2014年6月21日(土) 安全登山研修
13:30~16:30(途中10分休憩)
会 場:立川合同庁舎内 東京都多摩環境事務所 2階会議室
内 容:①巡回時に注意すべき安全登山のポイントを学ぶ。
②過去の山岳事故事例から、今後の事故未然防止活動へのヒントを得る。
講師:元青梅警察署 山岳救助隊副隊長 金 邦夫氏
都レンジャー・奥多摩サポートレンジャー会共同開催
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レンジャーから講師のご紹介
・定年後、嘱託指導員として、後進の指導や山岳救助に現役で従事した。昨年3月第一線から引退した。
・都レンジャーともサポレンとも長い付き合いであった。
・最新出版物の紹介、近日「岳人」に20回連載したものが東京新聞社から出版される。

(「岳人」は東京新聞からモンベルに引き継がれて出版されるが、連載は終了)
その他、以下の2冊も既刊
①『金副隊長の山岳救助隊日誌―山は本当に危険がいっぱい』 (角川学芸ブックス)
②『奥多摩登山考』奥多摩観光協会
・警視庁では、山岳救助隊は青梅警察署(昭和34年7月設置)、五日市警察署、高尾警察署の3か所にある。
青梅では救助要請は年間40-50件あり、4-5人は亡くなる。高尾でも同様に要請が年間40-50件ある。
低山でも最近の登山ブームがあり、侮れない。
青梅署山岳救助隊のホームページURL:http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/9/ome/05sangaku/01sangaku.htm
高尾署山岳救助隊のホームページURL:http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/9/takao/tozan/tozan.htm
・47都道府県で2,000m級の山がないところは、31都道府県。東京都は雲取山がある。
・日本の山では年間300人近くが亡くなる。死亡者がこんなに多いスポーツはないが、止める愛好者は少ない。
青梅では、昨年54名の死亡があった。今年は、GWですでに22名、不明者を含めると30名近くになる。
夏秋に増えることを考慮すると例年よりも多いので心配している。

・マナスル登頂後、第1次登山ブームが起き、若者が先導した。平成にかけて、第2次ブームがあり、中高年が主役だった。若者は山に登らなくなった。百名山など7-8年前は9割以上が中高年だった。最近、何故か山ガールが急増、青梅線も半分以上占める。それに山ボーイもついてくる。心配していたが、意外に救助要請はほとんどない。情報収集の手段も多様化し良く調べている。あまり無理をしない。調べてわかなければ、道迷いということですぐ問い合わせしてくる(笑)ので、大きな事故とならない。
・中高年にしろ、若者にしろ、救援要請があれば、すぐ向かう。救助した後、背負って(日頃、スポーツジムなどで若手と同様に、ガンガン鍛えている)下山・背負って降ろすが、恥ずかしいために神妙にしているどころか、下山中、しゃべりっぱなしという人がいた。
(足をけがするのではなく、口をけがしろと言いたくなる。笑・・)
もう少し、登山者としてのプライドを持ってほしい。
また、山岳会の団体で、登山中に一人が歩けなくなり、かついで降ろした。下山地点まで1時間程度のところだったが、同行者は、交代することもなくこともなかったし、下山すると途端に歩いて帰宅しようとしていた。(山に登るものとして、もっとプライドを持ってほしい)
・登山中に事故を起こしやすい時間帯は、昼食後の下山直後である。この時間帯は、滑落や転倒・転落が起こりやすく、特に意識して注意する必要がある。登山で、登りは「心肺(能力)」が重要、下りは「筋力」が必要。
・日頃から基礎的な体力や持久力は怪我をしないために鍛えておく必要がある。
・装備も重要で、良いものをそろえておく必要がある。3点セットであるカッパ、ザック、靴は重要。下着(アンダーウエア)
も大切で汗をかいても乾きが早くサラッとしているものが良い(ファイントラックが良かった)
・低体温症による事故が増えている。医師のような専門家でも引き返すタイミングを逸したなど判断を誤るケースがあった。無理をせず引き返す、判断・勇気が必要。
・ダブルストックの人も多いが、(下りでは)慣れていないと危ない。急な所や足場が悪いところでは特に危ない。シングルのほうが良いと思っている。
・配布された読売新聞記事/2013.8.24「遭難、誰にでも起きる-川苔山滑落女性 骨折30カ所」のことについて、重大事故を防ぐ手立てを紹介された。
百尋ノ滝を目指して、細い登山道を目指して大きな石をよけながら進んだところで、滑落、数m落ちたところで一端、木に引っかかったが、バランスを崩し、再転落役150m下の谷底に転げ落ちた。全身30カ所の骨折など重傷、救助が早かった結果、一命を取り留め、手術、リハビリの結果、回復。
①ザック装備を正しく使う。腰や胸のベルトをしっかり締めていた。ザックに詰めた雨具や防寒着が緩衝材として働いた。
②登山計画書は提出、家族など誰かにその日の行動・行程を知らせることで、救援・探索は範囲が特定でき、発見できる可能性が高まる。
③単独登山はなるべく避ける
・今日の話は障りで、詳しくは、冒頭紹介した本に載っているので、是非目を通してほしい。
体験や経験に裏付けられた実例ばかりのお話で、大変迫力と説得力がありました。
今後の活動に生かしていきたいと思います。どうもありがとうございました。
(記録:MK)
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「講師を囲んだ参加者集合写真」(奥多摩SR会長撮影)