5億 ジンバブエドル ハイパーインフレ紙幣 500,000,000ジンバブエドル 5億ドル | |
ジンバブエ |
アメリカには公的な住宅ローン貸し出し法人がある。前述のファニーメイとフレディマックである。両金融機関は経営危機に陥り、ファニーメイ債(FNMA)とフレディマック債(FHLMC)を購入していた日本の金融機関も、連鎖で経営危機に陥りかねないと言われている。米住宅公社債の内、ジニーメイ債(GNMA)には連邦政府の債務保証があるが、ファニーメイ債とフレディマック債には債務保証がない。
日本、中国、サウジアラビアなどの中東諸国、ヨーロッパ諸国がニューヨーク市債、カリフォルニア州債などの巨大な赤字団体の発行する米国債以外の地方債を、大量に購入している。地方債も連邦政府の債務保証はない。既にイリノイ・カリフォルニア・ニュージャージーなどの州政府財政はかなり逼迫しており、債務不履行に陥ると予測されている。
金融保証専門会社(モノライン保険会社)が債務不履行に対して元利払いする取引を行なっている。米地方債の六割、証券化商品の二割がモノラインの保証を利用している。2007年12月モノライン中堅のACA Capitalが10億ドルの損失計上を受け、格付け会社スタンダードプアーズ(S&P)はシングルAからトリプルCまで12段階の格下げを発表した。モノライン大手のアムバック・ファイナンシャル・グループ(AMBAC)、レーディアン・グループ(RDN)の二社は、2008年7月株価が1.05ドルを下回り、ニューヨーク証券取引所で売買停止になった。モノライン各社は、各国の大手金融機関が支えている状態にある。
FRBは2008年末に量的緩和策(Quantitative Easing)として、米国債、MBS、米住宅公社債を買い入れた。2010年末には量的緩和策第二弾(QE2)が実施された。FRBはQE2で新発米国債の70%を購入したのである。日本銀行は「日米協調量的緩和」として、2010年10月に国債、国庫短期証券、社債、無担保約束手形、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)を購入した。ETFとREITについては価値変動リスクを危惧する意見がある。2012年に入るとREITは日銀が単独で買い支える相場状況になっており、仮に日銀がREITの購入を止めれば、相場が暴落する可能性は高い。
巨額の量的緩和により中央銀行が供給する通貨量(マネタリーベース)の1990年と現在の増加量では、ドル円比較で三倍規模の通貨供給となっている。マネタリーベース換算ではドル円レートは1ドル40円程度が適正水準となる。
全世界にばらまかれた債務担保証券や金融派生債券の総額は六~八京円と推定されている。1998年に破綻したロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の場合「運用金額の2.5%相当の救済額」が必要だった。合成債務担保証券は複数の不動産担保証券を束ねているため解け合い解消出来ず、実損率は高くなるとの試算がある。仮に実損率が2.5 %~5%とすると、1500~4000兆円の公的資金救済が必要となる。日本の土地・株価バブル崩壊に伴う損失補填が100~150兆円で、国内総生産の2-3割だったのと比較すると、アメリカ証券化バブル崩壊規模はかなり大きいと言うことができる。
金融市場はFRBによる量的緩和策第三弾(QE3)の実施を予想している。FRBが持続して市中の金融商品購入を続けなければ、証券化商品は流動性を失い、再度金融危機が発生しかねない。とは言え、通貨供給を増やせば通貨価値が減価していく事は避けられない。
ポンド危機・タイ・バーツ危機を仕掛け、「通貨マフィア」と称された著名投資家ジョージ・ソロスは述べた。
「国際通貨としてのドルの時代は終わりを示している」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます