樹庵のお気楽ナビ

チビデビル ルックと
天使キャラ セントの日記です。

「百億の昼と千億の夜」 その1

2007年06月07日 | 本と雑誌

 

講談社の「週刊原寸大日本の仏像」創刊号のCMで、
久しぶりに興福寺の阿修羅像を見て、ある本を思い出した。

光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」だ。
同時に、それを萩尾望都が描いたコミックも。

知ったのは20年以上前、
最初は週刊少年チャンピオンの,萩尾望都の掲載がきっかけだった。
少年チャンピオンの中で、「百億の昼と千億の夜」は異質な光を放っていた。

何しろ、少年チャンピオンにプラトンが登場し、
アトランティスの司政官としてアトランティスの最後を見届け、
次に登場した悉達多太子は
波羅門僧に伴われて出家してしまい、兜率天(とそつてん)阿修羅王と会い…。

プラトンのイデア論、仏教の言葉、
それが少年チャンピオンにあった。
そのギャップの激しさも、また気持ちがよかった。

しかし萩尾望都の連載は半分も読まなかった。
たぶん少年チャンピオンを読むチャンスがなくなってしまったからだと思う。

それからしばらくして、書店で目に止まったのが光瀬龍の原作だった。

手に取った途端、萩尾望都の描いた修羅の鬼、少女のような阿修羅王の顔を思い出した。

原作は、かなり哲学的でかなり難しかった。
それでもぐいぐい引き込まれ、憑かれたように読んだ。

特に主人公の阿修羅王については、これがきっかけでいろいろ調べたし、
ついには興福寺まで阿修羅像に会いに行った。

しかし、あの本は不思議な本といえば不思議な本で、
読んだ後に、残ったのは茫漠とした限りない光の海のイメージだけだったような気がする。
20数年前に読んだ感想は、実はそれだけだった。