ことしは千日紅のことを
書いていなかった。
夏からずっと、
ずっと
楽しませてくれていたのに。
風にゆれている姿が
いちばん好きだけれど
それでも
気が向くと摘んできて
いろんなところに吊るしたり
瓶に詰めたり
花びんに挿したり。
そうしてほぼ半年。
さすが千日紅く美しい
花。
父がきのう
とうとう全部、抜いてしまった。
霜が降りれば
枯れてしまうから
もう仕方ないのだけれど。
千日紅に限らず
わたしは
季節の花たちの片づけどきを
なかなか決められない。
終わりに近づいても
まだ花が咲き残っていると
健気で
愛おしくて。
千日紅も
だいぶくたびれていたけれど
まだ咲いていたから
あわてて
捨てられた大量の茎のなかから
きれいな花を
拾ってきて
束ねて吊るしたり
水に挿したり。
茎が短めの花を
ティーカップに挿していたら
カップの持ち手に
乗っかっているモモと目が合った。
お花に埋もれて
ひょっこり顔を覗かせて
可愛らしい
ピンクのテディベア
モモ
お尻もかわいい。
野鳥に名前をつけてしまう
わたしだから
ティーカップのクマにまでと
呆れられちゃったかもしれないけれど
この子は
もともと名前があって。
うすくって見えない?
Momo the Pink Teddy Bear.
って
書いてある。
モモの
陶器の質感や
淡い桃色
カップの縁に頬杖をつくような
格好も可愛らしくて
お茶をしていても
目に入るたびに、ほっこり。
千日紅も
皇帝ダリアも片づけられて
ツリーハウスのまわりは
淋しくなったけど
千日紅は
家のなかのあちこちで
あの
めくるめく
まぶしい
夏を
惜しんでいる。
千日の
くれない
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