ご当地メニュー紹介、今回は富山県のご当地ラーメン、“富山ブラック”。
名前のとおり、富山県の富山市内で食される、スープが真っ黒な醤油ラーメン。
数年前にカップ麺でその存在を知ったのだが、初めて見たとき衝撃だった。
ずっとこのブログを読んでくれてる方のなかに、
「富山ブラックの記事前もあったじゃん」って思われる方が居たら、それはデジャヴ。
寿がきやから販売されていた。
黒一色のシックなデザインのパッケージがそそる。
予備知識もなにもないまま、そのカップ麺を作って食べてみた。
できあがったときの漆黒のスープにびびる。
以前チャットで、お隣の石川県在住のマリオカートフレンドのけんたさんと会話したとき、
この富山ブラックの話題になった。
けんたさん曰く、「グロくて食べるのに躊躇して、まだ食べたことないです。」
近隣県の人にさえ、そう言わしめてしまうほどのスープのドス黒さ。
だが見た目とは裏腹に、そのにおいは、
濃い醤油と黒胡椒の香りがブレンドされていて妙に食欲をそそる。
スープを口に含んで衝撃が走る。
こ・・・これは醤油そのまんまじゃねえか!?
醤油辛くてスープが飲めたもんじゃない。
東京の醤油ラーメンよりも醤油辛い。
漆黒のスープを初めてみたら皆びびるだろう。
東京の醤油ラーメンは醤油辛くてスープを飲み干せない。
ラーメンのスープは飲み干すもの。
だが、関東~東海のひとは、残すのが普通らしい。
そりゃ、あんだけ醤油辛けりゃ、飲み干すことはできないわな。
うどんやそばも、岐阜だったかを境に、
それより東側ではスープの味がグッと醤油辛くなるという。
以前チャットで、静岡在住のマリオカートフレンドのひすいさんと、そんな会話をした覚えがある。
「ラーメンのスープて残すものでしょ?」
「え?ラーメンの命はスープなのに、飲み干さないの?」
今になって思えば、この食い違いは必然だったのだろう。
で、この富山ブラックは、その飲み干せない東京の醤油ラーメンを凌駕した醤油辛さだった。
自分はよほど不味くないかぎり、店のものに限らず即席麺だろうがカップ麺だろうが、
ラーメンに敬意を表して、スープは最後の一滴まで飲む。
だが、今回ばかりはムリだった。
こんなの飲んでちゃ、腎臓病になる・・・。
近所のスーパーでみつけた生麺のチルド商品。
富山県射水市(いみずし)にあるラーメン店が製造・販売。
そんな醤油辛くなく、黒胡椒の効いたふつうの醤油ラーメンとしておいしく食べられた。
富山ブラック初体験で衝撃を受けた後日、
日本各県の独自文化などを紹介する某バラエティ番組で、
この富山ブラックが取り上げられているのを観た。
そのときに地元の店で食される光景を見て、この醤油辛さに納得する。
地元の方は、白ごはんと一緒にこの真っ黒なラーメンを食べる。
つまりラーメン単品で食べるのではなく、
白ごはんのおかずとして、醤油辛いラーメンが存在しているのだ。
ごはんのおかずとしての、あの醤油辛さはアリだなと納得した。
あれから数年経ち、富山ブラックの知名度もすっかり全国区になり、
東京ラーメンショーなるイベントで、
この富山ブラックは三年連続グランプリを獲得するという偉業を成し遂げている。
あんな醤油辛いラーメンが?
最近のムーブメントは解らないものだなと思いつつ、
また見かけるようになったカップ麺の富山ブラックを手にする。
そしてそれを購入して食べてみた。
サンヨー食品から販売されていた。
これはかなり美味しかった。
またあの醤油辛さを覚悟(ちょっと期待)して臨む。
!?
あれ、そんな辛くないぞ?
