ことしも
金木犀の花が散りしいて
庭が
ほのかに
光っています
まだまだ咲き残っていて
見ていると
ひっきりなしに
花が
ぱらぱらと落ちてきて
髪や肩に
頬に
あたります
ためしにシャッターを押してみたら
たくさんの
オレンジ色の線を
描きました。
真ん中の太い幹は
金木犀ではなく
枯れそうだと
書いたことのあるハナミズキ。
金木犀の
梢の花が写っていますが、
幹はもっと右の方に生えていて
写真に入っていません。
ひとひらひとひらの
花びらが
雪のように散る桜と違って、
花のまま
しぐれるように
降る
金木犀
十字の
花のカタチのまま。
花のカタチのまま。
それも、
花を支えていた軸ごと
花を支えていた軸ごと
枝を離れる。
蕊もろともに。
きらきら降り注いで
散っていく
庭の一隅を
オレンジに覆いつくす
幾千、幾万、
幾憶の
花
花、
また花
あとには
開花の痕跡がなにも
残らない。
蕊も
萼も、
軸も。
開花の痕跡がなにも
残らない。
蕊も
萼も、
軸も。
花のかたみを
残すことも
咲いた証しに
実を結ぶこともなくて。
ほんの数日、
誰もがふりかえる
香りを
ふりまいて
まぼろしのように
消えていく
金いろの
雨
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