よろず戯言

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成金饅頭

2013-07-16 23:34:49 | グルメ

地方の銘菓紹介。

今回は福岡県直方市(のおがたし)の“成金饅頭”。

 

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クラシックな包装紙にくるまれた、成金饅頭。

 

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饅頭というより、デカい“どら焼き”。

ねじれ梅の焼印が特長。

直方なのに“博多屋”とはこれいかに?

 

明治時代、日露戦争のさなか、戦争の影響で物資の価格が高騰し続けていた。

それに便乗し、ひと山当てようとして、

ひとりの青年が全財産をはたいて、大量の豆(手亡豆)を購入する。

ところが、すぐに終戦を迎え、物価は下落。

青年の元には、価格の暴落した大量の豆だけが残った・・・。

 

青年は処分に困り、持て余した豆で餡を作り、

それを生地に挟んで饅頭として売り出したところ、

甘い菓子を欲する炭鉱労働者を中心に、「美味い!」と評判になり、

たちまち人気商品となり、饅頭は飛ぶように売れた――。

 

後に当時の炭坑王など成金の者にあやかって、“成金饅頭”と名付けられ、

以後、直方市の銘菓として、今なお人気のお菓子となっている――。

商品に添付されていた、しおりにはこう書かれてあった。

 

直径10cmはあろうかという大きな、どら焼き。

(実際はもっと巨大なものもある。進物用か?)

通常のどら焼きのそれよりも、なめらかでしっとりとした生地。

餡は手亡豆をふんだんに使った白餡。

こしあんがメインだが、粒もまばらに入れられている。

餡もなめらかで美味く、生地との相性もいい。 

 

そんな成金饅頭、直方銘菓として認知していたのだが、

先日、嘉麻市(かまし)の道の駅で、この成金饅頭によく似たものを発見した。

 

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パッケージには堂々と“成金”と書かれている。

 

え?!

これ成金饅頭?

思わず手にとって見る。

製造元を確認してみると、飯塚市の業者。

しかも商品名が、“炭坑なりきん”と書かれてある。

違うやん・・・もしや類似品?

 

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これはネタになる。

そう思って、迷わずこの成金饅頭の類似品らしき商品を購入した。

そして併せて直方で売られている、本家本元の成金饅頭も購入。

ふたつを同時に食べ比べてみることにした。

 

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右:直方市で購入した、“成金饅頭”。

左:嘉麻市で購入した類似品?らしきもの。

 

見た目には色と質感がまったく違う。

が、表面のねじれ梅の焼印は、ぴったりと一致。

切り開くと、餡の量と質の違いが雲泥の差。

生地の質も見た目だけでもまるっきり異なる。

 

そして実際に食べてみる・・・。

全然違う。

生地、しっとりしている本家に対し、類似品らしき方はパッサパサ。

餡、しっとりしてなめらかで、たっぷりと詰められている本家に対し、

ボッソボソで砂糖の粒が感じられるほど荒く、量も少ない。

とはいえ、価格差が3倍ほどあるので、この質の差は仕方がないといえる。

 

いや~、トンでもない類似品を発見したぜ!

そんなふうに思って、さっそくこのブログネタへ―。

その前に予備知識をば・・・と、成金饅頭のことを検索して調べてみることに。

 

本家本元だと思っていたのが・・・。

類似品だと思っていたのが・・・。

 

成金饅頭が明治時代後期に、

直方市で誕生したお菓子だということは間違いないようだが、

元祖の店という概念なく、のれん分けで多数の店で作られ販売されていた。

で、元祖だと思っていた製造元は、現存しているうちのひとつに過ぎなかった。

 

類似品だと思っていた製造元は、見つけることができなかったが、

カタチや焼印など、本家に忠実に製作しているのを見るかぎり、

この製造元も、単にレシピを順守して“成金饅頭”を作っていただけだろう。

商標登録をしておらず、ずっと以前には、直方市周辺で、

今以上に多くの菓子店が製造販売していたのかもしれない。

 

類似品呼ばわりしてしまい申し訳なかった・・・。

成金饅頭に類似品などない!

 

 


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