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ポジティブな私 ポジ人

憧れの作務衣

今では懐かしい、居酒屋で過ごした楽しい思い出。感染を恐れてすっかり外で飲むこともなくなってしまった。

30年以上も前のことになるが、吟醸酒を知り始めた頃、少し高級な居酒屋などに行くと、お店の人が作務衣を品良く着こなしていたりして、日本酒を飲む気分もいっそう高揚した。作務衣いいなあ。私の中でじわじわと、作務衣ブームが始まった。
作務衣が素敵だなと思うと、作務衣を着ている著名人がちょくちょく目に入り、世の中が静かな作務衣ブームに湧いているようにも思えた。

作務衣は禅宗のお坊さんの作業着だ。
お寺のドキュメンタリーなどがあると、夫も私も好んで見るのだが、修行のお坊さんが庭で掃除したり、廊下を雑巾がけする作務衣姿に憧れた。厳しい修行中のお坊さんをながめながら、不謹慎にもほどがあるが…。

お坊さん達の着ている作務衣は、長く大切に使われたことで、藍色が程よく抜け、柔らかく身体に馴染み、とてもかっこ良く見えた。ほつれがあっても、またそれが清貧であることが感じられ、益々よく見えるのだった。自分も着てみたいなあと思った。

作務衣を手に入れようと調べてみると、ピンからキリの値段だ。やはり良質のものは万を下らない。
ある日新聞の広告欄に5000円ほどの作務衣が載っていた。5000円なら買えない値段ではない。早速男女兼用のSサイズを購入した。

数日して届いた作務衣を、ワクワクしながら身に着けた。
上着は丁度良いものの、ズボンに相当するものは、パツンパツンで相当動きづらい物であった。まあ、パツンパツンの部分は上着に隠れるので、見られる分には何の問題もないが、着ている本人がリラックス出来ない。
それでも、似合うかな?と淡い期待を持って鏡の前に立つと、さして良くも見えないし、似合いもしない。ガッカリした。
それでも、その後たまに身に付けては見たものの、着心地の悪さがストレスとなり、次第に袖を通すことがなくなり、しばらく箪笥の肥やしとなっていた。

数年前、箪笥を整理していて見つけ出し、ここに眠らせていても意味はないと、再度着用してみることにした。
するとジョギングの効果か、老化で体が枯れてきたせいか、ズボンの方に余裕ができて、まあまあの着心地になっていた。

ある日、古いパジャマを処分して、着るパジャマが無くなった時に、たまたま作務衣で間に合わせた。それ以来作務衣がパジャマ代わりになってしまった。

本来は働く時に着る作務衣を、寝るときに着るという、罰当たり。喝を入れられそうだ。

朝起きて、鏡にうつる作務衣姿はやっぱり、似合わない。もしかすると、スキンヘッドにしたら、似合うかもしれないなぁとボンヤリ思ったのだった。




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