間もなく続編が公開されます。
その前に、もう一度見てみました。
<ちょっとあらすじ>
昭和33年、
次第に立ち上がって行く東京タワーの根本近くに、
青森から集団就職してきた少女。
大きな自動車会社だと思った就職先は
下町の整備工場(こうば)「鈴木オート」だった。
最初はがっかりだったが、
やがて、将来でっかい会社にすることを夢見る家族に、
自分の夢も重なっていく。
「鈴木オート」の向かいにある、駄菓子屋では、
冒険小説を書く、しがない物書き青年が、
飲み屋を始めたばかりの、元踊り子から、
昔の同僚の子供を預かって欲しいと頼まれる…。
<樹庵的感想>
昭和33年の春から冬までの物語。
東京タワーが育っていきます。
古き良き、とか、懐かしい、とか、ほんとうにそうなんですけど、
今回見て思ったのは、時代のエネルギーみたいなものでした。
それが、成長して行く東京タワーに象徴されます。
売れない物書きも、借金だらけの飲み屋も、
汗と油の整備工場も、
何かに揺り動かされている。
それがあの時代だったんだなと思います。
タバコ屋しかり、診療所の先生しかり、
そして、電気冷蔵庫の到来により先細りになる氷屋しかりです。
誰もが、何かに突き動かされるように生きている。
安定したものは何もない、
この先どうなるか、そんなことはわからないが、
とにかく時代がうねっている。
このうねりから振り落とされないぞ!しがみついて生きてやる!
それを誰もが無意識に感じていた時代。
何かがある。
だから、人が人らしく、あたたかいのだと思います。
何かとは、美しく言えば希望でしょうか?
いや、私にはもっと生臭くて力強いものに思えるのです。
鈴木オートの一人息子と、
駄菓子屋に暮らすことになった少年の演技が光ります。
子供の目の輝きが、そのまま時代の輝きでした。
続編がどうなるかわかりませんが、
東京タワーが成長していくこの回ほど、
時代のエネルギーが感じられるかどうか、関心があります。