スープは確かに黒いのだけど、あの異様な醤油辛さはなく、
だしの効いたちょっと濃いめの醤油と、黒胡椒の辛さがマッチして美味いくらい。
どんどん箸が進み、アッというまに完食。
さらに、富山県のラーメン店が製造販売している、生麺のチルド製品も発見したので、
それも購入し、さっそく作って食べてみた。
スープも漆黒、醤油と黒胡椒の香りも充分。
地元の名店が作っているのだから、さぞかし醤油辛かろう・・・。
期待しながら、白飯盛った茶碗を脇に食べてみた。
!?
あれ?辛くない。
これもふつうに美味しい醤油ラーメン。
白飯なんて要らない。
ひとり勝手に考察してみた。
全国区になるにあたって、さては味を変えたな?
あの醤油辛さが全国に受けるはずがない。
スープの黒さだけ残して、味を薄くしたんだなと。
これは福岡のとんこつラーメンにも同じことがいえる。
もうずっと前から全国区になっているとんこつラーメン。
だが、あれの本当の味を、いったいどれだけの人が食べたことあるのかと疑問に思う。
おそらく、福岡の人を含め、ほとんどの人が食べている博多とんこつラーメンは、
とんこつスープに何やらかんやら混ぜた、とんこつベースの創作ラーメンでしかない。
本当のとんこつスープは、他県のひとには受け容れられない。
下水の臭いがして食べられないという。
現に、数年前に福岡へ遊びに来た千葉在住のマリオカートフレンドのヨシさん一家。
昼にとんこつラーメンを食べようと、裏通りで見つけた老夫婦のやってた小さな店に入ったが、
こってりし過ぎて気持ち悪くて食べられなかったという。
だが、その夜、一緒に行った有名店の一風堂では、
「うまい!うまい!!」と舌鼓打って、奥様もお子さんたちも完食されていた。
おそらく昼食べた裏通りの店が本当のとんこつラーメン。
一風堂なんか創作も創作。
全国区になるために、こってりからあっさりに、とんこつの臭みもぬかりなく消してある。
さらにワケの解らないタレで味を上乗せ。
わしから言わせたら、邪道。
ヨシさん一家には悪いけれど。
本物は、白濁したとんこつスープに、ほんのちょっとの醤油ダレ。
脂ギトギトでラード臭く、その臭さにネギと紅生姜の香りが乗って、
なんともいえないハーモニーを醸し出す。
博多周辺でジジイがやっている小汚い屋台や、(若者がやっているしゃれたのはダメ)
長浜の埠頭付近にひっそりとある、老夫婦が営んでいる小汚いラーメン店で味わえる。
(ガイドブックに載っている店,DQN上がりの若者がやってる威勢の良い店はダメ)
富山ブラックの真っ黒なタレ。
・・・・・。
富山ブラックから話が逸れてしまった。
要するに、知名度が上がり、全国区になった富山ブラックにも、
この博多とんこつラーメンと同じことが言えるのではなかろうかと推測したのだ。
当初、富山市の市内中心部に数件しかなかった店も、
県内全域にどんどん増えているらしく、ふつうのラーメンを出していた店も、
メニューに富山ブラックを加えたり、もしくは富山ブラック専門の店に様変わりした例もあるらしい。
他県から食べにくる人はガイドブック片手に、“創作”富山ブラックを食べ歩き、
オリジナルの醤油辛い富山ブラックを差し置いて、
創作富山ブラックの店が人気を得て話題になり、東京ラーメンショーで脚光を浴びる・・・。
そしてタイアップでカップ麺などを作るメーカー側も、
オリジナルではなく、創作の味に合わせて商品を作ったと。
・・・違うかな?
まあともかく、もし富山県に行く機会があったら、
是非、本物のオリジナルの富山ブラックを食べてみたい。
富山ブラックの幟を掲げた、若者がやっている創作の店ではなく、
老夫婦の営んでいる小汚い食堂に入るようにして、
その時は白飯もオーダーするのだ。
あ、富山行ったら、富山ブラックよりも先に鱒寿司だな。
なるとも黒ずんでしまう、富山ブラックのスープ。
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