樹庵のお気楽ナビ

チビデビル ルックと
天使キャラ セントの日記です。

「めがね」

2008年06月05日 | 映画

<ちょっとあらすじ>

春先、南の島の宿「ハマダ」にやってきた、タエコ(小林聡美)。
宿の主ユージ(光石研)、島の高校教師ハルナ(市川実日子)、
そして毎年この時期この島に降り立ち、
浜辺でかき氷を売る謎の人物サクラ(もたいまさこ)たちの、
「たそがれる」姿に、最初は苛立つのだが、
いつしか波の波動、自然の波動、地球の波動の中に浸かっていく自分、
まぁ簡単に言うと癒されていく自分、に気づく。
やがて、タエコの教え子(加瀬亮)もやってくる。

樹庵的評価  ★★★★★

愛犬イヴが亡くなったのとほぼ同時に、
それまで嵐のようだった仕事がすっかり片付いて、静寂の時間がやってきました。
それまで一日は犬の散歩に始まって、
家事全般を済ませるとはや昼、という日課を15年続けてきた私が、
ベランダの植木を覗き込んだり、庭の樹をぼうーっと見るだけの午前になってしまいました。
全身から力が抜けて、座るといつの間にか寝ているのです。

そんな時、1枚のDVDがテーブルにありました。
「めがね」です。
「かもめ食堂」に続く、荻上直子監督、小林聡美、もたいまさこ出演の、この映画、
観そびれちゃったんだよねと、以前話したら、クライアントさんがくださったもの。
何も考えずに観てみました。

1回目2回目は、ただただ波の音に浸り、海風に吹かれる感じで、
気がついたらまた寝ていた…って感じでした。
「かもめ食堂」より、さらに淡々と時間が流れているのです。

タラップを降りたサクラが、ちょっとその辺に買い物に行くような格好であるのに対して、
大きな荷物の、まぁこれが普通の旅行者スタイルのタエコ。
ガラガラと畑の道で引っ張る大きなスーツケースが、この島にいかにも不似合いで、
彼女のもっている心の重さを表しています。

島には観光なんてないのです。
あるのはただ、「たそがれる」ことだけ。
「たそがれる」なんて人生の終焉を前に、
沈む夕日に身を染めて、あなたは何を想いますか?って、
そんなイメージなんですよね、私には。
それを、まだ人生の終焉には遠そうなサクラやユージやハルナは当たり前にしているし、
タエコを探してやってきた教え子君までもが「得意です。たそがれるの」なんて言う。

なぁんだかよくわからないけど、そのうち私も気持ちよくなってしまった。
この世の中で、そんな場所があるのだろうか?
経済活動はどうなっとるのかね?
なんて小賢しいことは思わなくていいんです。
美味しい魚や海老を食べて、ビールを飲んで海を見ているだけ。

そういえば樹庵も経験ありますね。
樹庵は若き頃登山をやっていまして、冬山もロッククライミングも一通りこなしました。
その樹庵が、あるとき海の見える喫茶店で人を待つことになったんです。
ぼーっと海を見ていたら、いつまでも飽きないんですな。
あれ、なんか山と違う?と思いました。
そう、山は向こうが動かないからこっちが動きたくなるんですけど、
海は向こうが動くから私は動かなくてもぜんぜん飽きないのだと、その時思いました。

こういう生き方もいいなぁ~。
いやいや、生まれて死ぬまでこういう生き方というのも、
そりゃ問題あります…と思いますけど、
人生にたまにはこういう時があっても、罰はあたらないんじゃないでしょうか。
人間は自然の一部である、とつくづく思う映画です。

映画の中で何回も登場するメルシー体操。
朝、砂浜に集まってみんなで、サクラさんオリジナルという変わった体操をいたします。
(実際は珍しいキノコ舞踏団の伊藤千枝さんの振り付けのようです)
これがね、妙に心に残るんですよ。
DVDのカバーの写真、これがそうです。
是非機会があったら全部知りたい。(3枚セットを買うとついてくるそうですよ)
しかしね、この体操が似合うのは、やはりこの砂浜ではないでしょうかね。


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