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映画と渓流釣り

いのちの停車場 小百合さんとすずちゃん

小百合さん映画に傑作無しと映画好きには周知の事実だろうけど、それでも題材次第ではこうして映画館に足を運んでしまうのです。今回は広瀬すずとの初共演だった事もあり、監督の成島出への期待もちょっぴりあったものですから楽しみにしてました。

家庭婦人の影を持たない小百合さんには在宅医療の女医役は相性が良く、金沢の街もしっくり馴染んでました。若くて元気なすずちゃんや、どことなく頼りない松坂桃李とのアンサンブルも良い配置だと思います。物語も想像していた通り、小さなエピソードの集合体で構成されてました。この手のドラマが難しいのは、エピソードの選択と繋ぎ合わせの塩梅なんですが、2時間の中に収めるのはやっぱり無理がありましたね。伊勢谷友介と小池栄子のお話はやめて、その分を違うメインエピソードに振り分けるべきでしょう。脚本家出身の成島監督が何故共同脚本を書かなかったのか、「孤高のメス」の様な纏まりのある脚本ならもっと面白くなったでしょうに。

医師として、痛みに苦しむ父親をどのように救えば良いのかという難題に対しては、ちょっと綺麗事で誤魔化されてしまいました。このエピソードこそ実はど真ん中に据えてじっくり描かねばならないのでしょう。安楽死の問題は日本映画ではタブーなんでしょうか。こんな中途半端にやるなら、父親との絡みは無くした方が感動的なエンターテイメント作品としては成功したと思います。

それにしても恐るべきは小百合さんでしょう。父親役の田中泯とは同い年なんですよ!
どう見たって父娘にしか見えませんもの。御歳76。いつもいつもそのギャプに驚きますが、その衰えない若さと美貌ゆえにおばあちゃん役とかは演じられないのでしょうか。佐久間良子、岩下志麻、若尾文子と言った美人で演技力も備わった名女優が晩年活躍できない日本映画界は宝の持ち腐れですね。

小百合さんが日活でアイドル女優だった頃の様に、広瀬すずがハツラツとしてました。すずちゃんがその歳なみに演じられる日本映画界であって欲しいし、大人の映画を楽しめる成熟した社会になると良いなと思います。


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