話の種

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なぜ戦争を繰り返すのか

2023-06-27 15:47:10 | 話の種

なぜ戦争を繰り返すのか

6/18のNHKスペシャルのテーマは「なぜ戦争を繰り返すのか」というものだった。
人類は過去3,500年間で戦争、紛争を1万回繰り返し、総死者数は1億5千万人だったとのこと。

このテーマは私が常々抱いていた疑問だったので興味をもって視聴したが、番組はあるホルモンが影響しているということに焦点をあてたものだった。
そのホルモンというのは「オキシトシン」。
これは(3つの「幸せホルモン」のうち)「絆のホルモン」と言われ、他者への共感や協調性をもたらす物質だが、これが状況により攻撃性をもたらすことになるという。

そして歴史的には、「飛び道具の発明」と「食料をめぐる争い」が関係しているとのこと。
人類の歴史において、食料確保には何人か集まって共同作業をしたほうが有利だということで集団を作ったが、そこに別の集団が来ると、食料をめぐり争いが生じたりする。

また、飛び道具は、当初は「槍」程度だったものが、「弓矢」「鉄砲」「大砲」「ロケット」「ミサイル」と長距離を飛ぶものへと進化していった。これら道具を使った時に、対象が近距離である場合は相手の損傷も目に見え、その痛みも感じることが出来るが、対象が目に見えなくなると相手への共感力も弱まり、攻撃への抵抗感も無くなってくるという。

そしてオキシトシンだが、マウスを使った実験では、出産直後のマウスはオキシトシンの分泌が盛んに行われ子に愛情を注いでいるが、そこに別のマウス入れると、(我が子を守るため)そのマウスに対してものすごい攻撃性を発揮するとのこと。これはオキシトシンの働きが、守るべき相手とそうでないものを区別する線引きを超えて攻撃性に転嫁したものと考えられている。

別の例として、「トロッコ問題」のテストがある。
暴走するトロッコの線路の先が二つに分かれており、その分岐点に切り替え装置がある。分岐点の先の一方をAとし、他方をBとする。Aには数人の作業員がおり、Bの方は一人である。
そしてこの絵を被験者に見せて、どちらに切り替えるかを質問するのだが、Bのほうの一人に外国人の名前と自国民によくある名前をつけた場合、被験者にオキシトシンを鼻から吸引させる前は、どちらの名前でも一人を犠牲にするという傾向に違いはなかったが、オキシトシンを吸引させた後だと、自国民を犠牲にする傾向は明らかに減少し、逆に外国人の方はやや増加するという結果になったという。
これはオキシトシンの働きで、自国民を助けようという気持が高められ、その一方外国人に対しては、線引きをして犠牲になってもやむを得ないと思う傾向が強められたと考えられている。
そしてこれは仲間を守ろうする意識によるもので、敵対心から来るものではないと推論されている。

十七世紀に三十年戦争といわれる宗教戦争があり、死亡者は約800万人ともいわれているが、この時代は大量殺戮の兵器が発達していなかったにもかかわらず、これほどの被害者を出したのは、活版印刷によるビラが大量に配られ、このようなマスメディアによるプロパガンダが大きく影響したと見られている。
戦争は、自己を犠牲にするリスクがあるにもかかわらず、仲間を守るために敵を攻撃するのは、オキシトシンによる共感力の暴走によるものと考えられてる。
そしてプロパガンダは、他の集団を敵視したほうが自分の仲間同士の結束が強まるとの考えから行われる。

(*)
(これは今でもよく使われている手法で、例えば韓国は、政権基盤が弱まってくると、必ず日本悪者論を持ち出してくる。ウクライナ戦争では、ロシアはウクライナのネオナチとの戦いだとして国民を扇動している。過去日本でも太平洋戦争の時、欧米を鬼畜米英と言い国民を洗脳していた。)

以上、番組の中で私が興味を持ったところを記載した。

番組のテーマが「なぜ戦争をするのか」ではなく「なぜ戦争を繰り返すのか」だったので興味を持ったのだが、それにはホルモンが影響しているとのことで、ある程度納得できる面があった。
つまりホルモンの影響で脳の働きがそのように作用してしまうのであれば、理性では制御できない不可抗力的な面もあるからである。

(戦争、紛争の原因としては、「食料の問題」をはじめとして、他に「民族問題」「宗教問題」「経済問題」「領土問題」「政治思想の違い」「主義主張の違い」「権力の追及」などいろいろ考えられ、数えだしたらきりがないが、一部を除いて(権力の追及など)これらは理性をもって妥協すれば解決できる問題ではないかと思っている。)

 

(参考)

主なホルモンの働きについては、当方の別のブログ「男と女」の中に、「ホルモンについて」としてまとめてある。

ホルモンについて

 

 


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