先日の休みに映画を観てきた。
堤真一主演のコメディ映画、“俺はまだ本気出してないだけ”。
昨年秋頃だったろうか、ずいぶんと前から予告が流れていた。
テレビCMで初めてそれを観たが、詳細は一切語られらず、
ただ、パーマ頭でパンツにシャツ姿のダラダラしている堤真一が映し出され、
「俺はまだ本気出してないだけ」とキャッチコピーが入る。
なんだこれ?と不思議に思いながらも笑ってしまった。
今年に入ってから映画館でチラシを見て、初めてその内容を知る。
バツイチ42歳・子持ちの男が、勢いで会社を辞めて、
ダラダラと生活をしつつも、漫画家を目指すというストーリー。
その主役のダメ男・シズオ役に、あの堤真一が大抜擢されたというもの。
映画SPシリーズや、容疑者Xの献身,クライマーズハイ,孤高のメスで見せてくれた、
クールな演技とは異なり、完全にコメディ路線で堕落した役を演じる。
ALWAYS三丁目の夕日シリーズや、舞妓Haaaan!!!路線。
このだらしなさ・・こんな姿見せられちゃ、観に行きたくなるわw
大黒シズオ42歳、バツイチで高校生の娘が居るにも関わらず、勢いで会社を辞めてしまう。
会社を辞めて一ヶ月、ファストフード店でバイトをやっているものの、
失敗続きで、自分よりもずっと年下の(本当の)店長や、
さらには自分よりも後輩にあたる外国人のスタッフからも叱られる始末。
うだつの上がらないフリーターのまま、ダラダラと過ごす。
朝は娘・鈴子(橋本愛)の用意した食事を、ゲームやりながらダラダラと食べ、
同居している父・志郎(石橋蓮司)から、「朝からファミコンやめろ!」と怒鳴られる。
ある日、立ち読みをしていたシズオは急に思い立つ。
「俺、漫画家になるわ!」
なんの根拠もなく、漫画家デビューに自身を持って、
夕飯の席で娘と父親の前で宣言するシズオ。
「お前・・・ホンモノのバカだったんだな・・・。」
思わず泣き出す、父・志郎。
鈴子の家事は高校生とは思えないほど。
だけど蝉の鳴く季節に鍋作るあたりが・・・。
それからペンを握り、徹夜しながらマンガを描き始めるシズオ。
バイト仲間や、幼なじみの真面目なサラリーマン、宮田(生瀬勝久)、
行きつけの居酒屋の店主(蛭子能収)らにも漫画家デビューを目指すことを告げ、
周りの冷ややかな視線や冷静な忠告を完全に無視して、
お世辞にも面白いはいえない、稚拙で粗悪なマンガの持ち込みを続けるシズオ。
いくら描いて持ち込みしてもボツになるばかり。
雑誌社編集部の担当、村上(濱田岳)の演技とお世辞を鵜呑みにし、
諦めずに、せっせと持ち込みを続けるシズオ。
親子喧嘩の図。
志郎の胴絞めスリーパーホールドが炸裂。
シズオはこの直後 家出する。
だが・・・高校生の娘に金を借りる・・・
父親とケンカして家出してしまう・・・
宮田のおごりで泥酔して真夜中に帰宅する・・・
バイトで知り合った元ヤン・市野沢(山田孝之)の家に転がり込んでしまう・・・
運がないからデビューできないと思いこみ、
インチキ占い師の言葉を信じて、ペンネーム変更・・・
しまいには真っ昼間から性風俗店へ――。
こんな自堕落したうだつの上がらない、
とんでもなく最低で、どうしようもなく情けないおっさんに、
果たして漫画家デビューできる日が来るのか!?
時折挟まれる彼の妄想と、心の中・夢の中で繰り広げられる自分同士の葛藤。
「朝からファミコンやめろ!」
「ファミコンじゃね~よ。」
「学校行って来るね。」
大黒家の朝の光景・・・。
彼の楽観的で脳天気で、周りの忠告・意見をまるで聞かず、
根拠無しで自信に満ちあふれているその姿、
42という年齢に、高齢の父と高校生の娘が居るにも関わらず、
その人生に生き方に、一片の焦りもない・・・。
シズオのそんないい加減な姿に、やがて周りの人間が感化されて・・・。
まあまあ面白かったかな。
シーンやシチュエーション、役者さんの演技、セットや小細工がことごとく面白い。
だが肝心なストーリーは内容が単調で希薄。
元々原作のマンガもこんな感じなようで、シズオのダラダラ感と相まって、
これはこれでいいのかもしれない。
堤真一はどんな役もこなせる、すごい役者さんだなとあらためて感じたし、
石橋蓮司や生瀬勝久、山田孝之もよかった。
娘の鈴子を演じていた、橋本愛という子もすごく可愛かった。
こんなきれいなリアル女子高生俳優さんが居るって知らなかった。
これは中谷美紀,柴崎コウに次ぐ逸材じゃなかろうか?
シズオの幼なじみ、生瀬勝久演じる宮田も離婚していて、
月に一度だけ最愛の息子に会うことができる。
だが、元妻(水野美紀)から再婚することを告げられ、
養育費を拒否され、もう息子と会うのも辞めて欲しいと言われるシーンがあった。
なんだこのデジャブな感じ・・・。
このシーンで胸が張り裂けそうになった。
このときのどうしようもない絶望感と憤り・・・生瀬勝久の演技は素晴らしかった。
泥酔状態で市野沢に連れられ真夜中に帰宅。
起きて健気に迎えてくれる鈴子。
こんな堕落した父親の娘がこんなデキた子だなんて。
シズオと宮田、市野沢の三人が通う、沖縄料理の居酒屋、
その店主・クニさん役を、漫画家の蛭子能収が演じていたが、シズオとのやり取りで、
「料理まずくて才能もないくせに、運がよくてたまたま店が持てただけ!」
みたいなセリフを浴びせられるシーンがあった。
お世辞にも絵が上手いとも、内容が面白いともいえないのに、
なぜか漫画家になれた蛭子さんを皮肉っているようで面白い。
ただ、HK 変態仮面と同じく、ムロツヨシ,佐藤二朗という両俳優は・・・。
コメディ映画だけど、この二人の演技のやりすぎ感。
悪い予感がして監督を確認すると・・・。
福田雄一・・・。
なるほど、変態仮面と同じ監督だった。
どうやらこの両俳優は、この監督お気に入りなんだろう。
本広克行と同じで、実際はつまらないのに面白そうなタイトルを出してくる。
これは今後、警戒しないといけない監督になりそうだ。
父親とケンカして市野沢宅に転がり込む。
「お風呂お先いただきました~。」と言って会釈するも、
直後勝手に冷蔵庫からビール出して、ガブ飲み。
映画を観終わって帰宅する。
ロクに仕事やらない,娘から借金.etc・・・。
「それにしてもトンでもない親父だったな~」と思いながら、家のドアを開けると、
風呂上がりに半ケツ出して、真っ昼間から焼酎浴びるうちのリアル親父が居た。
ああそうだった・・・。
もっと凄いのが身近に実際におったわ・・・。
シズオなんか比にならねえや。
「ファミコンじゃね~よ。」の返しが笑える。
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