もぐ菜のみっしり茶匣(はこ)院

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二次創作@オジサマ専科 Vol.2 Memories BLver(18)

2012-07-14 09:20:30 | 腐女子の御伴
オジサマ専科 Vol.2 Memories母の手帳の設定を超改変してあります。なのでネタバレも含まれております。BOYSLOVEテイストにしてお届けなので、実際の商品とは一切何も関係ありません。もぐ菜は古川透CV:中田譲治しゃん推しなのでよろ。それと古川透氏は黒髪サラサラ和装で物静かな優しいアーカード様をイメージしてねんVv




         『約束の場所で』





暑い日差しと何処(どこ)までも澄み渡る青空とスタンド席は、大群衆で埋め尽くされて誰もが暑そうに団扇(うちわ)や扇子(せんす)で扇(あお)ぎ空を見つめる。甲子園球場はこれから始まる物語の熱気に包まれ、空も球児達の健闘を願うかの様に雲一つない。



「俺達、高校を卒業してから高校野球とは無縁だったな。お互いのしがらみで、敢(あ)えて遠ざけてたんだ。」


仕立ての良い上品なカジュアルスーツを軽く着こなし斉藤は、席から立ち上がりグランドをせつなげな瞳で見つめる。

「誰も、剛を責めてはないさ。もっと、あの時に剛の体調に気づいてさえいれば…… それを後悔してるだけさ。」

羽織(はお)りを着て夏の涼しい優美な柄の着物姿の古川。

松谷はクールビズビジネススーツでノーネクタイ。

藤宮はジーパンにTシャツ半袖のカジュアルジャケット。

「あの時の剛さんは、ほんと格好良かったです。」

スタンド席に座る、古川、藤宮、松谷を見つめ笑う斉藤。

「俺達、三人はさ。高校を卒業をしても仲はイィと思ってたが、昔の事で小さな蟠(わだかま)りがあって、それに触れない様に距離を保ちつつ付き合って居た。」

「お互いを傷付けたくない。年々歳を摂(と)ると、少しでも傷付くのが怖く臆病になりやすい。」

古川は物思いに瞳を伏(ふ)せる。

グランド席を爽やかな風が吹き抜けていく。

「こうして、透さんと剛さんと一緒に高校野球を見れるなんて嬉しいです。だって二人とも野球には興味ないって態度なんですもん。野球のやの字を言うのも憚(はばか)れる感じでした。今日からは、いっぱい野球の話しが出来ますね。」

藤宮はニコニコと松谷の話しを聴きながら言う。

「松谷さん、草野球のチーム監督さんなんですよ。あっ、今度、透さんと斉藤さんを誘って草野球しましょうよね。」

「えっ、良いの!? 藤宮君から良いの返事を貰えるなんて嬉しいなぁ。僕が誘っても、透さんと、剛さんはダメって言うからねぇ。よぉし、ユニフォームを早速(さっそく)新調しないと。あっ、後でちゃんと採寸しますから。」

松谷はそう言う終えると古川と斉藤の了解の返事を聴く訳でもなく、自分の手提(てさ)げ鞄(かばん)からタブレットを取り出す。

ネットを繋げユニフォームオーダー製作サイトを開き見積もりを選ぶ。

「あの、松谷さん。僕も仲間に入れてください。」

「もっちろん。」

「よぉし、頑張って体力つけないと。」

「悠紀?? 私はそのだ。野球は見るのは好きだっが、悠紀が草野球をしたいのであれば応援はするぞ。」

「やい、松。お前、草野球のチーム監督してるなんて一言も聴いてないぞ。お前がチーム監督なんて似合わん。俺がチーム監督になってやろう。松が監督じゃ、どーせ弱いに決まってる!!惜しの弱いチーム監督ではダメだ。」

「何を言うんですか、我が草野球チームの シルバートルネードは強いんですよ。透さんも遠慮なく参加しましょうよ。ね??」

「なんだよ、一言目には透さん、透さんってさ。シルバートルネードって。なんか冴えないチーム名だなぁ。クリティカルトルネードにしろ。まずはチーム名を改名しろ。俺が弱小草野球チームを強化してやろう。」

「透さんは僕達、後輩の憧れでした。だってさ、おじさん草野球なんだもん。若い人も数人は、在籍(ざいせき)してますよ。所属してる部員が平均(へいきん)年齢が40歳以上。」

斉藤は松谷の隣のスタンド席にどかりと座る。ユニフォームの見積もりをしてる、松谷のタブレットを覗き込む。

「何だよ!! そのダセぇ~ユニフォーム。なんか、ほんと冴えないな、お前の草野球チームは。」

「地味でも中身が大事なんです。一言目には冴えないダサいって失礼しちゃうなぁ。」

「おい、何時(いつ)からエラソーな口を利(き)ける様になったんだ。」



じゃれあう斉藤と松谷。斉藤は何だかんだと言いながらも、草野球チームに誘われたのは嬉しいそうだ。

そんな二人だった。古川は藤宮の瞳を見つめお互いに微笑(ほほえ)んだ。



「ほら、二人とも開会式が始まるよ。」


開会式がまさに始まろうとし会場の空気が変わり、甲子園球場は厳(おごそ)かな雰囲気に包まれ大歓声と喝采(かっさい)が巻き上がった。




SecretSweet illusion(19)