ゴソゴソしていると、大切にしまわれた箱の中に、こんなものを見つけました。
和紙のハギレで作った小物。
楊枝入れやボウシの形をした磁石…
『来て下さったお客さんにオマケに差し上げて!』
と、いつも母が作っていてくれたものでした。
母は、手先が器用だったので、仕事を定年退職してから、
和紙の小物作りの内職をお願いしていました。
ブックカバー、手帳、エチケットミラー、カードケース……
母が作り出してくれた小物は数知れず。
『和紙でこんな商品を作ってみたい!!』
と、お願いすれば、自分で型紙を起こして、どんなものでも作ってくれました。
本当に器用な母でした。
貧乏性の母は、小物を作って残った和紙のハギレも無駄にはせず、
お客さんに愛想をするオマケまで作ってくれていたんです。
実家に、まだこんなにたくさん残っていたなんて…
母は、どんな思いで作ってくれていたんでしょうねぇ。
内職をお願いしに行った時も、出来たものを受け取りに行った時も、
母はいつも
『これを作っとる時が一番楽しいんや!作らせてもらえて、ほんま有り難い!』
『あんたが訪ねて来てくれるんが一番嬉しいわ!ありがとう!』
と、言っていました。
こっちが『ありがとう!』なのに、逆に母のほうが、ありがとう、ありがとう!と何度も言ってくれていました。
あの頃、私は、ちゃんと母に『ありがとう』って言えていたでしょうかね…
年金手帳と一緒に、箱いっぱいの母の思いも持ち帰りました。