなで暫し様子見。南南東風でテイクオフした一人が上げ始め、その直後に私もテイクオフ。南風で上げ、金鶏山をトップアウト。そのまま上げ標高1600mを超えたところで白雲山へ。
今日のコンディションを把握するため、松井田妙義IC、妙義カントリークラブまでフライト。どうやら、標高1500以上は北西、下層は南風がメインとなっていた。
私が妙義のテイクオフに戻る頃、T氏も上げ始め、その後白雲山上空で合流。T氏は今日はXCを想定しておらず、もちろん榛名に車のデポもない。しかしながら、標高1800を超えたところで、一応無線連絡を入れる。
私:「安中榛名駅か磯部温泉あたりなら行けそうだけど、クロカン出る?」
T氏:「安中○○へ行く」
私:「了解、安中榛名駅ね」
足のあるM6の私が先行して安中榛名駅へ向かう。途中T氏から、「ずぶったから、戻ってあげ返す」との連絡が入る。
私:「戻らなくても、弱いサーマル出てるから大丈夫だよ」
振り返るが、なんとT氏が付いてきていなかった。後で聞いたが、T氏は「安中台地へ行く」と言っていたとのこと。安中台地は上部に北海道的な農地が広がる丘陵地だが、目標とするにはあまりにマニアック過ぎて分からなかった・・・
下層は南風が強く入っており、妙義に戻ったら緊急ランディング場行きになりそうだった。そのため、ここから一人旅になってしまった。
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本日の白雲山
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安中榛名駅方面、遠くに榛名山
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松井田妙義ICの北1.5km付近の緩やかな尾根上で、ゆる~いサーマルで何とか高度を維持(標高1000)していたところ、下層に入り込んだ北西風と南風のコンバージェンスにより、高度を回復できた(標高1500)。余裕を持って安中榛名駅へ向かう。
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安中榛名駅へ到達(標高1200)、M6の性能を持ってすれば、このまま榛名PGPまで届きそうな気がするが、出来れば標高1500ほしいところ。
安中榛名駅周辺にはグラウンド、空き地、住宅地、畑、養豚場等の熱源と、トリガーとなる山が存在している。そのため、ここはじっくり条件が整うのを待つことにする。最悪、上がらずとも、駅周辺の広いグラウンドや空き地に降ろせば良い。
南風が強く、風戸峠が吹き抜けになっており、サーマルが流れていく。あまりサーマルを深追い過ぎると駅まで戻れなくなる恐れがある。一時標高700を切り、降ろそうと思ったが、辛抱していると、北風が南風をブロックしてくれ、ようやくサーマルが上方へ上がるようになったのだ。
南と北風のコンバージェンスも相まって標高1600まで上げ返すことが出来た。これで、躊躇なく榛名PGPへ向かうことが出来る!!
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榛名PGPのランディング。南風に乗り、高度を大きくロスすることなく到達することが出来た。(標高1200)
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榛名PGPテイクオフ。ちょうど2機がテイクオフし、榛名の皆さんとソアリングを楽しむ。
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榛名の空域(標高1500以下の下層)は南風が徐々に弱まっており、その分東風が押してきていた。テイクオフの尾根の南側では東風がかぶり気味のコンディションとなり、サーマルで上げることが困難な状況に。一緒に飛んでいた榛名の2機も降ろしてしまった。
榛名空域を粘り強くサーチしていると、東風と南風のコンバージェンスを発見。標高1600まで上昇。写真は榛名湖と榛名富士。
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上空では、東風と北風がぶつかる状況で、上げていると榛名PGPの小山さんより無線連絡が入る。
小山さん:「折角だから、榛名湖まで行って来たら」
私:「了解です。上げきって榛名湖へ向かいます」
小山さん:「冗談のつもりだったんだけどなぁww」
東風と北風のコンバージェンスで標高2000超え、折角なので榛名湖へ。山全体が新緑の緑に覆われ、まるで緑のゆりかごに抱かれているような安らかな気持ちになった。
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榛名湖へ到着(標高1650)。あまりの感動に泣きそうになる。
榛名PGPへリターンしようと振り返るが、天狗岳を超えられそうにない。それでもM6ならランディングまでは届きそうな気もするが、ここは無理せず榛名富士の近くにある松之沢グランド(サッカー場)へ降ろすことにする。
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榛名富士へ
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榛名湖面の様子
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榛名富士山頂
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榛名富士のロープウェイ。
榛名富士の展望台で観光客が手を振ってくれている。手を振り返し、暫し榛名富士上空で極上のソアリング。
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松之沢グランドへランディング。非常に降ろしやすい。フライト時間は一年ぶりの4時間超え。
まとめ:先週果たせなかった妙義山から榛名山へのXCフライトのリベンジを果たすことが出来た。風向きが高度と時間帯によって変則的に変化し、非常に複雑なコンディションだったと感じた。
昨日と違いブルー(上空に雲のできない青一色)なので、雲を目印に飛ぶことはできず、標高3000まで上がるような気象条件でも無かった。そのため、基本はサーマルというより、常に風を感じ(風を読みとでも言うのだろうか?)、所々で風がぶつかり合ってできるコンバージェンスをいかにうまく乗り継ぐことが出来るかというところが肝だった。粘り強く飛べたこと、それを可能にしたM6の性能が今回のXC成功の要因と言えるだろう。
おわりに、無線連絡を通し、見守ってくださった妙義スカイパークの鍛冶さん、榛名PGPの小山さん、榛名湖まで迎えに来て下さったT氏、有り難うございました。
このフライトが今年の妙義の記録だそうですが、T氏なら破る事も不可能ではないはず。この記録を破るようなフライトの話が聞ける事を期待します。
次なる可能性として、妙義から榛名湖までの距離と浅間山までの直線距離あまり変わらないんですよね・・・そう思うと、軽井沢なんてかなりの近さ!来年あたり禁断の碓氷峠越えを目指してみましょうか?もし、浅間山まで到達し、トップアウト出来たなら長野市までだって飛んで行ける!
他には、榛名山から、子持山経由でグランボレ。イニシャルDの聖地にこだわって赤城山を目指すっていうのもありだろう。
このワクワク感がXCの醍醐味なんだろう!!