べんきょうなせん(='ω')

べんきょうは論理で考えるトレーニング
熊本県山鹿市中高大学受験の "あすく" です

モノは言いよう|しあわせになろうよ

2015年09月25日 | 私から保護者へ
「席にもどって!」

 こういう注意を繰り返すと、席を離れる生徒がかえって増えるそうです。叱ればいったんは減ります。ただし次第に叱る効果がなくなっていきます。叱られて、一時的にやめただけだからです。叱ることもモノによるご褒美も効果が期待できるのははじめのうちだけです。

 叱っちゃいけないわけではありません。"ずっと"ガミガミ言っても効果がありませんよ、ということです。ご存知ですよねw

 だから変えられることを試してみましょう。今回は、その具体的な例をご紹介します。


>記憶はまず、眼や耳や鼻や舌や皮膚(ひふ)といった感覚から記憶されます。この感覚記憶は、最大1~2秒ほど保持(ほじ)されます。感覚記憶は五感を使いますから、カラダも使いながら記憶すれば記憶力が上がることになります。指しながら読んだり声に出しながら確認したりすることも、感覚記憶を利用しているのです。

>ヒトが一度に記憶できる短期記憶の数は、5つから9つまでです。たくさんのことを覚えなければならない場合、"分けて"覚えます。また、この短期記憶は約20秒間で忘れてしまいます。あいまいではない活用できる長期記憶とするためには、短期記憶の整理をする"リハーサル"が必要です。

 感覚記憶(1-2秒)→短期記憶(20秒)→リハーサル→長期記憶

>この一連の流れが、"記憶力"です。流れを意識してトレーニングをすれば、記憶力の向上がはかれます。


「机の上に乗らないで!」「ドアをバタンと閉めちゃダメ!」

 うまくいかないかもしれません。禁止の命令は難しい。ここでは「机の上に乗る」「ドアをバタンと閉める」という、"文頭に"注意がいってしまうから。おとなでも気を抜いているとよく起こります。ヒトの一度に処理できる情報量には限りがあります。

 記憶の流れにそったトレーニングを試してみましょう。トレーニングによって、一時的な注意を長期記憶へと変えることができます。たとえば、注意して机の上から降りられたときそのことをすぐ褒める。「お!ちゃんとできたな。よしよし」とかね。逆に、降りたのに「いつも言うこときかないんだから」とグチるのはオススメできません。言うことは聞いたのに、イヤな気分だけが残ります。

 他にも、本人の手をとってドアをいっしょに閉めてみる。こちらはカラダ使いながらそっと閉める感覚を覚えてもらう方法です。そっと閉めるという行動が感覚的にできない子は(大人にも)意外に大勢いるんです。


 文章が最後まで読めない子がいます。わたしは単純に漢字を知らないんだと思っていました。また宿題や次の予定を復唱して確認しようとしてもできない子もいます。一つにはトレーニング不足があります。おうちでもトレーニングはできます。日々のお使いやお手伝い、来客や電話の伝言や学校との連絡事項の確認なんかがそれです。トレーニングは身近なことを利用しましょう。いきなり勉強の場ではやらせない。トレーニングに勉強と"同時に"やらせれば、どちらもうまくいかずイヤな気分だけ残ります

 これらの根っこはおそらくおなじです。こういった子たちは無口であるか、おしゃべりでも断片的な会話になっていたりとか、文章を"最後まで"クチにする習慣がありません。それ自体が悪いわけではありません。複数の単語を組み合わせて気持ちや考えをひとつの文章にすることがもともと苦手であるか、まわりのおとなが察してあげすぎてトレーニングをする機会を与えなかったのか。多くはその両方が理由だと思っています。


 もっとカンタンに、すぐできる方法もあります。

 ご紹介するのは、複数の単語を組み合わることを苦手とする子のための方法です。「机の上に乗らないで!」「ドアをバタンと閉めちゃダメ!」ではなく、「机から降りましょう」「ドアは静かに閉めましょう」と言い変えます。そしてお子さんといっしょに書いて貼り出します。おなじ情報でも文字にするそして本人が書き出すこと。ことばの"はじめに"注意がいってしまう場合、「机から降りる」「ドアを静かに閉める」のように"文頭を"変えてみることです。街中で見かける「タバコは喫煙室で吸いましょう」「トイレをきれいに使っていただきありがとうございます」もおなじ効果を狙っています。どんなタイプのひとにも効果が期待できる方法です。口調を変えただけではないのです。


 これらの方法は四六時中いつでもできるわけではありません。まわりのおとなが意識をして、いままでと変えてみるぐらいで良いのです。それでも効果はあります。ガミガミ叱り続けるよりずっと効果が期待できます。少々時間はかかりますけど。経験をさせることです。ハードルは低めに。自信をつけましょう。変えられることはいくつもあります。



 他人とくらべてできないと恥ずかしいという「躾(しつけ)」とは違います。多くの共同体が解体され常識が崩れてくれば、他人とくらべる効果は薄れます。昔風の躾は難しくなりました。それでもやはり、できなければならないことってあります。誰が悪いかという原因究明よりも、まずは結果を重視しましょう。禁止するより、望ましい行動へ注意を向けてもらいましょう。

 ほんと「モノは言いよう」なのです。(塾長)

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