すそ洗い 

R60
2006年5月からの記録
ナニをしているのかよくワカラナイ

すい臓がんの山田さん

2023年07月21日 | ヒトゴロシ
今、私は末期がんです。すい臓がんで肝臓にも転移していて、手術もできません。余命も残り少ないし、いつ死んでもおかしくない身体です。身をもって命の尊さや儚さを知りました!
 私がすい臓がん(ステージ4)を宣告されたのは、令和4(2022)年2月21日の午前、医務室ででした。
 このがんを宣告される1年前の健康診断(1年に1回行われる)にて、肝臓の数値が悪いと言われ、3~4カ月に1回のペースで採血検査を受けていました。その間は、食欲もなくなり、身体の倦怠感が毎日続き、その件も含めて、採血の検査の結果時(医務診察時)に伝えていたのです。
 数値の方も、特に酒飲みに多いガンマGTPが高くなっていく一方なのですが、何科の先生かは知りませんが、「様子見」ばかりのリフレインでした。私の方も、こんな倦怠感や食欲不振は、精神面もあるのかな?ぐらいに思ってたのですが…体重はとにかく20キロも減少しましたし、独居房の畳に座ってるのもキツい状況でした。
 それでも我慢して座り、本当にあ~ダメだという時はフロアー担当に言って少しだけ横にならせてくださいと伝えていました。医師は「様子を見ましょう」と言うばかり。食欲がないことや体がだるいことも伝えてますが、一切、検査はしてくれません。なのでやはり、精神面から来る症状なのかと思ってました。正直、生きてるのに疲れてもいましたし…。
 ただ裁判もまだ終ってないし、このままじゃダメだと思い返して、気合論じゃないですが、その倦怠感と闘おうと思い直すという、その繰り返しの日々でした。
 それで、4回目ぐらいの採血検査をした時ですが、医師は数値が上がってても様子見と言うのだろう、そんな極端の数値ではないし…と思ったのですが、ここ名古屋拘置所では見たことない医師がエコー検査してくれたのです。そして「肝臓がかなり弱ってますね!!」と言ったのです。
 それから、突然、外の病院に車で連れて行かれて、CTスキャンをしたのですが、そこにいた医師がエコー検査をしてくれた先生だったのです。名古屋市西区の名鉄病院です。
 で2月21日の午前中に主任が部屋に来て、医務室に連れていかれました。そこで初めて見た医師が、後に医務課長と知るのですが、「山田さん、そこの椅子に座ってくれますか?」と言うのです。私はてっきり肝臓のことを言われるのかと思ってたのですが、そうではありませんでした。
「すい臓がんです。ステージ4で手術もできません。このままでは、余命も残りわずかです。治療と言っても延命治療的なもので、点滴治療か抗がん剤の飲み薬ですが」云々と言われました。さらに「この治療をしても5年生存率は2~3%です。点滴は副作用が強く、リタイアされる方が多いので勧められません。ですので、私は抗がん剤を勧めます。明日からと言わず、今日から始めてください!」と言うのです。
 そこで抗がん剤の治療をOKはしたのですが、正直、頭の中は真っ白で、説明の半分も頭に入っていませんでした。主任に連れられて、取り調べ室で「案外冷静に聞いてたので、良かった」とか言われて…何か、何かその言葉に腹立ってきました。何も良くねーのに…。
 その日、病人がいる所に転房となったのですが、そこの担当が「ここはいいですよ~!」などと言ってきて……その「いいよ~」とか「良かった~」とか、今さっき末期のがんだと宣告された俺に言う言葉か!(怒)って、すげーイライラしました。
 外の友人の話や新聞から、すい臓がんの詳しい内容とか知っていくうちに、食欲不振とか倦怠感はすい臓がんの初期症状らしくて、そもそも酒も呑まないのにガンマGTPが高いのもおかしい! 私に、ず~っと「様子見」のリフレインをしてた医師にその件を打ち明けたら、「あなたがすい臓がんなら今、生きてませんよ! 1年も生きられません」とか言うので、「いい加減にしろ」ってと怒鳴ったんです。
 そして、これはおかしいと思い、国賠訴訟をしようと法テラスの弁護士に任せたんです。でも裁判所には証拠保全も断わられ、ここのカルテとCTスキャンした病院のカルテでは難しいということになって、あきらめました。

