苫小牧市美術博物館へ行ってみると、入り口に企画展のポスターが目に止まった。
舟越桂の彫刻が否応なしに人を惹きつける。見てみようと思い扉を開けた。
前にも一度美術館に入ったことがあるのだが、札幌市と比べると観覧料金がとても安い。
市によってチョイスするアーティストの知名度や作品の数、その規模など様々な事情があるのだろうけれど、だいたい札幌市は道立近代美術館では1600円くらい。
今回こちらの美術博物館で支払ったのはたったの300円。気軽に美術作品に触れられる、うれしい料金だ。近くに住んでいたら、毎度訪れたいくらいだ。
美術館の受付の人に「閉館まであと1時間もありませんよ」と伝えられたが、そのくらいの時間があれば問題は無いと思い、入場した。先客は若いカップルが2人だけ。ゆったりと観覧出来た。
先ず出迎えてくれたのは、
三沢厚彦 Animal
何とはなしに、ジブリの「もののけ姫」のシシガミを連想した。
砂澤ビッキ 樹蝶
砂澤ビッキらしい、ダイナミックな作品だ。
手島圭三郎 しまふくろうと月
深井隆 逃れゆく思念
片翼の付いた椅子。不思議な物を彫り出すものだ。奇妙な形ゆえ惹きつけられる。
手前の作品が舟越桂 そこだけの冬
手前の作品が舟越桂 そこだけの冬
舟越桂の作品は木彫だが、目に確か大理石をはめ込んでいると説明があった。
一度札幌でも別の作品を何点か見たのだが、どの作品も心がざわつくと言うか、見た瞬間ある種のショックを受ける不思議な作風だ。表面に木の質感を残しながら、リアルに彫られた頭部。大理石のリアルな眼差しも生きているように感じられる。しかし、ボディーの方に目を移すと、簡略化された人からかけ離れた形が奇妙だ。
初めて舟越桂の作品を目にしたのは、作家天童荒太の「永遠の仔」の本の表紙だった。一度見たら絶対忘れないほどのインパクトの作品。あの表紙に惹かれて本を求めた人も多かったのじゃないだろうか。
館内には苫小牧市ゆかりの画家の作品もずいぶん展示されていた。中でも遠藤ミマンの作品が私の好みだった。
作品の側に持ち帰り自由のサンプルがあったのでもらってきたが、その場で比較すると、原画の色とは微妙に違う。本物の色はやっぱりいい。絵画は本物を観るべきだと痛感した。
ひと通り、会場を回り閉館の数分前に美術館を出た。私が最後の観覧者だった。
息子のアパートへ向かった。
30分ほど息子と話し、慌ただしくクラス会の会場の店へと向かった。店をよく知る息子が水先案内人。迷うこと無く店に着きありがたかった。
宴は2次会、3次会と進んだが、私は2次会で離脱し、息子のアパートへ向かった。
途中コンビニでコーヒーを2つ買い、紙製のトレーに入れて持ち帰ったのだが、コーヒーを受け取った息子が私の上着にコーヒーがこぼれていることを教えてくれた。
自分では全く酔っていないと思っていたのに、酔いがまわっていたのか。全然気が付かなかった。シミにならない内に上着の汚れを洗って干した。
明日は息子の誘いでウトナイ湖へ行く予定 だ。
息子が用意してくれた布団に気持ちよく包まれながら、眠った。
つづく