2時間超の大作ですが、
これはあっという間に見終わってしまった印象です。
<ちょっとあらすじ>
就職の面接を受ける朝、たまたま乗った電車で
痴漢の疑いをかけられる主人公(加瀬亮)。
わけのわからないまま連行された警察では、
いくらしていないと訴えても、誰も取り合わない。
友達(山本耕史)や母親(もたいまさこ)が奔走し、
弁護士(役所広司、瀬戸朝香)を見つける。
周りの粘り強い努力で、少しずつ無実の証拠が揃って行くが…。
<樹庵的感想> ★★★★★
つい先日、「踊る大走査線」をテレビで見ていたのでした。
熱血青島刑事を見て、まあ芝居だとはわかっていても、
そうね、日本の警察もなかなかね。などと思っていたところだったので、
これは衝撃であった。
…というか、イヤ最近も冤罪事件があって、
真犯人が現れたために、刑期を終えた後に無実が証明された人が、テレビで、
「警察では自白を強要された。
こちらが違うと言おうとすると、殴ろうとするから怖くて言えなかった。」
と会見していましたし、
その前にも、選挙運動にからんだ冤罪事件もニュースで見ていたので、
私とて、警察のそういう一面を知らないわけではないのですよ。
でも、所詮人事なんですね。
そーゆーこともあるだろうな程度の認識でいたことは、恥ずかしいです。
光があれば陰がある。
「踊る」の青島刑事が光なら、
「それでもボクは」の
自分達の都合に合わせて調書を作っていく警察や検察、
事務的に仕事をこなし自分の成績を気にする裁判官は
まさしく陰の存在であり、これが日本の司法制度の事実なんですね。
「疑わしきは有罪」という闇、
公権力という名の下に人が人を裁く闇は底知れないのかもしれない。
裁判の恐ろしく長くまどろっこしい、しかも周到に人を陥れようとする道のりは、
なんちゅうか絶望的ですね。
そういう闇が、実は私の隣にもあなたの隣にもあるんです。
怖いですよ。
DVDのジャケットの「これが裁判」という文字と
劇中の「裁判所は真実を裁くところではない」という言葉が重い。
暗黙の闇を、
若者がわかりやすい形で浮かび上がらせて、光を当てた
周防正行監督に脱帽でした。
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