死刑判決を受けても驚きはなかった
 がんの余命宣告をされて、私はよりいっそう死を受け入れました。いっそうというのは、私は自首時には死刑を受け入れてたので、それがよりいっそう身近になったということです。だからそんな私が死刑判決を受けても、はっきり言って驚きもなく、ただ、あーそうですか!って感じです。
 今、控訴しているのは、死刑が納得行かないとかではないのです。弁護士の先生方は、死刑廃止にこだわってますが、私はもしそうなって当然の罪であれば死刑でいいと思ってます。ただ、私の場合はそもそも強盗目的ではないのです。警察と検察のデタラメなストーリーで、私が言ってもないことを、同じ留置場にいた奴に、運動時に私がそいつに「強盗目的で殺人した」云々と話したと供述させてるのです。こういう歪んだ日本の刑事司法の結果、多くの無実の者が冤罪で不当にパクられている。そういう権力に対して、争ってるだけです。
 私は確かに尊い命を奪い、被害者宅から1227円入っていた財布を盗りましたが、やってもない罪まで認めたくはありません。そこは闘わなければ、警察や検察は、これからも調子に乗り、公権力を濫用するでしょう。
 そもそも、1審の裁判員裁判では私の主張が認められたのに、高裁では、検事が新しい証拠を出したわけでもなく、裁判長の屁理屈も合理的ではないとか云々で、イレギュラーの差し戻しにした時点で出来レースです。この差し戻しは強盗殺人しましたという前提であり、私の方は、それをひっくり返す証拠がないとダメなんです。そんな証拠を見付けるのは本当に大変です。そもそもが、1審で殆ど証拠は出してますし。裁判長(高裁・最高裁)は何の決め手の証拠もなく「強殺不成立は誤認」と言いますが、その理由は全て、「推認」でしかなく、それに対して私の方には証拠を出せですから、ひどい話です。
 私の事件はネットで調べれば出てきますが、ネット情報を本気にしないで下さい。私は2人を殺め財布を盗みましたが、ネット上では「金に困った」とか「金をパチンコで使い果たした」とか書かれている。これは全くの嘘で、裁判記録には全て載ってます。警察の嘘の情報が出廻ったのでしょう。やつらのオハコです。
 確かに私は自首時、強盗殺人しましたと言っています。被害者の言葉で怒りが爆発して殺してから財布を盗ったのですが、私は当初、それを強盗だと思っていました。ただ、その後、弁護士が来たので、検事に話したことを伝えると、「松井さん、それは殺人と窃盗です。最初の目的が強盗ではないからです」と言われ黙秘してくださいと言われたのでビックリしました。警察や検察はそんな話は一言も言わないし、なので不信感を抱き、それから黙秘したのです。
 それにしても、高裁の裁判長の判決の「強殺不成立は誤認」差し戻しにはビックリです。その根拠も、いかにも、強盗する人は金に困ってる! 借金をしている! 被害者宅に現金があることを知っていた云々と、この判事はきっと、私の事件をちゃんと調べてないんでしょうね! 金に困ってたら強殺する! 借金をしていたら強殺する!って……バカげてます。それも、借金って言っても10万円以下、7~8万円ですよ!
 被害者宅には財布の中の千円以外にもお金があるのに、部屋は物色してません。財布を衝動的に盗んでしまい、中には1227円ですよ。それで、借金払えますか?
 私の場合、死刑判決も受けました。でもその前にもう末期がんの死刑宣告をされてますし、執行される前にがんで死にますので、死刑判決は私に対して意味があるのだろうか?と思っています。》

 山田被告からはごく最近も手紙が届いた。今年の夏の暑さゆえか熱中症で倒れる事態になっているという。がんで免疫力が落ちているせいかもしれない。命の危険にさらされて生活しているという。

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