ウトナイ湖に着いて、早速湖の周辺の木立の中を歩き始めると、大きな望遠レンズのカメラを持ったプロカメラマンなのか、バードウォッチャーなのか、何人かとすれ違った。
ちょうど、迷彩柄の巨大望遠レンズを付けた女性とすれ違った直後に、息子が直ぐ側に小鳥の姿を見つけた。
至近距離で逃げもしないその鳥は、これまで見たことの無い野鳥だった。
喉が赤い色に染まった小鳥。私はその小鳥の名前を知らなかったのだが、不思議な事に頭に「ノゴマ」という言葉が浮かんだ。実際その小鳥はノゴマだったわけだが、これまで野鳥図鑑や動画で見ていたものが、知らないうちに記憶にインプットされていたようだ。脳の不思議。記憶の引き出しが開けられた瞬間だった。
湖の湖面には私の目には水鳥の影も見当たらなかったが、息子が遠くの白鳥に気付いて教えてくれた。双眼鏡が大いに役立った。
更に数羽の白鳥が、群れに合流する為に飛来した。4羽の白鳥が息を合わせた様な湖面へのランディングを、正面から見ることが出来た。一瞬にして湖面が美しい“白鳥の湖”の舞台に。羽ばたく白鳥の姿の何と優雅なことか!
空にはガンが編隊を組んで飛ぶ様子も見られた。
その後も息子は様々な事に気付き、頼もしく感じたが、一方で自分が気付けないという、負の「老人力」も気づかされた。こんなはずじゃなかったんだがなあ。まあ、仕方が無い。「老人力」には過去に蓄積された“正”の力もある訳だし、プラマイゼロで考えよう。
ウトナイ湖のネイチャーセンターへ行く途中で面白いものを発見。
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サルノコシカケの上にドングリ!まさか偶然落ちたドングリがここに留まるとも思えない。誰かが置いたのだろうか。それとも奇跡?
ネイチャーセンターの周辺は、なぜか野鳥が多い。前回訪れた時も、シマエナガやキバシリなどを見かけた。
今回はシジュウカラやハシブトガラなどお馴染みのカラ類をよく見かけた。
少し離れた所では、枯れたヨシ類と思われる草むらから、ヨシキリらしき小鳥が飛び出してきて、引っ込んだり、私達の足音で驚いて鳥が飛び立ったり(私は見逃したが、息子によるとミヤマカケスだったらしい)と、じっくりその姿を観察する事はかなわなかったが、自然の中の出合いがたくさんあった。
息子は「ノゴマとの出合いがピークだったね」とウトナイ湖での野鳥観察を総括した。まあ、確かに振り返れば「出落ち」的な展開の野鳥観察ではあったけれど、五感を刺激する野外での散策は、私にとっては何よりの楽しみだ。
もう一箇所、私が行ってみたいと息子に伝えていた「錦大沼公園」は、数年前新聞記事で知った。その記事は紅葉の美しさを伝えていたのだった。ここまで書いて、はたと気づいた。ちょうど今紅葉の時期。そこまで考えて息子は私を連れてきてくれたのか。野鳥観察メインで考えていた鈍感な母は、ブログを書き出してから、今頃になって息子の気遣いに気が付いたのだった。
錦大沼公園では、運が良ければカワセミを見ることが出来るかも知れないと期待して向かった。
つづく