
福岡県添田町にて
春から初夏、標高の高い野山で見ることができる花、
シャクナゲ(石楠花)"Rhododendron japonoheptamerum"。
日本には固有種と外来種、園芸用の改良品種を含め、数種類存在する。
自分は細かい品種・分類に明るくないので、よく判らないのだが、
その性質や分布からみて、ここに貼ってあるシャクナゲは、おそらくツクシシャクナゲと思われる。
上記の学名も、ツクシシャクナゲのもの。
福岡県直方市ふくち山麓はな公園にて
福岡では、3月下旬頃から6月頃まで見ることができるが、
高山植物の性質なため、なにぶん野山や標高の高い地域でしか見られない。
そのため、場所によって開花時期が大きく異なり、
山林のなかの うっそうとした木陰や、冷涼な場所だと夏に咲いていることもある。
固有種の群生自生地は、天然記念物にも指定されており、
このツクシシャクナゲだと、福岡と大分をまたがる犬ヶ岳や、
長崎県諫早市の多良岳などに自生地があるらしい。
ふくち山麓はな公園にて
花姿が近縁種のツツジ,サツキにそっくりで、
またそれらと同時期に咲くものだから、シャクナゲも大きなツツジだと思っているひとが多い。
実際、テレビ番組のロケなどで、シャクナゲをツツジと間違えているひとをよく見かける。
桃の花と梅の花を混同している人と同じくらいよく見かける。
花が大きいのはもちろん、葉っぱや蕾の形状でツツジ,サツキとは容易に区別できる。
ツツジとサツキはさすがに自分も容易には区別できない。
色々見分け方を知ってはいるけれど、パッと見でそれを区別できる自信はない。
シャクナゲの蕾。
ふくち山麓はな公園にて。
これはツクシシャクナゲとは異なる園芸品種かな?
特徴的なシャクナゲの葉。
福岡県添田町 英彦山花公園にて
シャクナゲの葉はツツジやサツキと比較して、
大きくて細長く、固くて表には光沢、裏にはうぶ毛がある。
花の咲き方も枝の上部に固まって咲くので、やはりシャクナゲだけは容易に区別できる。
葉にはツツジ同様、ロードトキシンという毒性のある成分が含有されている。
ツツジを漢字表記した躑躅(羊躑躅)が、
「羊が誤食すると足をもつらせて死ぬ」という中国の言い伝えから来ているのを知ると、その有毒さが解る。※
まあ、あんな固そうで不味そうな葉っぱ、岡本信人さんでも食べないだろう。
英彦山花公園にて
東日本では別種となるが、平野部でも普通にシャクナゲを見られるようだが、
園芸店を経営している方に、九州だと海抜200m以上ないと育たないという話を聞いた。
そのためか、福岡市や北九州市など、海沿いに住んでいる方にはシャクナゲは馴染みがないようで、
わざわざシャクナゲを鑑賞するために、八女市や飯塚市、添田町や東峰村などへ、
それを鑑賞するために、この時期ドライブする人も多いらしい。
この時期に、シャクナゲでイベントをする自治体や公園もある。
ツツジより豪勢で開花期間も長いから、確かに鑑賞には向いている。
ふくち山麓はな公園にて
育て方は容易らしいが、高温多湿に弱いうえに、
植え付け場所は日当たりの良い涼しい場所が適しているとのことなので、
やはり九州で育てるには厳しいものがあるようだ。
より強健な園芸品種で我慢する方が無難かもしれない。
剪定も特殊なようで、草花のピンチ(摘芯)同様、枝数を増やしてから、
芽欠きして樹形を整えたりと、花数を多くしてきれいに咲かせるには、ちょっとコツが要りそうだ。
ふくち山麓はな公園にて
水枯れにも弱いようで、浅植えが基本らしい。
だが根腐れも起こしやすいということなので、
盆栽の場合は水はけの良さも考慮しなければならない。
日当たりの良い斜面に植えられている、英彦山花公園で見たシャクナゲは、
花数は多いけれど葉に元気がなくて、けっこう水落ちしていて残念な状態になっていた。
一方で、うっそうとした場所に植わっている、ふくち山麓はな公園は、花数こそ少ないものの、
こちらの方が葉の状態もよく、きれいに咲いていた。
雑木林のなか、より自然の環境に近い状態で鑑賞できるのもいい。
英彦山花公園、入園料200円を入口の空缶に入れなきゃいけないが、
それだけじゃあ管理維持費が足りないのだろうな。
ふくち山麓はな公園にて
そんなシャクナゲ、6月中旬くらいまでは見られる。
梅雨に入って、雨に濡れるシャクナゲもまた、趣があって美しい。
アジサイと並んで咲いているところなんて、立ち止まって見てしまう。
東北や北海道ならば、別種になるが夏にも見ることができる。
群生している様子は本当に豪勢だけど、
雑木林のなかに、低く ひっそりと生えて花を咲かせているのがいい。
以下、シャクナゲ ギャラリー。
添田町にて。
その美しさに、思わず車を止めて撮影にいそしんだ。
山の斜面に美しく植えられた赤白桃色のシャクナゲ。
おそらく隣の民家の家人が植えたものだと思われるが見事だった。
添田町で販売されている、おみやげ菓子、"しゃくなげ美人”。
シュークリームやプリンで有名な地元の菓子店が製造している。
洋風のパイ生地のなかに、甘さ控えめのこしあん。
バターの風味とあんの甘さがマッチした、和洋折衷の美味しいお菓子だった。
※ツツジ(羊躑躅)の漢字由来は諸説あり。
ふくち山麓はな公園にて
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