府中・安倍川 江戸より19番目の宿
安倍川の渡しであるが、背後の山は何だろうか? 前面が賤機山、それに続く背後の高い山が竜爪山と見るのが常識的か? しかし、そうすると川の流れが何か不自然。どうも藁科川と合流する流れのように見えるのだ。手越・現安倍川橋辺りから北北西の方角に牛ガ峰(高山)があるが、この線も濃厚ではないか。牛ガ峰はカヤトの広い山頂で安倍奥の好展望台。ちなみに、高山・大山などの名は全国に多いが、里から見上げられる高いピークに付けられていることが多い。
(2003年8月記)
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【2024年8月追記】
府中から安倍川を渡った(現・安倍川橋付近)先の手越の西側に、古東海道といわれる「手児の呼坂[てごのよびさか]」があり、小さな峠道となっている。峠の北側に尾根を進むと中腹に今川家所縁の徳願寺があって、さらに尾根を登った標高352メートルのピークが徳願寺山と呼ばれている。徳願寺山からは300〜500メートル弱の尾根が宇津ノ谷峠に向かって伸びていて、近年は「丸子アルプス」と称して地元のハイカーに歩かれているようだ。府中・安倍川の背景の山は、この徳願寺山ではないかという説を目にした。ウィキペディアによれば
歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」の19番「府中」において安倍川の渡しの背景に描かれた山がこの徳願寺山とされる。この背景の山を「賤機山」とする解説も見られるが、賤機山は安倍川左岸(東側)のやや離れた位置にある低山で、このように迫るように見えることはあり得ない。
とある。
安倍川渡渉点(現・安倍川橋付近)から西方向の展望図
徳願寺山(Google Earth)
これを見ると山の迫り方と安倍川の流れのかかり方という点で、確かにそのように感じられるが、山の形が少し違うようにも見える。
北北東の展望図
賤機山・竜爪山(Google Earth)
こちらは賤機山から続く竜爪山だが、山そのものの形は双耳峰の山頂部など近いように感じられる。また広重画の左奥の山並が、安倍奥の十枚山・真富士山との解釈もできるが、やはり実景的には徳願寺山説が有力かなと思える。
「手児の呼坂」について
安倍川西岸(丸子)地域の古東海道について